気分はWRCドライバー!42cmのラジコン「トヨタ ヤリスWRC」を組み立てる

WRC(世界ラリー選手権)で活躍している「TOYOTA GAZOO Racing WRT ヤリスWRC」は、ハイパワーなエンジンと、あらゆる路面で強力な加速を実現する4WDシステムを搭載した最新鋭のラリーカー。ラリーファンの方なら、「そんなカッコいいクルマが自分の手元にあったら」と思う人もいるでしょう。筆者もそんな一人です。実際にラリーカーを所有するのは難しいですが、実車のように走るラジコンならどうでしょう?

「タミヤ模型」が9月に発売した「1/10RC トヨタ ガズー レーシング WRT/ヤリス WRC」は、全長およそ42cmというビックスケールの組み立て式の電動ラジコン。ラリーファンの筆者は、さっそく取り寄せて組み立ててみました。ちなみに、ラジコンを組み立てるのはbBのキット以来、15年ぶりです。

まずは箱を開けて必要なものを見てみる。

チームのイメージカラーである赤と黒の箱を開けると、半透明のボディと「TT-02」と呼ばれる専用シャシー、各種パーツ、ステッカー類が入っています。「ミニ四駆」を経験していれば組み立ての流れは、なんとなくわかるでしょうか。ただし、パーツが多い分、難易度はやや高くなります。

各部品には「アルファベット+番号」が与えられている。説明書のイラストにも必ずこの部品番号が記載されている。
各部品には「アルファベット+番号」が与えられている。説明書のイラストにも必ずこの部品番号が記載されている。

しかし、これだけではラジコンを走らせることはできません。ラジコンを操作する「プロポ(送信機)」、ラジコンに搭載するバッテリー、組み立てに必要な工具と、ボディを塗装するスプレー塗料が必要になります。すべて揃えると、3万円前後。

この「電動RCドライブセット」は、プロポ以外に走行用バッテリーと充電器がセットになっている。プロポ自体は単3電池で使用可能。
この「電動RCドライブセット」は、プロポ以外に走行用バッテリーと充電器がセットになっている。プロポ自体は単3電池で使用可能。
工具もタミヤの製品を中心にそろえてみた。ニッパーやドライバーのほか、ボディの余白を切り出すためのハサミも用意。
工具もタミヤの製品を中心にそろえてみた。ニッパーやドライバーのほか、ボディの余白を切り出すためのハサミも用意。

まずはシャシーを組みたてる!

TT-02シャシーは、4WD方式でタミヤのさまざまモデルに採用されているバスタブ式のシャシーです。当然、説明書に沿って組み立てていくのですが、このときに大事なのは「整理整頓」。

大半のパーツが「ランナー」と呼ばれる枠についた状態で、ニッパーで切り離して使います。いっぺんに切り離してしまうのではなく、その工程で必要なパーツだけを切り取って、なおかつそれを別の容器にわけて置くのがおすすめ。細かな部品もあるので、ごちゃ混ぜになって紛失するリスクを回避します。また、場合によっては「余る・使用しない」部品も出てくるので、出てきたらすぐにまとめて保管しておくとよいでしょう。

各パーツを接続するネジやワッシャーといった部品には、いくつか大きさがあります。原寸大のイラストが書かれている説明書に合わせて、一つひとつ確認しながら使っていきましょう。実は、最初のプロペラシャフトの組み立ての段階で、プラスチック製のベアリングの大きさを間違えてしまい、それに気づいたのが組み立ても大詰め、足回りのシャフトの組み付け段階でした……。

