パーキングブレーキの種類-サイドブレーキ・足踏み式・電動式について解説
パーキングブレーキにはいくつか種類があります。多くの人にとって馴染み深いサイドブレーキもパーキングブレーキのうちの一つです。本記事では、現在の一般的なパーキングブレーキのタイプ別の特徴や、ブレーキが正常に作動しているのか確認する方法、メンテナンスについて詳しく解説します。
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目次
1.車のブレーキの種類
2.パーキングブレーキのタイプ
3.知っておくべきパーキングブレーキの知識
4.パーキングブレーキが正常か確認する方法
5.パーキングブレーキのメンテナンス方法
6.パーキングブレーキは規定通り正しく使おう
1.車のブレーキの種類
車には3つのブレーキが付いています。足元のフットブレーキ、自動的に働くエンジンブレーキ、駐車するときに使用するパーキングブレーキです。それぞれの基本概要を解説します。
フットブレーキ
フットブレーキとは足元のアクセルペダルの左側に配置されたブレーキでのことで、車を減速させるときや停止させるときに踏み込んで使用します。運転者の踏み込み加減によって強弱を変えられるため、感覚的に使いやすいメインブレーキです。
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エンジンブレーキ
エンジンブレーキとは、エンジンの回転を利用したブレーキのことで、走行中にアクセルペダルから足を離したときに自動的に働き、徐々に車を減速させます。ブレーキ装置の消耗を軽減しながら、フットブレーキの働きを補助する役割があります。また、シフトレバーを操作することで制動力を高めることが可能です。
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パーキングブレーキ
パーキングブレーキとは駐車する際に使用するブレーキのことで、「サイドブレーキ」ともよばれます。運転席横に配置されており、車が静止している状態を保つことが目的です。パーキングブレーキには4つのタイプがあるので、次章で詳しく解説します。
2.パーキングブレーキのタイプ
- レバー式サイドブレーキ
- 電動式パーキングブレーキ
- 足踏み式パーキングブレーキ
- ステッキ式サイドブレーキ
パーキングブレーキのタイプを4つ紹介します。時代の流れとともに主流のタイプは変わってきていますが、親しみがあるのはサイドブレーキでしょう。最近増えてきている電動式なども含め、それぞれの特徴を紹介します。
レバー式サイドブレーキ
レバー式サイドブレーキとは、運転席と助手席の間にあるレバーでパーキングブレーキを作動・解除するタイプ。最近まで主流だった方式です。構造的にシンプルで、特に後輪にパーキングブレーキをかける車両では部品点数や重量を減らせる点がメリットといわれています。また、MT車では坂道発進時にアクセル操作と連携しやすいのも特長です。
デメリットは操作時にしっかり力を入れないと作動しないことや、レバーを設置するためのスペースが必要なことでしょう。そのため、昨今では採用車種が減少してきています。
電動式パーキングブレーキ
昨今、急激に採用率が上がっているのが、電動式パーキングブレーキ。モーターを活用してパーキングブレーキの作動・解除を行うので、ドライバーはスイッチを操作するだけです。中にはシフトレバーの操作と連動して、「D」に入れると自動解除、「P」に入れると自動作動するタイプもあります。
メリットは、操作に力がいらず誰でもしっかりとブレーキの作動・解除ができることや、操作部を設置するスペースが狭くて済むため、設計の自由度が増すことなどです。さらに、ACC(アダプティブクルーズコントロール)使用中に渋滞で停車すると、ドライバーが操作しなくても停止保持を行えるなど、先進運転支援機能との相性がよい点も魅力でしょう。将来の自動運転には欠かせない機能といえます。
システムが高額なことや、他のタイプと比べて構造的に重量が大きく、燃費悪化の要素になり得ることなどデメリットもありますが、車の進化においては必要不可欠なので、今後もますます採用車種は増えることでしょう。
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足踏み式パーキングブレーキ
足踏み式パーキングブレーキは、運転席の足元(ブレーキペダルの左)にあるペダルを踏み込んで使用するタイプです。一回踏むと作動し、もう一度踏むと解除されます。製品によっては解除のみ、レバーで行うタイプも。スペースを取らないため、運転席と助手席の間を広くしたいミニバンや軽自動車と相性が良く、採用車種が多いのが特長です。また、足で操作するため、手で操作するレバー式サイドブレーキほど強い力を必要としません。
一方で、MT車にはドライバーの足元の左方にクラッチペダルがあるため、スペースの都合上、パーキングブレーキのペダルを追加するのが難しいというデメリットがあります。
ステッキ式サイドブレーキ
