福島でラリーチャレンジ参戦。ターマックを安定した走りで4位入賞

9月23日(日)に福島県福島市において「復興福島TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ in 福島」が開催されました。参加台数84台と今回も多くのエントリーがあり、また毎回WRCの模様を伝えてくれるTV「地球の走り方/世界ラリー応援宣言」(テレビ朝日)の取材が入ったり、「TOYOTA GAZOO Racing PARK」が併催されたりとメイン会場のあづま総合運動公園は大盛況でした。ネッツ東京レーシングから参戦する塚本奈々美選手と私のコンビが参戦するC-3クラスは、13台と混戦が予想されました。今シーズン4戦目として参戦し、直前にもっとTOYOTA 86を知ろうと、ショートコースでマシンテストをして、いい感触を掴み、ラリーに臨みました。

細いSSはコースアウトに要注意

今回のSSは2km、3kmを各2本、そしてメイン会場のギャラリーステージで300mを2本の計6本。SSをつなぐリエゾンの距離が短いので、結構気楽に走れると思いながらレキをし始めたら、SSの道幅が狭くて驚きました。そして前日まで降った雨が山から染み出し、日陰はウェットで、さらにコース端には紅葉しかけた落ち葉が多く、寄ってしまうと滑ってしまう、まったく気の抜けないコースでした。今回は8台がリタイアしていることから、その難しさがわかります。私たちは前回リタイアしているので、今回はまず完走が第一条件で、そのなかで少しずつ攻めていこうと決めました。今回はすべてターマック(舗装路)なので、奈々美選手にとってはサーキットやドリフトで得ているドライビングテクニックを活かせます。

レッキを終えて、インカーカメラの動画を観ながらペースノートを確認しますが、最初から右と左が逆になっていて、おかしいなと思ったら、SS2の動画を観ながらSS1のペースノートで合わせようとしていたりと、少し不安な雰囲気が。最初のSS1は丁寧に走り始めました。レッキではドライバーが有視界で走るところは特にステアリングの切れ角をペースノートに書かないのですが、車速が上がって横にGがかかったので、私は思わず次のコールをしてしまい、ここでペースノートを飛ばしてしまう大失態をしてしまいました。正確な指示ができるまで200mくらいミスしてしまいました。これでトップから約10秒遅れ。気を取り直してSS2は、巻き返して4番手でゴールしました。道幅が狭いだけでなくヘアピンがいくつも続く登りは、いかにリヤのトラクションを抜かずに走らせるか、高いドライビングスキルが求められますが、奈々美選手も着実に上達しています。オーバースピードで入ってしまったときもサイドブレーキを巧みに操り、マシンの向きを変えてくれるので、助手席に乗っていてとても安心です。

SS1と同じコースを走るSS4では2度同じ失敗はできないと、コースを見ながらペースノートを合わせてコールを合わせて無事ゴール。タイムもトップから4秒、2位とは0.8秒と近づけることに成功しました。SS5はSS4より1km長いのですが、ここでもほぼ同じタイムのトップ3から4秒遅れとまずまずのタイムが出せました。奈々美選手が走りやすいコールのタイミングもだいぶわかってきて、お互い成長してきているのがわかるSSになりました。

インカーカメラの動画を見直しながらペースノートをチェックする
インカーカメラの動画を見直しながらペースノートをチェックする
  • スタート地点はTGRPすぐ横なのでたくさんの観客に見送られながらラリーをスタート
    スタート地点はTGRPすぐ横なのでたくさんの観客に見送られながらラリーをスタート
  • TOYOTA GAZOO Racing Parkを360度写真で
    TOYOTA GAZOO Racing Parkを360度写真で

ギャラリーステージは観客のために

SS3とSS6はメイン会場の公園内広場で多くの観客の前で走るギャラリーステージ。約150mの下りの直線を全開で走り、左右にあるパイロンを8の字で旋回してゴールするレイアウトで、いかに8の字をコンパクトに曲がり、短い直線でいかに加速するかがカギです。本来であれば、リヤタイアを滑らせればそれだけ加速が遅れ、タイムロスしてしまうのですが、ここは観客のために思いっきりドリフトしていきます。前日ドリフトイベントに参加していた奈々美選手だけに、その勢いがこの日もあったのか、かなり派手に滑らせていきます。このステージを担当しているMCに聞いたら、どの選手よりも観客が喜んでいましたよと教えてくれました。確かに0.1秒でも詰めたいところですが、観客のみなさんにモータースポーツの楽しさが少しでも伝わったらいいなとエンターテインメント性を上げて走りました。

  • リエゾンはヘルメットを脱いで気楽にドライブ
    リエゾンはヘルメットを脱いで気楽にドライブ
  • 福島の風景はとてもきれいだった
    福島の風景はとてもきれいだった
ギャラリーステージで果敢にドリフトして観客を湧かせる
ギャラリーステージで果敢にドリフトして観客を湧かせる

クラス4位。総合17位でゴール

9月の東北地方にしては暑いくらいのいい天気の中、無事完走し、クラス4位と今シーズン一番いい成績となりました。奈々美選手はラリーでのTOYOTA 86の走らせ方がかなり分かってきて、二人のコンビネーションもラウンドごとに向上してきています。TOYOTA GAZOOラリーチャレンジは、3ラウンドを残すのみとなりました。最終の特別戦はクラス上位でないと参戦権がなく、また10月21日の富山県高岡市で開催される第10戦・高岡万葉、11月3日に愛知県豊田市で開催される第11戦・豊田モリコロは、ともに大人気となるため、申込みしても不受理となってしまう可能性もあります。ここまで成長してきているので、なんとか参戦できることを祈るばかりです。参戦できたらぜひお近くの方は現地へ応援にお越しくださいませ。さらに成長した姿でお会いできるよう、しっかり準備していきます。

表彰台まであと一歩
表彰台まであと一歩
(写真:越智瑞穂・真壁強・栗山尚広・岩渕功尚・ネッツ東京レーシング / テキスト:寺田昌弘)

ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。


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