JAFによる「自動車税制に関するアンケート」の結果と、それをまとめた「要望書」の内容とは
自動車のユーザーの団体として、会員へのサービスと社会貢献を実施しているのが一般社団法人 日本自動車連盟、通称「JAF」です。そのJAFは、毎年「自動車税制に関するアンケート」を実施し、その結果にもとづいた「自動車税制改正に関する要望書」を作成しています。今年(2020年)の調査と要望書も作成され10月に発表されました。今年の調査と要望書はどのような内容だったのでしょうか。その内容を紹介します。
アンケートの質問内容は、どういったものなのか?
JAFが2020年に実施した「自動車税制に関するアンケート調査」は、JAFのホームページにて8月18日から31日までの14日間にかけて実施されました。有効回答者数は17万0097人。近年の回答者数は12万人前後ですから、今年は過去最高の回答者数となりました。
用意された質問は12。その内容を簡単にまとめてみると、以下のようになります。
「問1 マイカーにかかる税金をどのように感じるのか」
「問2 現行の自動車税制についてどう考えるのか」
「問3 自動車取得税が廃止され、新たに付加された環境性能割をどう考えるか」
「問4 2019年の自動車税の減税措置をどう評価するのか」
「問5 自動車重量税は廃止すべきという意見に対してどう考えるのか」
「問6 “当分の間税率”と呼ばれる特例税率をどう考ええるのか」
「問7 問6で反対・どちらかといえば反対と答えた方へ、その理由はなにか」
「問8 問6で賛成・どちらかといえば賛成と答えた方へ、その理由はなにか」
「問9 新車登録から13年を経過した車両にかかる税の重課をどう考えるのか」
「問10 ガソリン税に消費税がかかることをどう考えるのか」
「問11 先進安全自動車(ASV)に税制優遇は必要であるという意見を、どう考えるのか」
「問12 その他、自動車税制についてのご意見があればお聞かせください」
ちなみに、この12の項目は、2019年に実施された内容とほぼ同一のもの。
そして、そのアンケートの問1~11の結果を2019年と2020年と比べてみれば数%の違いしかありません。昨年から世論はあまり変化していないのでしょう。
自動車の税を多くの人が負担に感じており、軽減してほしいと願っている
では、回答の中身はどのようなものだったのか。12ある質問の結果をすべて紹介するのは難しいので、ここではメディアでもよく話題になる2つの質問をピックアップしたいと思います。
最初に紹介するのは「問1 マイカーにかかる税金をどのように感じるのか」。正確には、以下のような質問です。
問1:マイカーには、取得後毎年、次の【表2】のような税金が課せられています。あなたはこれら自動車にかかる税金をどのように感じますか?
そして、その答えは、以下のようになりました。
「非常に負担に感じる」「負担に感じる」「やや負担に感じる」の合計が98%にも達します。「負担に感じない」「どちらともいえない」は、あわせて1%しかありません。
続いては「問2 現行の自動車税制についてどう考えるのか」の結果です。設問は以下の通り。
問2:特に公共交通機関の整備が十分でない地方では、自動車は生活の足として必需品であり、次の【表3】のように一世帯で複数台の自動車を持たざるを得ない状況です。そのため地方においては自動車に係る税金が大都市圏と比べて大きな負担となっているという指摘があります。このような状況を踏まえ、あなたは現行の自動車税制についてどうお考えですか?
そして、その結果は。
結果は、92%が「税制を見直して、負担を軽減すべき」と答えています。
また、他の設問でも、ほとんどが税負担軽減を期待する声が大多数を占めます。特に「問9 新車登録から13年を経過した車両にかかる税の重課をどう考えるのか」は“反対”が83%、「問10 ガソリン税に消費税がかかることをどう考えるのか」は“消費税をかからないようにすべき”が91%となっています。
アンケート結果を受けてできた要望書の内容とは
こうした約17万人もの回答からJAFがまとめたのが、「2021年度税制改正に関する要望書」です。その内容を抜粋すると、3つの大きな柱があり、その下にいくつかの具体的な内容が記載されています。それは以下のようなもの。
1 過重で不合理な自動車税制の抜本的な見直しによる簡素化と自動車ユーザーの負担軽減の実現
① 自動車税の恒久引き下げは、すでに保有している車も対象(新車以外も減税に)
② 自動車重量税の廃止(根拠がないので廃止。少なくとも上乗せの「当分の間税率」は廃止)
③ 「当分の間税率」の廃止(ガソリン税の上乗せ分を廃止)
④ Tax on Taxの解消(ガソリン税に消費税をかけることを解消)
2 すでに過重な税負担を強いられている自動車ユーザーにさらなる負担を求めることはもはや限界にきており断固反対
・重課措置の廃止(新車登録後13年経過のクルマへの重課税は廃止)
3 先進環境対応車(低燃費車等)と先進安全自動車(ASV技術の導入車)に対する優遇措置の強化
また、JAFとしては、複雑な課税体形を簡素化しつつ、さらに負担を軽減するのが望ましいと考えており、新たな税体系も提案しています。
そんな要望書ですが、今年は見せ方が2点変わっています。それは「表紙にボイスパネルの写真が掲載され、自動車ユーザーの声であることが強調された」「要望概要に2つのグラフが挿入され、訴えたいことが視覚的に表現された」というものです。ただし、要望の基本的な内容は例年通り裏を返せば、なかなか要望が通っていないことを意味します。
自動車の税制は、すべての自動車オーナーに関わる問題。他人事ではありません。JAFが発表したアンケートや要望書を知り、自分で考えることが重要ではないでしょうか。
<関連リンク>
JAF
https://jaf.or.jp/individual
JAF 自動車税制に関するアンケートと要望書
https://jaf.or.jp/common/safety-drive/library/automobile-tax
(取材・文:鈴木ケンイチ/データ・表組:JAF(日本自動車連盟)/編集:奥村みよ+ノオト)
[ガズー編集部]
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