ラップタイムで競い合う、モータースポーツ。サーキットトライアル
皆さんは「サーキットトライアル」をご存じでしょうか。1997年にJAF(日本自動車連盟)が制定した自動車競技で、参加者(参加車両)は着順ではなくコースのラップタイムを競い合います。ユーザーやクルマにかかる負担の少なさから、モータースポーツの入門に最適な競技のひとつとされ、ルールの分かりやすさや見どころの多さから、初めて観戦するモータースポーツにも適しています。
今回は、サーキットトライアルの基本的な紹介のほかに、「JAF筑波サーキットトライアル選手権シリーズ」を主催する筑波サーキットより、サーキットトライアルの魅力や楽しく観戦するためのポイントを教えてもらいました。
サーキットトライアルとはどんな競技?
多くの人はモータースポーツや自動車競技と聞くと、「競技車両が一斉にコースを走り、一番先にゴールインしたドライバー(車両)が優勝する」といったレースを思い浮かべると思います。サーキットトライアルは出走する競技車両が一斉にコースを走行するものの、チェッカーを受ける順番は順位に関係ありません。規定された周回時間(15~20分間)と回数(基本的に2回)を走行し、一番早いラップタイム(一周のタイム)を記録したドライバーが総合優勝を獲得します。F1やSUPER GTといったレースの予選を単体で競技化したものと捉えると、イメージしやすいのではないでしょうか。
参加車両は原則、車検に通る状態でなくてはならず、改造範囲の広い「B/D部門」、改造範囲の狭い「PN部門」、電気自動車を対象にした「AE部門」と、3つの部門が設定されています。そこから排気量や駆動方式により9つのクラスに分けられ、コンディションの近い車両とラップタイムを競い合うのです。
2018年より筑波サーキット、スポーツランド菅生、岡山国際サーキットでは統一ルールのもと、それぞれ地方選手権シリーズを開催しています。大会は昭和のクルマから最新のエコカー、軽自動車に大排気量スポーツカーと、様々な車両が参加。バラエティーにとんだ車種によるタイムの競い合いは観客を一層、楽しませてくれます。
筑波サーキットに聞いた!サーキットトライアル観戦のポイント
先ほども触れましたが、筑波サーキットでは2014年よりJAF地方選手権「JAF筑波サーキット トライアル選手権シリーズ」を開催しています。使用コースは「コース2000」。全長、約2000メートルの中に様々なコーナーが設置されているテクニカルなコースで、多くのドライバーから「走りがいがある」と高い評価を受けています。年に4~5回のシリーズ戦を開催。総合ポイントでその年度の部門別やクラス別にチャンピオンが決まります。
サーキットトライアルを観戦するにあたり、どこから見るのがオススメか?一般財団法人 日本オートスポーツセンター 筑波サーキット業務部 業務課の難波衆彦(なんばともひこ)さんに聞いてみました。
「コース2000は全長が短いため、走行車両が絶え間なく訪れます。ほとんどの観客席はコースの近くに設置されているので、どこでも間近でせめぎ合いや駆け引きを楽しめると思いますよ」(難波さん)
「あえておすすめを挙げるなら、サーキットトライアルはラップタイムの動きを見るのが楽しいので、ホームストレート横のメインスタンドです。最終コーナーからハイスピードで立ち上がってくる車両のエンジン音は迫力満点! また、メインスタンド席正面には電光掲示のラップボードがあり、接戦具合を見て取れます」(難波さん)
「走行シーンをたくさん見たい方は、コース2000のシンボルであるダンロップアーチ横にある芝生観覧席がおすすめです。芝生観覧席の一番上に立つと、第1コーナーの立ち上がりからS字コーナー、第1ヘアピン、ダンロップコーナー、80Rコーナー、第2ヘアピン、バックストレッチと、ほぼすべてのコーナーが見渡せます」(難波さん)
走行する側、観戦する側、共に多くの魅力を提供してくれるサーキットトライアル。これから一層、注目を浴びることが予想されます。スケジュールは地方選手権を開催する各サーキットの公式ページに記載されているので、ぜひチェックしてみてください。
※2020年5月31日に開催予定だった「JAF 筑波サーキットトライアル選手権シリーズ」は中止となりました。代替開催については、検討中だそうです。
(文:糸井賢一 協力・画像提供:筑波サーキット 編集:奥村みよ+ノオト)
<関連リンク>
筑波サーキット
https://www.tsukuba-circuit.jp/
JAFモータースポーツ サーキットトライアル
http://jaf-sports.jp/motorsports/gymkhana/circuittrial.htm
[ガズー編集部]
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