ゴツゴツした見た目以外に違いはあるのか? オフロードタイヤの特性とは?

近年、世界的にブームとなっているSUV。そんな中、悪路に強そうな凸凹のオフロードタイヤを装着して、愛車のSUVをもっとカッコよくしたいと思う人も多いのではないでしょうか。オフロードタイヤの特徴やメリットとデメリット、そして選び方のポイントなどを、横浜ゴム株式会社 消費財製品企画部タスクリーダーの小島 弘行さんに伺いました。

―凸凹とした見た目にはどのような意味があるのでしょうか?

オフロード、すなわち砂地や泥地などの不整地で推進力を得るためにこのような凸凹としたブロックパターンとなっています。不安定な路面をタイヤの溝が引っ掛けることで、推進力を得ることができるのです。また、ブロックパターンのタイヤほどではないけれどオフロード性能もある程度ほしい、というSUV向けタイヤのトレッドパターン(溝の形状)に横溝が多いのも同じような理由です。一般的なタイヤは、縦溝が基本で排水性を高めていますが、オフロードタイヤは横溝を増やしてタイヤが地面を引っ掛ける箇所を増やし、推進力を得ているのです。

―他にも見た目の特徴としてサイドウォールが分厚く偏平率が高いものが多いと思うのですが、これも意味があるのでしょうか?

あります。理由の1つは偏平率が高い方が縦の接地長さを増やすことができるからです。オフロード走行では縦の接地長さを増やした方が推進力を得ることができます。2つ目は外部からの衝撃に備えるためです。オフロード走行ではタイヤやホイールに横方向から岩や木の枝などの硬いものが当たることがよくあります。そのような場合、低偏平のタイヤだとホイールからタイヤが外れたり、バーストの原因となることがあります。このようなリスクを低くするために、オフロードタイヤは偏平率が高いものが多いです。

―オフロードタイヤを装着するとどのようなメリットがありますか?

1番のメリットはやはりオフロードでの走破性向上ですね。普通のタイヤでは考えられないような場所でも走り抜けることができます。その次に見た目です。近年はSUVブームですが、そのような車種に装着すると足元を力強く演出することができます。見た目をカッコよくしたいという目的で購入されるお客さまもいるほどです。

  • ぬかるんだ泥道でもオフロードタイヤならば走破可能

―ではデメリットはありますか?

デメリットとしてまず挙げられるのがノイズです。人にもよりますが、ラインアップの中でも特にオフロード走行性能に主眼を置いたタイヤは、舗装路でノイズがうるさく感じるかもしれません。これは車種によっても異なり、スズキジムニーやトヨタランドクルーザーのようなラダーフレームを採用した車両より、一般的なモノコックボディーを採用した車両の方がノイズはうるさい傾向にあります。あとは舗装路で使用した場合の摩耗は一般的なタイヤよりも溝が多いため早く、またタイヤが重いため燃費に影響し経済的とはいえません。

  • ラダーフレームを採用したジープラングラ―にオフロードタイヤを装着し、舗装路を走る様子

―オフロードタイヤを選ぶ上でのポイントはありますか?

ポイントは、「オフロードをどれくらい走行するか」「どれほどのオフロード性能を求めるか」によって変わってきます。M/T(マッドテレーン)という表記はもっともオフロード志向が強いです。圧倒的なオフロード性能を誇りますが、先に紹介したデメリットも伴います。オフロード走行をしないお客さまが見た目だけで購入するのはおすすめしません。「オフロード走行するような見た目にしたい」「ときどきオフロード走行をする」という方にはA/T(オールテレーン)と表記されたものを選ぶといいと思います。一般的なタイヤと比べてもロードノイズや燃費も遜色ないレベルですので、舗装路でも快適に使用できます。また、弊社では舗装路での性能を確保しつつも、A/Tタイヤよりオフロード性能を高めたX-ATというタイヤもラインアップしているので、参考にしていただけると幸いです。

  • A/Tと表記されたタイヤのトレッド面、オフロードタイヤらしい力強さを残しつつも、舗装路での快適性も配慮されている

カーライフに合わせてタイヤを選ぼう!

オフロードタイヤに限らず、タイヤ選びで重要なのは「自分のカーライフに合っているか」。今回の取材でそれを再認識することができました。「ゴツゴツしたオフロードタイヤが欲しい!」という方は、自身のカーライフと照らし合わせて、使用条件にマッチしたものを選びましょう。

(取材・文:西川昇吾 写真:横浜ゴム株式会社 編集:奥村みよ+ノオト)

[ガズー編集部]

コラムトップ