漫画に登場するクルマを真面目に調べてみた

「アニメに登場するクルマを真面目に調べてみた」という記事では、テレビアニメやアニメ映画に出てくるクルマに注目しました。その第2弾として今回は、「漫画」にフォーカス。

アニメに実車を登場させるのは、権利の問題やそのクルマのブランドイメージから難しいようですが、漫画となるとそのハードルが低いのか、あるいはハードル自体がなくなるのか、実車に忠実に描かれたクルマも登場します。今回は、『シティーハンター』『よつばと!』『シャーマンキング』『クッキングパパ』の4作品を真面目に調べてみました。

シティーハンター

画像はイメージ
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<あらすじ>
東京随一の繁華街、新宿のあるマンションに一人住んでいる主人公 冴羽獠は、このマンションの管理人。しかし、新宿駅東口の伝言板に「XYZ」と書かれるのを確認すると、裏の世界ナンバー1のスイーパー「シティーハンター」として、あらゆる依頼をこなしてしまう。裏の世界の住人たちが恐れる一方、美しい女性には見境がなく周囲が呆れるほどのスケベな一面も。1980年代後半には発表され、大ヒット作となったハードボイルドコメディ。

<作品内に登場するクルマ>
ミニ

作中で登場しているのは、ミニのオリジナルであるモーリス・ミニと思われる
作中で登場しているのは、ミニのオリジナルであるモーリス・ミニと思われる

トヨタ・ランドクルーザー(80系)

獠の親友である元傭兵で喫茶店「キャッツアイ」のマスター、伊集院隼人(ファルコン)の愛車。物語登場時は70系を所有
獠の親友である元傭兵で喫茶店「キャッツアイ」のマスター、伊集院隼人(ファルコン)の愛車。物語登場時は70系を所有

日産・インフィニティQ45

さまざまなキャラクターが乗るシーンがある1台。1980年代後半には「ハイソカー」が流行っており、作品中にもよく登場する
さまざまなキャラクターが乗るシーンがある1台。1980年代後半には「ハイソカー」が流行っており、作品中にもよく登場する

チゼータV16T

新宿の街中の1コマにさり気なく登場している。このほかにも「デ・トマソパンテーラGT5」などのスーパーカーも出ているので探してみよう
新宿の街中の1コマにさり気なく登場している。このほかにも「デ・トマソパンテーラGT5」などのスーパーカーも出ているので探してみよう

『シティーハンター』といえば、冴羽獠の愛車である「ミニ」は外せない存在。アニメ版にも登場し、何回も壊されているものの、新作が出るたびに綺麗な状態で登場しているのは、高額な報酬でマンションに複数台を保管しているのでしょうか(もしくは腕利きのレストア屋がいる?)。チゼータV16Tは、10台程度しか生産されなかった、当時のイタリアのスーパーカーです。

よつばと!

画像はイメージ
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<あらすじ>
夏休みの前日、ある街に軽トラックに荷物を山積みした、元気な女の子「よつば」と「とーちゃん」こと父・葉介の小岩井一家がやってきた。よつばは、とーちゃんが南の島から連れてきたとか。そんな不思議な2人家族の新たな住まいを中心に、よつばのパワフルなマイペースに振り回される人たちの日常の描いたハートフルコメディ。

<作品内に登場するクルマ>
マツダ・スクラムトラック

第1話で小岩井家がこのクルマに家財道具を詰め込んでやってくる
第1話で小岩井家がこのクルマに家財道具を詰め込んでやってくる

ルノー・カングー

葉介の幼馴染で花屋をやっている「ジャンボ」こと竹田隆の愛車。作中に登場するのは左ハンドル車
葉介の幼馴染で花屋をやっている「ジャンボ」こと竹田隆の愛車。作中に登場するのは左ハンドル車

フィアット・パンダ

小岩井家の隣に住んでいる「綾瀬家」の長女 あさぎの大学の同級生である虎子の愛車として登場。トランクに折りたたみ自転車が入っている
小岩井家の隣に住んでいる「綾瀬家」の長女 あさぎの大学の同級生である虎子の愛車として登場。トランクに折りたたみ自転車が入っている

スズキ ラパンSS

葉介とジャンボの後輩、安田の愛車として登場
葉介とジャンボの後輩、安田の愛車として登場

ミニ クーパー コンバーチブル

葉介が妹の春子から譲ってもらい、「よつば」とのドライブカーとなった
葉介が妹の春子から譲ってもらい、「よつば」とのドライブカーとなった

キャラクターのライフスタイルに合ったクルマが選ばれていることが、おもしろさのひとつ。コンパクトカーやミニバンがメインであるところに、「どこにでもある日常の1コマ」を感じさせます。子供を連れてどこかにお出かけしたくなる、そんなあたたかい漫画です。

シャーマンキング

画像はイメージ
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<あらすじ>
「この世」と「あの世」をつなげる「シャーマン」の能力を持つユルい性格の少年 麻倉葉が、500年に1度、世界のどこかで行われるというシャーマンの頂点を決める戦い「シャーマンファイト」に参加。全知全能の霊である「グレートスピリッツ」を持てる「シャーマンキング」を目指すため、さまざまな霊能力者と出会い、戦っていく物語。

