世界のフェアレディZへ! 日産のGT4カテゴリー用マシン「Nissan Z GT4」が2023年にデビュー

  • 日産・Nissan Z GT4(フェアレディZ)

9月28日、日産自動車と日産モータースポーツ&カスタマイズ(NMC)は新型フェアレディZをベースとしたカスタマー向けのレーシングカー「Nissan Z GT4」を発表した。マシンのスペック等の詳細は、11月1日~4日にアメリカで開催される2022 SEMAショーで発表、またマシンの供給は2023年から行われる予定だという。

2022年1月に行われた東京オートサロンで日本仕様が初お披露目となった新型フェアレディZ。そのわずか4か月後にはスーパー耐久の第2戦富士24時間レースに向けた公式テストの場に登場していた。

そして、その24時間レースでは2台体制で参戦、第3戦以降はMax Racingの1台体制で継続して参戦、マシンの熟成を進めてきていたが、一貫して「今後の可能性を見極めるための参戦」としてその後の展開を明言することはなかった。
しかし当初から予想されていた通り、現在レースカテゴリーとしてますます人気が高まる「FIA GT4」車両としてデビューすることが発表されることとなった。

  • 日産・Nissan Z GT4(フェアレディZ)フロントビュー
  • 日産・Nissan Z GT4(フェアレディZ)左サイドビュー
  • 日産・Nissan Z GT4(フェアレディZ)右リアビュー
  • 日産・Nissan Z GT4(フェアレディZ)リアビュー

ジェントルマンドライバーも開発のメンバーに

リリース、そして同時に公開された動画の中で、「Nissan Z GT4」の開発ポイントは下記の通り挙げられている。

  • ベースのVR30DDTT型エンジンの素性の良さを活かしたエンジンチューニング
  • レース用に最適化したシャシーとサスペンション
  • レギュレーションの範囲内で最大限の性能向上を図った空力性能
  • 居住性、操作性を最適化したコクピット

スーパー耐久の現地で取材をした際にも、「エンジンはほぼノーマル」ではありながら参戦するGT4車両と遜色ない速さを見せており、シャシーやサスペンションについても、毎戦のようにさまざまなパターンを試してきているという。

また空力に関しても、公式テストの際は「小さな」リアウイングくらいであったものが、レースを重ねるごとに空力パーツが装着され、ドライバーも十分にそのダウンフォースとコーナリングでの効果を実感していた。

そしてさまざまなモータースポーツシーンを想定し、アマチュアドライバーからプロドライバーまで誰にでも操作がしやすく、また背の高いドライバーにも無理のない居住性なども、当初から開発のポイントとして挙げていた。

実際に、Max Racingのジェントルマンドライバーである田中徹選手が開発チームのメンバーに名を連ね、開発の段階からジェントルマンドライバーの意見も取り入れられていることは一つの大きな特長だろう。

  • 244号車Max Racingの田中哲也選手(右)、三宅淳詞選手(中)、田中徹選手(左)

50年以上にわたる日産『Z』の伝説の新たな一章

その「Nissan Z GT4」に対し、日産自動車のアシュワニ・グプタCOOは、「日産にとってモータースポーツとは、私たちの飽くなき情熱と比類なき専門性を表現するものです。そして、『Z』はダイナミックなドライビングとパワートレインでドライバーを魅了するエキサイティングなスポーツカーとしての地位を維持し続けています。このGT4カテゴリーに対応する『Z』が、50年以上にわたる日産『Z』の速さの伝説に、新たな一章を刻むことになると確信しています」と期待と想いを語った。

また、NMCの松村基宏副社長は「パフォーマンス、安全性、耐久性、操作性、購入のしやすさ、どれをとってもバランスの良い性能を備えたレースカーに仕上がっていると思います。総合的にプロからジェントルマンドライバー、加えて幅広いエンスージアストまで、満足いただけるパフォーマンスを実現できたと思っています」と「Nissan Z GT4」への自信を語っている。


日本のレースシーンを彩ってきたフェアレディZ。これまでは日本とアメリカでは熱狂的なファンも多いが、それ以外の地域ではそれほど評価が高くないという現実も。
そのZがこれからますます盛り上がりを見せるであろうGT4というカテゴリーに参戦することによって、ヨーロッパや南米などでも多くのファンを獲得することができるかもしれない。

憧れの存在でありながら身近さも感じる我らがフェアレディZが、世界で愛される「Nissan Z」へと大きく羽ばたいて行くこと期待したい。

(GAZOO編集部)