「九州自動車歴史館」は映画の劇中車が並ぶユニークな私設博物館
別府と並んで温泉で有名な大分県屈指の観光地、由布院温泉。今回紹介する「九州自動車歴史館」は、街のいたるところに温泉旅館がひしめく観光エリアに位置する私設博物館で、戦前を含む昭和時代の2輪、3輪、4輪車合わせて約80台を展示しています。
その特徴は、展示車の多くが映画やテレビドラマなどに登場したモデルという点でしょう。展示車両の解説もその流れに沿ったもので、スクリーンやブラウン管を彩ったクルマたちは、自動車の歴史だけではなく、時代の文化も感じさせてくれます。
高倉健が乗ったサイドカー
中でもその特徴が顕著なのは、「戦後の日本の風景」のコーナーです。戦争映画などではおなじみのウイリスジープや、向田邦子原作の映画『あうん』で主役の高倉健が劇中で乗っていたオートバイ(1950年代の陸王VFD1200サイドカー)、沢田研二が出演しているTVテレビCMで使用されたオート三輪(1952年 ダイハツSK)など、単に車種の珍しさだけでは語れない、さまざまなエピソードを持つ車両が数多く展示されています。
山口百恵主演の映画『古都』やNHKドラマ『おしん』で使用されたダットサン25型トラックや、同じく『おしん』に登場した緑色のくろがねオート三輪の姿も。出演時のエピソードはもちろん、戦後の復興期に日本人の生活を支えたクルマを通じて、日本が歩んできた道を感じることができます。
欧米のスポーツカーもズラリと並ぶ!
撮影に使われたクルマ以外にも、自動車の歴史に名を残すクルマや昭和という時代を反映するクルマが館内にギュッと詰まっています。1970年代の少年を夢中にさせた漫画『サーキットの狼』の主役ともいえるロータス ヨーロッパと並んで展示されているのは、ランボルギーニ ウラッコ。なかなかシブい選択です。
自動車の歴史を語る上で欠かせないT型フォードは多くのミュージアムで見られるモデルですが、その説明書きは現代のクルマと違うペダルの配置や運転方法などが詳しく説明されているマニアックなモノ。日本の自動車史にとって大きな存在であるスバル360も博物館ではポピュラーな1台ですが、こちらに展示してあるのは昭和33年式の初期型。こちらも貴重な1台です。
館内の2階に展示している飛行機のような乗り物は、「パルス」。両側に取り付けられた補助輪は速度が上がると地面から浮上し、2輪走行するという未来型オートバイです。歴史館に入庫した当時はその詳細がわからず、テレビ東京「開運!なんでも鑑定団」でその正体にたどりついたそう。ほかの展示車とはちょっと違うテレビとの繋がり方ですね。
湯布院の街も楽しもう!
「九州自動車歴史館」はJR由布院駅からも徒歩15分程度と近く、かつて別府の奥座敷と呼ばれたこの地ならではの高級旅館と、若者も楽しめるカフェやミュージアムなど洒落た施設が同居するエリアにあります。
また、この地域の名物”とり天”はボリュームがありながらもさっぱりとした味。ミュージアムの周りにもたくさんお店がありますので、足を運んでみるのもいいかもしれません。
ちなみにJRの駅は「“由”布院駅」ですが高速道路のインターチェンジは「“湯”布院IC」と、少々ややこしい由布市。温泉はもちろんですが、その他の観光も年代を問わず楽しめるスポット目白押しの街でした。
<九州自動車歴史館>
住所:大分県由布市湯布院町川上
電話:0977-84-3909
Webサイト:http://ret.car.coocan.jp
駐車場:あり
※開館時間、休館日はWebサイトにてご確認ください。
(取材・文・写真:高橋学/編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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