ステッキ式サイドブレーキはハンドルの下あたりにステッキの持ち手のようなグリップが付いているタイプ。一般的には引っ張るとブレーキが作動し、90度回して戻すと解除される仕組みになっています。
スペースを取らないためMT車とも組み合わせられ、空間を有効活用するという面でメリットが大きいのですが、操作性に癖があるなどの理由から採用例はあまり多くありません。今、日本でステッキ式サイドブレーキタイプを採用しているのは、トヨタ「ハイエース」など一部の貨物自動車のみです。
3.知っておくべきパーキングブレーキの知識
意外にもパーキングブレーキの活用方法を理解しきれていない方は少なくありません。ここぞというタイミングで、ぜひ知っておきたいパーキングブレーキの知識をご紹介します。
AT車でも停車するときは必ず使うべき
AT車はシフトを「P」に入れると、トランスミッションをロックする機能が働き、簡単には動かないようになるためパーキングブレーキをかけない人もいます。しかし、パーキングブレーキほど強くはないので、何かの拍子に外れたり壊れたりして、車が動いてしまうことも。また、大きな地震などで車が揺れると、駐車ブレーキなしでは車が前後に動く可能性もあるため、車を離れる際は確実にパーキングブレーキがかかっていることを確認する癖をつけるようにしましょう。
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坂道発進で補助ブレーキとして使える
パーキングブレーキの役割は実は駐車だけではありません。急勾配の坂道で停止した場合には、発進する際にパーキングブレーキを引いておき、アクセルがかかる瞬間に解除することで車の後退を防ぐことができます。山などでは一本道を通ることが多く、坂道を上っている最中に他の車とすれ違わなければいけないこともあるでしょう。パーキングブレーキの補助機能を覚えておくと、いざというときに役立ちます。
緊急時はフットブレーキの代わりに使える
パーキングブレーキは「エマージェンシーブレーキ(緊急ブレーキ)」の役割も担います。万が一、下り坂などでフットブレーキが効かなくなった際は、落ち着いてパーキングブレーキを数回に渡って引き上げましょう。エンジンブレーキも併用してください。車が制止するまでに時間はかかりますが、緊急時にそなえて覚えておくことが大切です。
4.パーキングブレーキが正常か確認する方法
パーキングブレーキはワイヤーで作動するものが主流です、そのため、経年劣化してワイヤーが伸びてしまうことがあります。また、スプリングが弱くなり、ブレーキが効きづらくなることもあるため、不安要素があるときはすぐに以下の方法で正常に作動しているかどうかチェックしてみてください。
まず、ワイヤーの確認です。レバー式サイドブレーキ、または足踏み式パーキングブレーキの場合は「ノッチ音」の回数をカウントします。ノッチ音はパーキングブレーキを使用しているときに鳴る「カチカチ」という音です。車の取扱説明書にはノッチ音の規定回数が明記されているため、記載通りかどうか確認してみてください。同時に、パーキングブレーキの使用感にも違和感がないかチェックしましょう。
次にスプリングの確認です。坂道でフットブレーキを踏み込み、AT車はNレンジに、MT車はニュートラルにして、パーキングブレーキを入れ、フットブレーキから足を離します。車が静止すれば、パーキングブレーキのスプリングは正常に機能している証拠です。
5.パーキングブレーキのメンテナンス方法
前述した方法でパーキングブレーキに異常が見つかった場合、ワイヤーかスプリングのいずれかに問題がある可能性が高いです。パーキングブレーキは後輪にワイヤーでブレーキをかけているため、ワイヤーが伸びてくることもあります。ワイヤーが伸びてしまった場合は巻き直しが必要です。また、スプリングが弱くなるとブレーキが戻りきらず、引きずったままの状態になってしまうこともあります。
よくある例としては、男性が強い力でパーキングブレーキのレバーを引き上げたために故障してしまったというものがあります。パーキングブレーキはある程度引き上げれば、充分なので必要以上に力を使わないようにしましょう。
上記のことから、パーキングブレーキも定期的にメンテナンスする必要があります。メンテナンスする際はメーカーやディーラーに依頼しましょう。
6.パーキングブレーキは規定通り正しく使おう
パーキングブレーキには4つのタイプがあり、現状はレバー式サイドブレーキが主流ですが、電動式も増えてきています。いずれのタイプであっても安定して走行し続けるためには、パーキングブレーキを定期的にメンテナンスすることが大切です。また、万が一の時のために補助的な役割もしっかり覚えておくことをおすすめします。
ブレーキはフットブレーキやエンジンブレーキ含め、いずれも命を守るのに特に重要なパーツです。日常的に使用感を確認して、安全を守りましょう。
2021年3月(文:工藤貴宏/編集:木谷宗義+ノオト)
2022年8月(GAZOO編集部リライト)
[GAZOO編集部]
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