年賀状用「クルマイラスト」の描き方をプロのクルママンガ家に教わった≪側面編≫

昨年、クルママンガ家の田代哲也先生に、年賀状を想定した「前から見たクルマの描き方」を教えてもらいました。今年は、その第2弾として「横から見たクルマの描き方」を伝授していただきます。

  • リクルートの自動車雑誌『カーセンサー』、カーセンサーnet『日刊カーセンサー』にて、人気企画【自動車ゼミ】を連載する田代先生。過去に『CAR BOY(八重洲出版)』、『カーマガジンJAC(JAC)』でもクルママンガの連載を持ち、『DIME(小学館)』や『エンスーCARガイド・スイフトスポーツ編(エンスーCARガイド)』にも寄稿

今回の題材は、トヨタC-HR」とトヨタ「スープラ」。ほかのクルマでも基本的な描き方は同じですが、側面は前面と比べて描くのが難しいため、先に「前から見たクルマを描いたことがある」を読んでクルマイラストの基本を頭に入れておくことをオススメします。

<事前に用意するもの>
・描きたいクルマの側面画像
○紙に描く場合
・エンピツかシャープペンシル
・消しゴム
・太さの異なる3種類のペン
・円定規かコンパス(あれば)

C-HRを描いてみよう! ~必要時間:約1時間~

まず、C-HRの画像を参考に、2つのだ円でアタリをとります。

  • (写真:トヨタ自動車)

上のだ円は、サイドガラスからルーフの部分、下のだ円はボンネットから下の部分。下のだ円が描けたら、車高を考慮して地面の線を引きます。

次に前後ホイールの中央を通るように、縦と横の線を引きます。横の線は地面と平行になるよう気をつけて引きましょう。

縦と横の線が描けたら、十字を中心点としてタイヤのアタリをとります。フリーハンドできれいな円を描くのはとても難しいこと。多少、いびつでもいいので、ボディに対してのタイヤの大きさに気をつけて描きましょう。

田代先生は、この段階でタイヤの下書きと清書を行っていましたが、全体の下書きが終わったあとでも問題はないそう。タイヤの下書きは、外径のアタリと十字を基準に円定規、もしくはコンパスを使用して書き込むと、キレイに描くことができます。

円定規は縦と横のしるしを、アタリの十字の線と重ねて使う

パソコンやタブレット上でグラフィックツールを使って描く場合、「同心円定規」機能を使うことで、簡単にタイヤやホイールの外径や内径を描くことができます。

ホイールをきちんと描き込むと、イラストの完成度が大きく上がります。しかし難易度も高いので「難しそう」と感じたのなら、タイヤの内径だけでも大丈夫です。グラフィックツールを使用する場合、「対角線定規」機能を使用すると、効率よくホイールのデザインを作れます。

ここではC-HR純正ホイールのイラストを掲載するので、描き込む際の参考にしてください。

ここからは下書きです。車体に戻り、アタリのだ円に沿って全体の輪郭を描き込みます。

次にガラス(サイドウインドウ)の下側(ウエストライン)を描き込みます。昔のクルマは、ほぼ平行なラインだったのですが、近年のクルマは一度、斜めに下がってから、ゆっくりと上がるラインが主流なのだそう。「C-HR」もドアミラーも一旦下がり、後方に向かって上がっていきます。

リアにまで流れる、ドア上部の黒いラインを描き込みます。

続いてガラス(サイドウインドウ)の上側とピラー、サイドミラーを描き込みます。C-HRのBピラーは垂直に立っているのではなく、少し後ろに傾いています。

ドアの下側にあるドアパネルを描き込みます。何となくC-HRっぽくなってきました。

ヘッドライト、ボンネット、ドア、そしてボディとフェンダーのさかい(くぼみ)を表現する線を描き込みます。ドアの線は、くぼみやサイドパネル上を通る際、凹凸によるズレを表現すると、それっぽくなります。

クルマを描き慣れない人は、前のドアの線をタイヤハウスの上に通してしまいがちです。乗用車のほとんどは、タイヤハウスの後ろに線が通ります。意識して参考画像を見て、線の通る場所を確認しましょう。

