「ごみ収集車」のサブスクがスタート!誰にどんなメリットがあるの?

クルマのサブスクリプションサービスが、増えています。月々、定額で新車に乗れることがメリットで、クルマの所有方法としても注目されていますが、これまでは私たち一般ユーザーが使う、乗用車が中心でした。

そんな中、特装車を取り扱う新明和オートセールスが、新たに「ごみ収集車」のサブスクリプションサービス「G-SUB(Garbage Truck - Subscription)」を11月2日にスタート。果たして誰にどんなメリットがあるのでしょうか?

新車のごみ収集車、月額20万円~

まずは、ごみ収集車のサブスク「G-SUB」のサービス内容を簡単に説明しておきましょう。新車のごみ収集車を、月々定額で2年間利用できるというもの。乗用車のサブスクリプションサービスと同様に、定額料金の中に保険費用や税金、メンテナンス費用といったランニングコストが含まれています。

サブスクで利用できるごみ収集車として、2・3・4トン車、積み込み方式についても回転式と圧縮式いずれも用意するなど、さまざまな需要に応えられる品揃えになっています。料金は月額およそ20万円から。まずは東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の一都三県でサービスを開始しています。

なぜ、ごみ収集車をサブスクに?

このG-SUBを発案したのは、新明和オートセールス取締役社長兼G-SUB推進室長の松田隆史さん。なぜ、このサービスを始めようと思ったのでしょうか?

「弊社はごみ収集車を始めとした、各種特装車の開発や販売を70年以上にわたり行っています。今後もこの事業を永続的に続けていくには、新しい時代にあったあり方が必要だと考えていたところ、乗用車でサブスクリプションサービスが普及しつつあることを知り、関心を持ちました。弊社で扱うクルマもサブスクリプションで提供できたら。そんな思いで実現に向けて舵を切りました」(松田さん)

とはいえ、私たち一般ユーザーにそのメリットはよくわかりません。ごみ収集車は、どのような買い方が一般的で、サブスクリプションにするとどんなメリットがあるのでしょうか?

「ごみ収集車は近年、5~6年の長期リースで利用されるケースが一般的です。しかし、このリースプランには、ごみ収集機能(ごみを集め、圧縮する装置)のメンテナンス代金は含まれていません。つまり、ごみ収集車の場合、エンジンやシャシーといった『車』部分のランニングコストは予算化できても、ごみ収集機能のコストの予算化が難しかったのです」(松田さん)

今回のサブスクリプションサービス開始によって、懸案のごみ収集機能にかかるメンテナンスコストも月額料金に含まれたことで、維持費を予算化することが可能になったのですね。

「今までの利用形態と異なり、特装部分のメンテナンスはもちろん、修理費用も月額料金に含まれています。トータルコストを比較した場合、『G-SUBの方が大幅に安い』というわけではありませんが、事業者様にとって予め維持コストを把握できる点は大きなメリットですね」(松田さん)

もうひとつのメリットは、このサービスが「新車を2年間利用」するプランとなっていること。2年ごとに契約を更新すれば、常に新型のキレイなクルマをつかって事業活動が行えるというわけです。

「乗用車と同じように、ごみ収集車を始めとした特装車も年々、進化を遂げています。弊社のごみ収集車で例を挙げるならば、後方に装着されたカメラで作業者を認識し、危険を感知した場合は積込プレートの作動を自動的にストップし、巻き込まれ被害を軽減する安全機能(塵芥車用巻き込まれ被害軽減装置「Smart eye motion®」)などがあります。2年ごとに新車に乗り換える仕組みのG-SUBであれば、常に最新型のクルマをご提供できるため、安全性や業務効率の向上を図ることができるのです」(松田さん)

  • 作業者の危険をカメラで検知し、自動的に動作をストップする安全機能

    作業者の危険をカメラで検知し、自動的に動作をストップする安全機能

働くクルマの世界もサブスク化が進む?

一都三県からスタートしたところですが、既に全国の事業者から問い合わせがあるそうです。

「弊社の特装車部門が神奈川県にあるため、関東エリアからサービスを開始したのですが、それ以外のエリアの事業者様からも興味を持っていただいています。お話を伺うと、やはり特装部分のメンテナンスや修理費用が月額料金に含まれる点にメリットを感じていただいているようです。これまで特装部分の修理や維持にかかるコストを見積もるのが難しかったため、予算化したくてもできないという声が多く寄せられていました。今後は可能な限りすべての声に応えられるよう、車種のラインアップを増やして、全国展開していきたいですね」(松田さん)

自動車業界の新たなトレンドのひとつであるサブスクリプション。新しい自動車利用の形は、働くクルマの世界でも定着していくのでしょうね。私たちの知らないところでも、クルマのあり方は変わっているようです。

 

<関連リンク>
業界初 塵芥車のサブスク 新明和「G-SUB」
   http://auto-chukosya.shinmaywa.co.jp/AutoUsedHP/src/autousedhp/zanka/index.html

新明和工業株式会社 特装車サイト
   https://www.shinmaywa.co.jp/truck/index.html

 

(取材・文:西川昇吾/写真:新明和工業、新明和オートセールス/編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

コラムトップ