子育て世代にクルマを無償提供するダイハツの試み

2020年9月末、滋賀県竜王町とダイハツから発表がありました。それが「2人目や3人目以上をご出産のご家庭に！ダイハツ車を3年間無償提供します！【ダイハツ竜の子ファミリー車制度】のご案内」（竜王町）と「滋賀県竜王町が実施するダイハツ竜の子ファミリー車提供制度へ車両提供を開始」（ダイハツ）というものでした。これは、どのような制度なのか。また、クルマを提供するダイハツの考えを聞いてみました。

滋賀県竜王町は、ダイハツが国内に4拠点持つ車両組み立て工場のひとつがある町。そこで新たに「ダイハツ竜の子ファミリー車提供制度」がスタートします。これは竜王町に住んでおり、2021年4月2日以降に第2子もしくは第3子以上を出産するという住民に対して、3年間無料（無償リース）で車両を貸し出すというもの。利用する方が負担するのは、「任意保険料」「車庫証明の費用」「駐車場・ガソリン代金などの走行・維持の費用」のみ。それ以外の費用は、ダイハツが負担します。貸し出される車両は、ダイハツの軽自動車「タント」「ムーヴ　キャンパス」、そしてコンパクトSUVの「ロッキー」の3種です。子育て支援に力を入れる竜王町に、ダイハツが車両提供というかたちで協力するというわけです。

親御さんとお子さんが一緒に自転車に乗っている姿は、日常でよく目にするもの。とはいえ、子どもが3人以上になると、大人一人では自転車での移動は不可能です。そうしたお子さんの多い家庭では、クルマがあると生活がとても便利になります。しかし、誰もがクルマを購入するほど余裕があるとは限りません。ましてや、子どもが多いほど生活費は大きくなるもの。そんなところにクルマを無料で貸し出してもらえるというのは、非常にありがたい支援策といえるでしょう。

竜王町の子どもを育てる家庭への支援協力を発表したダイハツですが、実のところ、こうした協力は初めてのことではありません。ダイハツの本社のある大阪府池田市では、1997年から2011年にかけて、同様の子育て支援（ただし、第4子以上が条件）が実施されており、ダイハツは「ムーヴ」と「ミラ」を106台も提供していました。

残念ながら、池田市の子育て支援は、市政の都合で一旦は廃止になるものの、「子ども・子育て支援日本一」を目指す池田市の方針にダイハツが協賛を申し出たこともあり、2017年に「エンゼル車提供制度」として復活。第3子以上を出産する市民に3年間無料で車両を貸し出す（無償リース契約）するという制度に対して、ダイハツは「ブーン」と「トール」を提供。2020年8月までに、184台が提供されたそうです。もちろん、「エンゼル車提供制度」は今も継続中です。

つまり、池田市においては、すでに290台もの車両提供が行われていたのです。

「ダイハツの目指す『お客さまの暮らしに寄り添った会社』に近づくため、ダイハツ車をご愛用いただいているお客さまである『子育て世代のお客さま』に対する支援と、地域支援という観点から、池田市の子育て支援策への協賛として車両提供を申し出たというのが経緯です。滋賀県竜王町の『竜の子ファミリー車提供制度』に関しても、ダイハツとして車両提供する趣旨等は同様です」とダイハツの広報の方が説明してくれました。

さらに、制度に対する反響は？　と聞いたところ、「制度そのものは池田市が実施しているものですが、車両提供を受けた子育てファミリーの方々からは、感謝の声が届いていると聞いております。ダイハツとしても、今後も車両提供を続けることで、お客さまの暮らしに寄り添い、地域に貢献してまいりたいと考えています」とのことです。

こうした素晴らしい取り組みは、ぜひとも広く知られてほしいものですね。

＜関連リンク＞
ダイハツ工業　公式サイト
https://www.daihatsu.co.jp/top.htm
竜王町ホームページ
http://www.town.ryuoh.shiga.jp/
池田市ホームページ
http://www.city.ikeda.osaka.jp/
池田市　エンゼル車提供制度について
http://www.city.ikeda.osaka.jp/kosodate/kosodate/kosodateshien/kosodate2/1497487045382.html

（取材・文：鈴木ケンイチ／写真：ダイハツ工業・池田市／編集：奥村みよ＋ノオト）

[ガズー編集部]