ドアやヘッドライト、ガラスが描き終わったら、バンパーのデザインや細かい装飾を描き込みます。

給油口の線も、くぼみを通る部分は線をずらして表現します。

これで下書きが完成しました。いよいよペン入れに入ります。ここからはペン入れした部分を分かりやすくするため、アタリや下書きの線を薄く表現します。

まず輪郭からペン入れを行います。用意した3本のペンのうち、一番太い線の書けるペンを使用します。

次にガラスやライト、装飾といったパーツの分かれている線を、中くらいの太さのペンでなぞります。

最後にドアやボディのくぼみを表現する線を、細いペンで描き込みます。線の太さに悩んだ場合、とりあえず細いペンで描いておくと、「やっぱり物足りない」と感じたときに上書き修正をすることができます。

ペン入れが完成したらインクが乾くのを待ち、消しゴムでアタリと下書きの線を消します。

最後に着色です。今回はホワイトのボディカラーを表現するため、ボディには着色せず、黒やグレーのパーツ、テールランプといった箇所にのみ着色しました。

以上で完成です。ここまでお疲れ様でした。

スープラは少し難しい?~必要時間:1時間30分~

スープラも、基本となる描き方はC-HRと一緒です。C-HRと比べてボディの装飾やパーツは少ないものの、曲面的なデザインの表現がとても難しく、ちゃんと描き込もうとすると時間がかかります。

  • (写真:トヨタ自動車)

まずはスープラの画像を参考に、大きなだ円でボディのアタリをとり、その上に浅いお椀をかぶせてルーフ部のアタリをとります。C-HRと比べ、アタリのだ円は横に長くなります。その後、地面と、前後ホイールの中央を通るように縦と横の線を引き、タイヤのアタリを取ります。

参考用のスープラ純正ホイールは、以下の通り。ホイールのデザインは凝ったもので、内側にブレーキローターとブレーキキャリパーが見えるなど、しっかりと描くとかなり難易度が高いものとなっています。難しいと感じたら、描ける程度に簡略化してもOK。タイヤの内径だけを描いてホイールを省略しても、スープラらしいイラストに仕上がります。

ブレーキキャリパーは車体の中央寄り、前輪ならば後側、後輪ならば前側に着いています。

ここからは下書きです。車体の輪郭やガラス、各ピラーを描き込みます。ここではアタリの線を消し、明確に車体のシルエットがわかる状態を掲載するので、下書きの参考にしてください。

輪郭が完成したら、ライトやドアミラー、ドアノブ、各種の装飾やドアの線を描き込み、ボディとフェンダーのさかい(くぼみ)を表現するラインを描き込みます。このくぼみを表現するラインが描き込まれていると、よりスープラらしく仕上がります。

以上で下書きは完成。ここからペン入れに入ります。C-HRと同様に、太さの違う3種類のペンを使用します。まず太いペンで輪郭を描き込みます。

続いて中くらいの太さのペンで、ガラスやライト、装飾といったパーツの線を描きます。スープラはリアフェンダーへのくぼみがハッキリしているため、中くらいの太さのペンで表現しました。

ドアのチリやくぼみの線を、細いペンで描き込みます。

インクが乾いたら下書きの線を消しゴムで消して、ペン入れは完成です。

最後に着色です。ここではレッドのボディカラーにしました。赤のペンで塗るだけでもいいのですが、暗いレッドや薄いブラックでくぼみの影を描き込むことにより、スープラのなだらかなデザインが表現できます。描き込みすぎるとレッドが暗くなってしまうので注意しましょう。

以上でスープラの完成です。お疲れ様でした!

完成したイラストを年賀状にしてみた!

さっそく、描き上がったC-HRとスープラで年賀状を作ってみました。

前面よりも難しい側面のイラスト。何度か挑戦し、納得のイラストを描いてみてください。ホワイトとレッドで2台描けば、おめでたい雰囲気も満点です。

<関連リンク>
田代哲也ウェブサイト「ポンチ生活」
http://tash.eek.jp

(取材・文・写真:糸井賢一/イラスト:田代哲也/編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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