「ハンズオフ」「アイズオフ」ってなに? 「手放し運転」までできる運転支援システム最新事情
自動運転のクルマがあったらいいなぁ……。そう考えたことがある人も、きっと少なくないでしょう。
実際には、未来映画に出てくるような「寝ている間に目的地まで連れて行ってくれる」という自動運転車両は、まだ夢のレベル。そんなクルマが一般化するには、まだまだ時間がかかりそうです。しかし、一部の状況において運転をアシストしてくれるクルマは、かなり普及しています。
たとえば「ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」もそのひとつ。
■車間距離を保って走るクルーズコントロールの進化系:ACC
「レーダークルーズコントロール」などともいう高速道路などで使えるこの機能は、レーダーなどで前方の状況を把握し、前を走るクルマに合わせてドライバーがアクセルやブレーキを踏むことなく、クルマが自ら速度を調整します。
一定の車間距離を保ち、前のクルマが減速すればそれに合わせて速度を落とすので、安全にも貢献する機能といっていいでしょう。また、「全車速追従」などと呼ばれる高機能版は、渋滞になり前走車が止ると、自車が停止するまでブレーキ操作を制御。
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ACCが付いていると、高速道路でドライバーがアクセルを操作しなくても車速を自動調整し追従走行できる(写真:トヨタ自動車)
さらに「停止保持機能」と呼ばれる、停止するとドライバーの操作なしに停止状態を保持する機能まで組み込むタイプもあります。
使うことでドライバーの疲労を大きく軽減してくれるこの「ACC」は、今や高級車だけでなく軽自動車やコンパクトカーにまで広く普及しています。たとえばトヨタでは、「ヤリス」や「アクア」でも、多くのグレードに標準装備です。
■手放し運転もできるクルマも増えている:ハンズオフ
ACCの次の段階といえるのが、ハンドル操作のアシスト。ACCでアクセル操作を不要とするとともに、車線内を走るようにハンドル操作までサポートしてくれる機能です。
ハンドルのアシストには車線内からはみ出すのを防ぐタイプ(レーンキーピングアシストなどと呼ぶ)と、さらに高度で車線の真ん中をトレースするタイプ(レーントレーシングアシストなどと呼ぶ)がありますが、どちらも車線からはみ出すことに起因するアクシデントを防ぐ効果は大きいので安全に貢献。高性能なタイプは、ハンドルに指が触れてさえいれば高速道路で車線内の中央を走り続けることが可能です。
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「レーントレーシングアシスト」の動作の様子。車線中央を走るようサポートを行うため(写真:トヨタ自動車)
そして「ハンズオフ」という、その上を行くハンドルのアシスト機能も登場しました。ハンズオフとは“手放し”を意味する言葉。なんと、一定の条件を満たして高速道路を走っているときなら、ハンドルから手を放してもいいのです。
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ハンズオフ機能の付いたクルマは、一定の条件下で手放し運転が可能(写真:スバル)
「ハンドルを持たないというだけで何が違うの?」と思う人もいるかもしれません。しかし、ハンドル操作をクルマ任せにするだけで疲労度はまったく違い、驚くほど疲労が少なくなります。一度、体験すると、その効果にビックリしますよ。
このハンズオフ機能を設定しているのは、トヨタ「MIRAI」「ヴォクシー」「ノア」、レクサス「LS」、スバル「レヴォーグ」「WRX S4」、ホンダ「レジェンド」、日産「スカイライン」、BMWの「3シリーズ」より上級のモデルなどです(2022年1月現在)。
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ハンズオフ走行が可能となる「Advanced Drive」を搭載した「ミライ」と「LS」(写真:トヨタ自動車)
ただし、いま日本で(台数としては)広く普及しているBMWやスバルの同機能は渋滞時だけの対応で、作動上限速度はBMWが60km/hでスバルは50km/h。ヴォクシーやノアは40km/h。一方でMIRAI、レクサス、ホンダ、日産は高速域になっても作動。条件さえよければ、東京~名古屋間の高速道路(の本線上)を一度もハンドルに触れることなく走ることだってできるのだから、技術の進化って凄いですね。
ハンズオフの上を行く「アイズオフ」は、自動運転に分類される
そして日本には、「ハンズオフ」の上を行く「アイズオフ」を可能とするシステムを搭載するクルマもあります。それが2021年3月に発売された、ホンダ「レジェンド」の上級仕様。
「ホンダセンシングエリート」という機能を搭載したこのモデルは、高速道路の渋滞で30km/h以下になるとハンズオフに加え、ドライバーが運転から目を離せる「アイズオフ」が可能になるのです。
(※作動には複数の条件があるため、詳しくは公式サイトにてご確認ください。)
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レジェンドの「ホンダセンシングエリート」装着車は、現時点で唯一の自動運転車両(写真:ホンダ)
アイズオフとは、つまり「ドライバーによる周辺監視」まで不要とする状態。ドライバーは前を見る必要もなく、テレビを見ていてもいいのです(法律的には可能だがホンダはスマホ操作を推奨していない)。
これってもう自動運転なのでは? 実は、ここまでに紹介してきた「ハンズオフ」までは、「運転支援システム」に分類される機能でした。このアイズオフは、「自動運転」に分類されます。アイズオフ状態だと運転の主体がドライバーではなく車両となるからです(事故を起こした際はドライバーではなく製造したメーカーの責任となる)。
何を隠そう、自動運転車両が公道走行可能として販売されるのは、このレジェントが世界で初めて。現時点ではまだ、「それに続く2台目」は登場していません。
「ハンズオフ」と「アイズオフ」が何を指すか、違いがわかったでしょうか。ハンズオフは運転支援システムによる手放し運転のこと、アイズオフはさらに高度でドライバーが運転に参加しなくてもいい自動運転のこと。ドライバーに求められることと責任の所在が異なるのです。アイズオフは一部の超高額車だけに留まりそうですが、ハンズオフに関してはこれから採用車種が増えていきそうです。
(文:工藤貴宏 編集:木谷宗義 type-e+ノオト)
[GAZOO編集部]
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