人工芝で覆われた「芝カー」とは? ムーヴ、ライトエース、フェアレディZを自らカスタム
本物と見間違うような人工芝に覆われたクルマ、その名も「芝カー」。兵庫県福崎町で造園業を営む牛尾立正園の牛尾展也(のぶや)さんが、自社で扱う人工芝を自らの手で貼り付けカスタムしたクルマです。
芝カーは車検を通しており、公道を走れるというから驚き。現在は3台の芝カーを所有し、最新モデルは日産の「フェアレディZ33型」が人工芝で覆いつくされています。芝カー誕生のきっかけやカスタムのこだわり、今後の目標について展也さんに話を伺いました。
天然芝と見間違う質感の「超リアル人工芝」
大正12年から造園業を営む牛尾立正園の4代目・展也さん。従来の風合いと異なるリアルな人工芝と出合ったのは2012年、タイ・バンコクの広場でした。
「コンクリートに芝生が植えてあるのを不思議に思い、よく見てみたらすごくリアルな人工芝。昔のプールサイドによくある硬い人工芝のイメージしかなかったので驚きました。人工芝は管理が楽だし、これだったら触り心地も良いから日本でヒットすると思い事業を始めました」(展也さん)
ふわふわとした触り心地や実物に近付けた色合い、芝の毛の太さや形状にこだわったオリジナル商品「超リアル人工芝」は、天然芝と見間違うほどのクオリティです。クルマに貼っていても「これはどうやって水をあげるのですか?」と聞かれることもあるのだとか。
きっかけは人工芝のPR。芝カー誕生ストーリー
2013年、バイクのシートに人工芝を貼ってイベントに出たことが芝カー誕生のきっかけでした。イベントでは多くの人がシートを触り、注目を集めたことから商品のPRにつながると考え、すぐにダイハツ「ムーヴ」を購入して人工芝を貼ることにしました。
人工芝は、シリコンボンドとビスを使って車体に貼り付けますが、クルマの場合は面積が広く、曲面をうまく貼るのも技術が必要です。また、接ぎ目が見えないようにラッピングするのも大変なのだとか。
しかし、一度貼り付ければ、耐久性のある人工芝のためほとんど補修は必要なく、剥がれることもありません。外装だけでなく、社内のフロアマットやフロントにも人工芝が使われています。
「最初は展示車にしようと思っていたのですが、いざ貼ってみたら出来がよかったので車検に挑戦しました。芝生の厚みで3cmずつ車幅が増えるので、軽自動車を普通車として車検を通すことができました」(展也さん)
車検を通したことで公道を走れるようになり、より注目を集めるようになった芝カー。メディアやSNSでの反響は絶大で、自社商品の広告塔として活躍しました。お客さまからも芝カーの注文が入ったことも。今まで花屋のクルマなど、3体施工しているそうです。
その後、2代目の芝カーとしてトヨタの「ライトエース」をラッピング。2年ほど前には、「芝Z」と命名したフェアレディZの芝カーが誕生しています。
「日常で使うクルマとして、日産の「フェアレディZ・Z34型」を購入しました。でも周りから“それには芝生を貼らないの?”という声があがり、急きょ人工芝を貼るためにフェアレディZ・Z33型を購入しました。ライトエースは全体的にかわいく仕上がったんですが、Zはスポーツカーなのでカーボンラッピングした上から人工芝を貼ったり、グリルのように穴を開けたり、赤いラインを入れたりして凝ったデザインでつくりました」(展也さん)
前々から好きな車種だったこともあり、半年の時間をかけてこだわって作り上げた芝Z。人工芝を貼ったことで、車幅1810mmから1880mmに、重量1450kgから1510kgに変更して車検を通しました。リアウイングなどの装備や吸気・排気パーツのカスタム費を含め400万円程かけたそうです。芝Zは、仕事・プライベート関係なく走らせており、鈴鹿サーキットでスポーツ走行もしています。
いつかは海外で。芝カーの今後の目標とは
元々はバイク好きで、クルマに関してはまったく興味のなかった展也さん。人工芝を貼るようになってからクルマ好きになったのだと話します。
「人工芝のおかげでクルマの台数が増えてしまって、もう一人では乗り切れない状態です(笑)。 バイクも2台所有していますが、乗る機会がないので近所のおじいさんに預けてあります」(展也さん)
自社のPRだけにとどまらない存在感を放つ芝カー。今後は、海外展開する目標もあるそうです。
「新型コロナウイルスが流行する前はカンボジアをはじめとする海外でボランティアをしていたので、いろいろな国を芝カーで走りたいと考えています。各国で芝カーを作って、現地の人が笑顔になればうれしいですし、それが新たなビジネスにつながったら何よりです」(展也さん)
日本で数台しかない芝カーが公道を走っている姿をぜひ見かけたいものです。イベントなどで遭遇した際には、ぜひ芝カーに触れてみてくださいね。
<取材協力>
牛尾立正園
(取材・文:笹田理恵/写真:牛尾立正園/編集:奥村みよ+ノオト)
[ガズー編集部]
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-
-
-
楽しく学べる「防災ファミリーフェス」を茨城県の全トヨタディーラーが運営する「茨城ワクドキクラブ」が開催
2024.11.21
-
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-