<作品内に登場するクルマ>
フェラーリ・テスタロッサ

天使・ミカエルの霊が宿っているスーパーカー。戦いのときはロボットのような形態になっており、移動時にはスーパーカーの姿に変化することができる。映画「トランスフォーマー」に近い(メカメカしく変形するわけではないが)
天使・ミカエルの霊が宿っているスーパーカー。戦いのときはロボットのような形態になっており、移動時にはスーパーカーの姿に変化することができる。映画「トランスフォーマー」に近い(メカメカしく変形するわけではないが)

ランボルギーニLP400

堕天使・ルシフェルが宿っている。フェラーリとランボルギーニの関係を考えると…? ちなみにガルウィングは天使の姿になると腕を守る盾となる
堕天使・ルシフェルが宿っている。フェラーリとランボルギーニの関係を考えると…? ちなみにガルウィングは天使の姿になると腕を守る盾となる

アストンマーチンDB4

天使・ラファエルが宿っている。写真は2016年から25台限定で復刻生産されたレーシングモデル「DB4 GT」。天使でもクルマでもないときは、銃弾の形で各持ち主が保管、有事の際はそれぞれの武器で発射することで呼び出せる
天使・ラファエルが宿っている。写真は2016年から25台限定で復刻生産されたレーシングモデル「DB4 GT」。天使でもクルマでもないときは、銃弾の形で各持ち主が保管、有事の際はそれぞれの武器で発射することで呼び出せる

TVRグリフィス500

天使・サリエルが宿っている。ちなみにこの霊の持ち主の名前もグリフィス。物語中では、天使とクルマに密接なつながりはなく、持ち主の愛車に宿らせていると推測される。ほかにも「ハマーH1」や「アルファロメオ・ジュリエッタSZ」なども登場する
天使・サリエルが宿っている。ちなみにこの霊の持ち主の名前もグリフィス。物語中では、天使とクルマに密接なつながりはなく、持ち主の愛車に宿らせていると推測される。ほかにも「ハマーH1」や「アルファロメオ・ジュリエッタSZ」なども登場する

各キャラクターが使う霊(持霊)を、その霊にゆかりのあるものに憑依させることで絶大な力を発揮するというのが、この漫画の特徴的な部分。物語に登場する「天使の霊のみを持つ」集団は、憑依させるものがクルマで、フェラーリやランボルギーニといったさまざまなスポーツカーが登場するというわけです。作者の武井宏之さんは、もともとクルマやメカ・ロボットが好きな方のため、クルマの描写が細かく、この漫画の連載中に読み切りのスーパーカー漫画『エキゾチカ』も描いています。

クッキングパパ

画像はイメージ
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<あらすじ>
福岡県・博多にある商社「金丸産業」に勤めているサラリーマン 荒岩一味は、プロ顔負けの料理の腕を持ち、さまざまな国の料理を家族や友人に料理を振る舞う。そんな荒岩をはじめとした人物が、出会った料理や知恵を絞って作った料理を紹介していく作品。

<作品内に登場するクルマ>
日産・ダットサンバネットコーチ

写真は兄弟車の「サニーバネットラルゴ」。ほかにもフロントマスクなど細かなデザインが異なる「チェリーバネット」が存在していた
写真は兄弟車の「サニーバネットラルゴ」。ほかにもフロントマスクなど細かなデザインが異なる「チェリーバネット」が存在していた

三菱・デリカスターワゴン

発売当時、「クッキングパパ」とコラボレーションしたカタログがディーラーで配布されていた
発売当時、「クッキングパパ」とコラボレーションしたカタログがディーラーで配布されていた

日産・アベニール

主人公・荒岩の部下である田中一の愛車として登場
主人公・荒岩の部下である田中一の愛車として登場

スバル・サンバーバン

田中の親友である花田昌樹が、全国の温泉巡りをするために知人から譲ってもらったクルマ。ラジエーターに不具合を持っていて、1時間以上走るとオーバーヒートしてエンジンが止まってしまう
田中の親友である花田昌樹が、全国の温泉巡りをするために知人から譲ってもらったクルマ。ラジエーターに不具合を持っていて、1時間以上走るとオーバーヒートしてエンジンが止まってしまう

『クッキングパパ』は、1985年に第1話が『週刊モーニング』に掲載されて以来、現在も続いている料理を題材にした長寿漫画作品です(単行本は、2018年9月21日に147巻が発売される)。そのため、連載開始時に子供だったキャラクターが社会人になっているなど、キャラクターも成長し、それぞれのライフスタイルも変化しています。主人公の荒岩一味はかなりの大柄な男性で、料理以外にもアウドドアを楽しむため、連載当初からワゴンタイプのクルマを所有しています。

日常系の作品は、生活必需品となりつつあるクルマが登場することで物語に奥深さが出てきますね。今回、紹介した作品の中でも『よつばと!』は、特にその傾向が強いものです。漫画に登場するクルマは、「なんとなく」登場しているのではなく、物語に対して何かしらの意味を持って登場しています。持っている作品でクルマが登場する場面があったら、改めて読み返すとより作品が楽しめるのではないでしょうか?

(取材・文:クリハラジュン 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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