いざという時に心強い!再び注目が集まる布製タイヤチェーン「オートソック」
手軽に脱着ができ、持ち運びにも便利な布製タイヤチェーン「オートソック」が注目されています。この製品は、ノルウェーのオートソック・オペレーション社が開発したもので、誕生したのは1998年。
日本にもすぐに輸入されて一部自動車メーカーの純正パーツとして採用されていました。そんな中、2018年12月から大雪時のタイヤチェーン装着が義務化されると、改めてその存在に注目が集まるようになってきたのです。今回は、その「オートソック」に焦点を当ててみましょう。
被せるだけで簡単装着
日本では、冬になると多くの地域で雪が降ります。降雪地域の人は、迷うことなくスタッドレスタイヤを装着しますが、悩ましいのは非積雪地域に住むユーザーです。「たまに降る雪のためにスタッドレスタイヤを履くことまでは……」と思っている人も少なくないでしょう。かといって、タイヤチェーンは装着に手間がかかる上に、外すにもそれなりの労力を必要とします。
簡単装着をウリにしているゴム製チェーンも、説明書を読みながら悪戦苦闘してやっと装着できた、そんな経験も少なくないはずです。オートソックは、そんなチェーン装着の苦労を一挙に解決できる画期的な布製チェーンとして誕生しました。
- 店頭に置かれるAutoSockの販売用什器。2018年12月、国土交通省のチェーン規制の再定義により、アラミド系布製カバータイプが対象となった
その最大の特徴は、素材が特殊なポリエステル系の布でできていることです。そのため、左右の両輪用を合わせても重さは1kg未満しかありません。金属製タイヤチェーンとは比べものにならないほど、超軽量を実現しているのです。
何よりもこの布製チューンで素晴らしいのが、タイヤを袋で被せるようにするだけで簡単に装着できてしまう点です。タイヤ全体に被せるため、タイヤを少しだけ回転させる必要はありますが、サイズが大きく違っていなければ、特に締め付ける作業も不要です。初めての装着であっても、左右合わせて5分もあれば装着できるでしょう。
実演で装着しやすさを確認
締め付けることもなく被せるだけでホントに大丈夫なのか? これは誰もが思う疑問です。そこで先日、ノルウェー大使館でその実演をしてくれました。
オートソックをわざとずらした状態で装着し、そのまま発進。近所を一回りして戻ってきたのを見て驚きました。なんとオートソックが正しい位置にピッタリと納まっていたのです。
- ノルウェー大使館で行われた「オートソック」のデモ。ラフに装着して走行すると……
- あら不思議!少し走るだけで正しい位置に装着される
立ち会った報道関係者からは、思わず「目が届かないところで補正してきたんじゃないか?」といったジョークが飛び出したほど。この簡単さなら、誰でも簡単に扱えますし、高齢者にとってもうれしい存在となるでしょう。
気になる雪道でのグリップ力も、「自信がある」とオートソック関係者は口を揃えます。布できているオートソックは、一見するとチェーン代わりになるとは思えませんが、この布の織り込みこそが滑りの原因となる水を吸収。これは、スタッドレスタイヤが撥水と吸水によってグリップ力を生むのと同じ理屈なのだそうです。
また、オートソックは布製だけに使っているうちに毛羽立ちが発生しますが、これが劣化なのかと思いきやそうではなく、むしろ吸水性を高めることにつながるとのことでした。
布製だから洗濯機で洗えるメリットも
布製であることのメリットは、ほかにもありました。布は薄いので、装着してもタイヤ径はほとんど変化しません。そのため、デザインを重視してタイヤとホイールハウスのスペースが狭くなっている最近のクルマにも装着できるのです。その上、金属製タイヤチェーンと違ってホイールを傷つける心配もなく、径が変わらないことで横滑り防止装置「ESC」をOFFにする必要もありません。
だけど布製でしょ? 耐久性はどうなの? そんな心配の声もあるでしょう。開発者によれば「雪上での推奨速度域は時速50キロメートルまでで、その状態でも150キロメートルは走行可能。雪道の上を丁寧に走れば200キロメートル程度は走れる」とのことでした。
- この黒い裏地が見えた時は寿命が来たという証し。これで交換時期も一目で把握できる
耐えられる距離が短いと感じるかも知れません。しかし、金属製のタイヤチェーンでも長いこと走ればちぎれてしまうこともあり、金属製だからと言って特に耐久性が高いとは一概に言えないのです。
ちなみに、世の中には布製タイヤチェーンがほかにもありますが、オートソックスは自動車メーカーの純正にも採用されているだけに品質面では自信があると関係者は話します。
- オートソックを純正採用しているメーカー
布製であることで、汚れたら洗濯機で洗える点も見逃せません。また、トランクの隅に置いておいても、大した重量増になることもありません。出かけた先で使うレンタカー用としてカバンの中に入れておくのもいいでしょう。価格はサイズやショップによっても違いますが、6500円~1万5000円程度とのこと。カー用品店やJAFの通販などで販売されています。
- ぬるま湯で洗濯しても良い素材であることを示すタグも付いていた。アイロンは不可なので注意
いざという時の脱出用にも
布製カバータイプのチェーンは、国土交通省が昨年12月に再定義した「チェーン規制」適合商品として認定されています。その意味でもオートソックは、非降雪地帯でクルマを使う人にとっても、降雪地帯でいざという時の緊急脱出用としても幅広く使える画期的な“タイヤチェーン”と言えるのです。手軽で頼もしい布製タイヤチェーン、ぜひ注目してみてください。
(取材・文・写真:会田肇 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
あわせて読みたい!
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-
-
-
楽しく学べる「防災ファミリーフェス」を茨城県の全トヨタディーラーが運営する「茨城ワクドキクラブ」が開催
2024.11.21
-
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-