間違えてしまったプロペラシャフト部のベアリング(白い部品)
間違えてしまったプロペラシャフト部のベアリング(白い部品)
本来は左の大きいベアリングを装着しなければならないところを、右の小さいベアリングを装着してしまっていた。右のベアリングは4輪のシャフト部に使うパーツ。
本来は左の大きいベアリングを装着しなければならないところを、右の小さいベアリングを装着してしまっていた。右のベアリングは4輪のシャフト部に使うパーツ。
組み立てのポイントは、ネジはいきなりガッチリ締め付けずに、パーツの動きを確認しながら徐々に締めていくこと。一気に締めてしまうと、歪んだりネジ穴が変形したりして、正常な動作ができなくなる場合がある。
組み立てのポイントは、ネジはいきなりガッチリ締め付けずに、パーツの動きを確認しながら徐々に締めていくこと。一気に締めてしまうと、歪んだりネジ穴が変形したりして、正常な動作ができなくなる場合がある。

あとで知ったのですが、タミヤの公式Youtubeチャンネルで組み立ての映像が公開されていました。説明書だとわかりにくい箇所も、映像で見ればばっちり。組み立ての際は、ぜひ参考にしてみてください。

ボディを仕上げて完成へ!

シャシーが完成したら、ボディの組み立てへ。ボディはポリカーボネート製で、半透明のため塗装する必要があります。塗装は、表面ではなく「裏面」で行うのがポリカーボネート製ボディの特徴。中性洗剤で製造時の油分を落として、水分をよく乾かしてから、スプレー塗料で塗装していきます。

塗り分けをするので、マスキングテープでしっかり隠す。マスキングテープは、剥がす前提のものなので粘着力は高くない。ボディと窓の段差の部分は、マスキングテープを細くして隙間なく埋めていく。
塗り分けをするので、マスキングテープでしっかり隠す。マスキングテープは、剥がす前提のものなので粘着力は高くない。ボディと窓の段差の部分は、マスキングテープを細くして隙間なく埋めていく。
スプレー塗料は、塗布する前にきちんと縦に振って撹拌(かくはん)しておくと、一回でもきれいに色が乗る。塗装するときは、風通しのいい場所で。
スプレー塗料は、塗布する前にきちんと縦に振って撹拌(かくはん)しておくと、一回でもきれいに色が乗る。塗装するときは、風通しのいい場所で。

塗装をするときは、大きなダンボールで塗装ブースを作るといいでしょう。スプレー塗料は、「薄く塗布して乾かしてまた薄く……」を2~3回繰り返すと、きれいに仕上がります。塗装ができたら、やり直しができない緊張の“ステッカー貼り”へ。大きなステッカーシートから、必要な部分を丁寧に切り取って貼り付けます。ステッカーでボディが仕上がったら、シャシーに取り付けて完成です!

この仕上がり、いかがでしょうか? ヤリスWRCの迫力あるスタイリングが再現されていますね。ボディがところどころ黒いのは、マスキングテープの隙間から塗料が入り込んでしまったから……。

いざ走行!

さっそく、自宅のフリースペースでテスト走行してみました!

この加速は、電動ラジコンならではのもの。コントロール性もよく、ラリーカーらしい走りができそうです。なお、走らせるときは、もちろん車両本体とプロポの電源をONにしますが、このとき「プロポの電源ON→ラジコン本体の電源ON」の順番を守ることが絶対です。電波で操作するので、先に本体の電源を入れてしまうとほかの電波に反応して走り出してしまう恐れがあります。走行終了時は、逆の手順を踏んで、最後にバッテリーを取り外します。思いっきり走らせたい場合は、ラジコン用のサーキットに行くのがおすすめです。全国にあるので、ぜひ調べてみてくださいね。

ちなみに、筆者にとってラジコンの組み立ては、徐々に形になっていく様子がたまらなく楽しいものですが、「組み立ては難しい」という人のために、完成品の「1/10RC XB トヨタ ガズー レーシング WRT/ヤリス WRC」も9月末から販売されています。どちらにしても、ラリーカーらしい走りを手軽に楽しむことができるので、ラジコンに興味がある方やラリーカーファンの方はチェックしてみてくださいね!

▼タミヤ模型公式サイト
https://www.tamiya.com/japan/index.html
▼製品ページ
https://www.tamiya.com/japan/products/58659/index.html

(取材・文・写真:クリハラジュン、編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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