フェラーリでねっとり甘い焼き芋を販売する「すーぱーかーやきいも」

東京多摩・日の出町。この町で「フェラーリで売る焼き芋屋さん」が話題になっています。その名も「すーぱーかーやきいも」。自動車の板金・修理工場「ドリームカー」を営む原田輝和さんが始めたのですが、そもそもなぜフェラーリなのか? なぜ焼き芋なのか? 驚きが尽きないその真相を伺いました。

妻のためでもあり、何よりおもしろいことがしたかった!

  • 真っ赤なフェラーリが特徴的な「すーぱーかーやきいも」

イタリアの高級スポーツカー「フェラーリ」。しかも真っ赤な車体で牽引して販売しているものはなんと「焼き芋」。なんというギャップとインパクトでしょう! そこには原田さんの純粋な思いがありました。

「最初は面白半分でした。妻が焼き芋好きで、私はクルマが好き。そんなこともあり、以前からちょっと変わったことをやってみたいという思いもありまして。そこで、ただ焼き芋を売るのではなく、所有していたフェラーリとのコラボを考えました。日本では子どもからお年寄りまで幅広い層に『焼き芋』は認知されているのでイタリアな車+焼き芋と認知度が高く、またミスマッチがウケるのではないかと思い実行しました」(店主・原田輝和さん)

奥様と原田さんの好きなもの同士を合体させてみたら……なんとも不思議なコラボが完成した、という訳です。そして2018年の年末にスタート。最初は周囲もかなり難色を示していたそうですが、思いのほか、焼き芋の味が認められ徐々にリピーターが増えてきました。

原田さんも「すーぱーかーやきいも」を始めてからお客さんの笑顔がとても印象的で、「それならいろいろなところに出張して子どもたちやお年寄りに夢を届けたい」という気持ちも強くなったそうです。

作ってしまうのはお手のもの!

フェラーリ「F360モデナ2001モデル」が焼き台を載せたトレーラーを牽引する、という構成の「すーぱーかーやきいも」。この車両は、もともと原田さんの自動車工場にメンテナンスとして持ち込まれたもので、10年前、元のオーナーが車両の買い替えをした時に原田さんが譲り受けたのだとか。

  • イベント出店中の「すーぱーかーやきいも」

もともとクルマやバイクが好きで、スーパーカー世代でもある原田さん。過去にも、フェラーリ「348TB」、ランボルギーニ「ディアブロ」、フェラーリ「テスタロッサ」を所有していました。今までのクルマも自分なりにカスタムをして楽しんでいたとのこと。

仕事でもさまざまな車両のワンオフ(オリジナル車両)を手掛けてきました。オートサロンをはじめ、展示会やイベント車両も製作してきたこともあり、「ないものを形にする」というクリエイティブな人。そのため、フェラーリに手を加えることに対してはなんの躊躇もなかったそうです。

「コンセプトは『フェラーリのエンジンで焼き芋を焼く』ですが、さすがにそれは難しいので、フェラーリを真っ二つに切ったイメージで、エンジン部分に焼き窯を置き焼くスタイルを考えました。造形からトレーラー部分の製作を一人で仕事の合間に2か月かけて行ないました。構造変更後、陸運局で車検取得もしています」(店主・原田輝和さん)

  • 製作中の焼き台のトレーラー

焼き芋台のトレーラーは、水上バイク用トレーラーがベース。ワイドトレッドスペーサーや車高といった足回り部分を調整し、外装を整え、保安部品などを取り付けています。

芋へのこだわりもハンパない!

  • 基本Lサイズ500円(250g~300g)、LLサイズ600円(300g~350g)

焼き芋そのものにも強いこだわりがある「すーぱーかーやきいも」。芋は基本、紅はるかを使用し、鉱物の水晶石で焼いています。水晶石で焼くことで芋の糖度がより増すそうです。

「芋の大きさや時期ごとで味や焼き方にバラツキがあり、その点が気になり、焼き方などを数値化しました。そうしたことで時期や芋の個体に関係なく甘〜い焼き芋ができました。でも今も日夜勉強中です」(店主・原田輝和さん)

契約農家のこだわりを知ってもらい、焼き芋という、安全安心な自然食を多くの人に知ってもらいたい。最初は思いつきで「こんなことをしたらおもしろいのでは?」というところから、焼き芋そのものへのこだわりも生まれ、事業を拡大中。焼き芋を使ったジェラートや干し芋などの商品も開発しています。

  • 左から「キャリーリ」、「すーぱーかーやきいも」、「サンバルギーニ 」

現在では「すーぱーかーやきいも」の他に、スバル「サンバー」をベースにした焼き芋カー『サンバルギーニ』や、スズキ「キャリー」をベースにしたジェラートカー『キャリーリ』、会社敷地内にある『SYCafe43』などを展開し営業しているとのこと。もちろんイベントなどがあれば各地域で出張販売を行なっています。

クルマ好きの人はもちろんのこと、甘いもの好きな人も、SNS好きな人にも話題になる、楽しいコンテンツですね。

<取材協力>
ドリームカー
https://supercar-yakiimo.com/
https://twitter.com/dreamcar5982

(取材・文:別役ちひろ/写真:ドリームカー/編集:奥村みよ+ノオト)

[ガズー編集部]

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