【初心者向け】電動パーキングブレーキって何? うれしいメリット&アノ技ができなくなるという意外なデメリット
最近になって、採用するクルマが急増しているのが「電動パーキングブレーキ」です。これは、文字通りに「パーキングブレーキ」の操作を「電動化(モーターで動かす)」したもの。
「パーキングブレーキ」は、停まっているクルマにブレーキをかけて、不用意に動かなくするのが目的です。座席の横にレバーとして設置されている車両もあるため、「サイドブレーキ」や「ハンドブレーキ」とも呼ばれます。
- サイドブレーキ
また、ブレーキペダルの左横にあって、足で踏んで操作する「足踏み式パーキングブレーキ」、さらにはレバーを引き上げるように操作するタイプもありました。
パーキングブレーキは、足で操作する通常のブレーキとは、操作系統が別になっており、後輪だけに効くというのも特徴です。静かなところにクルマを停車して、電動パーキングブレーキを作動させて耳を澄ますと、車体の後ろの方から「ウィーン」というようなモーターの作動音が聞こえるはず。それが電動パーキングブレーキの作動音となります。
電動のメリット(1)自動でパーキングブレーキがかかる
パーキングブレーキを電動化させると、どのようなメリットがあるのでしょうか。それは、「自動でパーキングブレーキを作動させることが可能になる」につきるでしょう。
メリットを上手に利用した仕組みが「オートブレーキホールド」です。これは、すべての車種に設定があるわけではないのですが、オプションで機能がONになっている状態でクルマが停車すると、自動でブレーキが作動します。それでいてアクセルを踏めば自動でブレーキを解除します。これがあれば、坂道で信号停車した時も、クルマが後ろに下がる心配も軽減されます。
電動のメリット(2)停車もできる追従ドライブ支援機能が可能に
そして、もう一つの大きなメリットが、「追従ドライブ支援機能(レーダークルーズコントロール)全車速追従機能付き」が可能になるという部分です。この機能は「アダプティブクルーズコントロール(ACC)」とも呼ばれ、最近話題の「先進運転支援システム」のひとつ。前走車に自動で速度を調整しながら追従する機能です。
ポイントは、「全車速」という部分。つまり、速度ゼロの場合も対応しなければなりません。前走車が、速度を落としていって停まった場合、後ろの自分のクルマも停まって、しかも、停車をキープしなければならないのです。そのときに自動でパーキングブレーキを作動できないと、数十秒から数分といったある程度の長い時間、クルマを停めておくことができません。
もしも、電動パーキングがなくて“全車速”と言う部分を省いた機能の場合、前のクルマが停まりそうになると“ドライバーが自分でブレーキを踏まなければならなくなる”という、限定的な「追従ドライブ支援機能」になってしまいます。最後まで自動でやってくれる方が便利なのは、言うまでもありません。
そのために、中途半端な機能にするのではなく、最初から電動パーキングブレーキと「追従ドライブ支援機能(レーダークルーズコントロール)全車速追従機能付き」をセットで採用するクルマが増えています。
デメリットはコストアップ&モータースポーツのある技が使えなくなる!?
電動パーキングブレーキがあると便利なことが理解できたと思います。では、逆に悪いのは、どんなことでしょうか。
最大の問題は、コストアップです。ブレーキにつながるワイヤーを手動で作動させていた、従来のパーキングブレーキ。それに対して、電動パーキングブレーキにはモーターなどの、新たな装置が必要になります。ましてや、新しい装置なので、量産効果によるコストダウンも、まだまだ。その追加分は車体価格に反映されてしまいます。「これまでなくても困らなかった機能。高くなるならいらない」と思う人もいることでしょう。
また、パーキングブレーキを電動化すると、モータースポーツの、ある技が使えなくなります。それが「サイドターン」、もしくは「スピンターン」とも呼ばれるもの。
これは、パーキングブレーキが、4輪ではなく、後輪だけに効くことを利用します。カーブを曲がっている最中に、急激にサイドブレーキ(パーキングブレーキ)を強く効かせるため、サイドブレーキを使うタイミングが肝になります。うまくいくと、後輪のタイヤだけがロックして、クルマの後ろ側が大きく振り出されるスピン状態に陥るのです。ここで完全に一回転するのではなく、狙った角度だけクルマの向きを変えるのが「サイドターン」という技の難しさ。上手に決まれば、普通よりも、急な角度でスピーディに曲がることが可能になります。また、後輪を空転させるドリフト走行に入る、きっかけにサイドブレーキ(パーキングブレーキ)を強く効かせるという使い方もあります。(モータースポーツのテクニックなので、公道では行わないでくださいね!)
ところが電動でゆっくりと効く、電動パーキングブレーキは、こうしたモータースポーツの技には使用できません。これも電動パーキングブレーキのデメリットとなります。
電動パーキングブレーキはさらに普及すること間違いなし!
とはいえ、モータースポーツの技うんぬんというのは、実際に利用するのは非常な少数派。本当に必要な人は、本格的なラリー競技のように、わざわざ別のレバー型のサイドブレーキを設置するようになるのではないでしょうか。そのため「モータースポーツのために電動パーキングブレーキの採用が見送られる」というケースは、ほとんどないはず。また、コストアップという問題は、普及が広がれば量産効果によって、どんどんと小さなものになります。こうした状況を考えると、これからも電動パーキングブレーキの普及は、どんどんと進んでいくことでしょう。
(文:鈴木ケンイチ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
[ガズー編集部]
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