何が進化しているの? 「バッテリーの日」に学ぶ最新バッテリー事情
12月12日は「バッテリーの日」。バッテリーといえば、BEV(電気自動車)用のリチウムイオン電池が話題になっていますが、一方で古くからある鉛バッテリーも日々進化しています。そこで、「GSユアサ」に最新の鉛バッテリー事情をたずねてみました。
GSユアサは、国内の新車向けで約7割、補修向けでも約6割ものシェア(出荷ベース)を誇る、国内最大手のバッテリーメーカーです。
BEV時代になっても鉛バッテリーはなくならない
バッテリーと聞いて今、もっとも気になるのがBEV時代の到来です。BEVは、走行用に容量の大きなリチウムイオン電池を大量に搭載しています。BEV時代になると、始動用の鉛バッテリーは、どうなるのでしょうか?
「BEVやハイブリッド車などの電動車両には、12Vの鉛バッテリーが補機用として使用されています。車両の電動化が進むにつれ、始動用としての鉛バッテリーの需要は減少しますが、補機用の需要増加が見込まれています」
「また、クルマの電動化の進み方には地域差があり、エンジン始動用の鉛バッテリーの需要はASEANを中心として当面は一定数残る見込みで、始動用から補機用への需要の遷移が緩やかに進んでいくと考えています」(GSユアサ広報)
実は、日本で販売されているBEVにも、駆動用以外に鉛バッテリーが搭載されているのです。オーディオやエアコン、ライトシステムなど、クルマの機器の多くは12Vで使う前提で作られています。そうした機器を使っている間は、12Vの鉛バッテリーの需要がなくならないというわけです。
鉛バッテリーの負担は大きくなり、耐久性も求められる
鉛バッテリーの必要性はわかりました。でも、鉛バッテリーは昔からある技術。進化はしているのでしょうか?
「近年、新車販売におけるアイドリングストップ車や、ハイブリッド車などの電動車の割合が増加しており、バッテリーもそれらの車両が求めるスペックを満たすよう、対応してきました。アイドリングストップ車は、さらなる燃費性能改善のため、エンジン停止回数や停止時間の拡大をはじめ、減速時のアイドリングストップシステム作動や充電時間の短縮など、日々進化し続けています。そのため、バッテリーの負担はますます大きくなっており、より高い耐久性が求められています」(GSユアサ広報)
クルマの進化に合わせて鉛バッテリーも進化しているのですね。より具体的に聞いてみると、次のとおり。
「アイドリングストップ中はバッテリーから電力を供給するため、放電気味の状態で使われる傾向がありますので、素早く充電できるクイックチャージ性能が求められます。また、ハイブリッド車用鉛バッテリーは、ハイブリッドシステムを起動するための電源である補機用バッテリーとして使用され、後部座席下やトランクルームなど、車室内に搭載されていることが多く、バッテリーから発生するガスを車外に排出できる構造が求められます」(GSユアサ広報)
また、日本の規格である「JIS」だけでなく、欧州統一規格の「ENタイプ」の鉛バッテリーの搭載も拡大しているとか。そのため、現状では主に以下の6タイプの鉛バッテリーが発売されています。
■一般ガソリン車(充電制御車含む)用JIS規格
■一般ガソリン車(充電制御車含む)用EN規格
■アイドリングストップ車用JIS規格
■アイドリングストップ車用EN規格
■HEV/PHEV/BEV(補機バッテリー)用JIS規格
(参考:エンジンルーム以外に搭載する場合、VRLAタイプ/制御弁方式が多い)
■HEV/PHEV/BEV(補機バッテリー)用EN規格
最新バッテリーも日常の点検は、従来と同じ
知らないところで進化していた最新の鉛バッテリー。メンテナンス方法は従来と違うのでしょうか?
「最新型のバッテリーであっても基本的な日常のメンテナンスはこれまでと変わりません。外観点検、液量点検、内部点検の大きくわけて3つとなります」(GSユアサ広報)
外観点検とは、文字通りに外から見た状態のチェックです。変形や破損、液漏れ、端子の腐食やゆるみがないことを確認します。
2つ目の液量点検は、内部の電解液の量の点検です。定期的に規定液量にあるかどうかを点検し、最低液面線(LOWER LEVEL)近くまで減っていれば精製水を補充して規定液量を保つ必要があります。液面線がないバッテリーは、液栓から伸びるスリーブが液面に触れているかどうかで確認します。
3つ目の内部点検は、点検機器を使っての点検です。鉛バッテリーは、外観や液面の状態からだけでは、内部の劣化状態や充電状態はわからないため、バッテリーテスターや比重計による点検を組みあわせて、鉛バッテリーの正確な状態を把握します。ディーラーなどの専門家に点検を依頼しましょう。
鉛バッテリーを長持ちさせるコツとは?
最後に、鉛バッテリーを長持ちさせるコツを聞いてみました。
「最新型の鉛バッテリーであっても基本的に気を付けるべきことはこれまでと変わりません。寿命を延ばすためには、深い放電状態で電池を放置しないことが重要ですので、定期的にクルマを走らせて鉛バッテリーを充電することが効果的です」
「また、最近は『鉛バッテリーの突然死(寿命)』によるバッテリー上がりも多くなっています。これは車両および鉛バッテリーの性能が向上したことで、寿命末期までエンジン始動ができるため、ドライバーが鉛バッテリーの劣化に気が付かないためです。内部劣化状況は外観からはわからないため、車両販売店もしくはバッテリー取扱店で、定期的に鉛バッテリーの点検をされることをお奨めします。点検の結果、劣化が見られた場合には、トラブル前の早めの交換をお勧めします」(GSユアサ広報)
定期的にクルマを走らせて、鉛バッテリーに充電させ、点検で劣化が見つかったら早めの交換。こうした注意点は、従来のままですね。
(取材・文:鈴木ケンイチ 編集:木谷 宗義type-e+ノオト)
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GSユアサ 車用バッテリーの知識
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