ハイラックスの50周年特別仕様車「Z “Black Rally Edition”」を試乗

ダカールラリーでハイラックスがトヨタ初となる総合優勝をする日、私は「さなげアドベンチャーフィールド」でハイラックスのメディア試乗会にスタッフとして参加していました。誕生から50年を迎え、ちょうど私と同じ1968年生まれということでとても親近感が湧くクルマです。累計販売台数は1870万台と、トヨタではカローラ、カムリに次ぐ3番目で、現在8代目となるハイラックスは2015年に誕生し、2017年には年間約52万台も販売されています。世界6ヶ国の工場で生産され、180ヶ国で販売されている人気モデルです。

ピックアップが文化として根付いているアメリカでは、1989年に5代目ハイラックスがトラック・オブ・ザ・イヤーを受賞し、南米では鉱山での作業車として活躍、アジアでは仕事や家族を支え、オーストラリア、アフリカ、中東、ロシアでは悪路をものともしない走破性の高さで「LIFE」生活、命を支えるクルマとして活躍しています。私は8代目でオーストラリアや南米、中東そしてアフリカを走ってきましたが、サイズ感を感じさせないドライビングのしやすさ、車内にいるとピックアップであることを忘れてしまう居住性のよさから、長距離を走ってもとても快適でした。

トヨタアルゼンチンで発売されるGR SPORT HILUX
トヨタアルゼンチンで発売されるGR SPORT HILUX
  • 欧州で限定発売された50周年特別仕様車
    欧州で限定発売された50周年特別仕様車
  • トヨタタンザニアの50周年特別仕様車
    トヨタタンザニアの50周年特別仕様車

50周年を迎え、欧州やアフリカで50周年特別仕様車が発売され、南米ではGR SPORT仕様車が発売され世界中で盛り上がるなか、日本でも50周年特別仕様車「Z “Black Rally Edition”」が12月17日に発売されました。

ブラックアウトで精悍なスタイリングに

ハイラックスのグレードはXとZがあり、「Z “Black Rally Edition”」は上級モデルのZをベースとし、ブラックを基調に意匠をよりスポーティにしています。すでに海外で採用されている新型フロントデザインを採用。大型化されブラック塗装されたフロントグリルとフロントバンパーは、フロントから見たらリヤに荷台があるとは思わせないスタイリングです。ホイールは17インチから18インチへインチアップし、ブラック塗装の新デザインホイールを履きます。タイヤはホワイトレターを採用し、オーバーフェンダーを装着。そしてドアミラー、ドアハンドルはブラックメタリック、リヤゲートハンドルはブラック、リヤバンパーはグレー塗装され、引き締まった印象になっています。インテリアもブラックを基調とし、ホワイトのリングに速度が載る専用オプティトロンメーターを装備しています。

  • Z “Black Rally Edition
    Z “Black Rally Edition
  • GRADE:Zと同様に、ボディカラーはクリムゾンスパークレッドメタリック以外に4カラーがラインナップ
    GRADE:Zと同様に、ボディカラーはクリムゾンスパークレッドメタリック以外に4カラーがラインナップ
インテリアもブラックを基調にシックな雰囲気
インテリアもブラックを基調にシックな雰囲気

オンで俊敏、オフで力強い走破性を発揮

サスペンションやエンジンは、グレードZ、Xと同じですが、ホイールがインチアップし、タイヤの偏平率が65から60になっているので、オンロードではステアリングの応答性がよく、ふだんセダンに乗っているかたでも乗りやすい。ただオフロードはタイヤのハイトが高いほうが衝撃を吸収してくれたり、岩石路ではたわんだ時の接地面が増えたり、ショルダー部がより柔軟に動いてグリップしてくれます。しかしオフロードコースを走ってみると60偏平でも問題ないことがわかりました。

岩石路の登りでは、アクティブトラクションコントロールの効果は絶大。空転するタイヤにブレーキをかけ、グリップしているタイヤに駆動力を集中してくれるので、アクセルを一定に踏みながら、ステアリングを少しずつ切ってタイヤがグリップする場所を探していけば踏破できます。これは対角線上にタイヤが浮いてしまうような土山を登ってみても同じように登り切れます。

そしてフラットダートでは、タイヤによる突き上げの差は感じず、オンロードと同様にステアリングのレスポンスがよく、クルマの向きを変えやすくて扱いやすいです。「Z “Black Rally Edition”」は、標準のZと比較して悪路走破性はそのままに、オンロードでより乗りやすくなっていると感じました。

悪路こそハイラックスの真価が発揮される
悪路こそハイラックスの真価が発揮される
  • 標準モデルよりタイヤがロープロファイルとなったので、オンロードでは接地感が高く、ドライブしやすい
    標準モデルよりタイヤがロープロファイルとなったので、オンロードでは接地感が高く、ドライブしやすい
  • 岩石路を難なく登る。1,600~2,000rpmと低回転で400N・mと太いトルクとA-TRCのおかげで卓越した登坂性能を発揮する
    岩石路を難なく登る。1,600~2,000rpmと低回転で400N・mと太いトルクとA-TRCのおかげで卓越した登坂性能を発揮する
  • 左リヤタイヤが浮き、右フロントタイヤもほぼトラクションがかからなくても土山を登る
    左リヤタイヤが浮き、右フロントタイヤもほぼトラクションがかからなくても土山を登る
  • リヤサスペンションが空荷だと硬い印象があるが、フラットダートを安心して走れる
    リヤサスペンションが空荷だと硬い印象があるが、フラットダートを安心して走れる

カスタムで自分らしい1台を見つける

すでにZやXのオーナーで「Z “Black Rally Edition”」の発売まで待てばよかったと思った方々、安心してください。自分に合ったスタイリングや乗り心地を実現するために国内でもカスタムパーツが出始めています。私のおすすめは、アジアクロスカントリーラリーなど、海外ラリーに参戦し、見た目だけでなく機能もラリーで実証しているTRDそしてJAOS。そしてアウトドアライフを満喫したいかたには、神奈川トヨタのGOOD OPEN AIRS myXのようにクルマとキャンプやアウトドアアクティビティを知り尽くしたスタッフが提案するギアを装備するのもアウトドアライフがより一層楽しくなると思います。

「Z “Black Rally Edition”」をはじめハイラックスは、荷物を荷台に載せることが優先されるトラックではなく、ピックアップスタイルのSUVとして、新たなクルマとのつきあいかたを提案してくれる新しいモビリティです。だから荷台に載せるのは、あなたの「Good LIFE」人生をハイラックスとともに楽しむ気持ちなんだと思います。

  • JAOSの2台のハイラックス。右がラリーマシン、左がJAOSが提案するデモカー
    JAOSの2台のハイラックス。右がラリーマシン、左がJAOSが提案するデモカー
  • TRDのデモカー
    TRDのデモカー
  • myXが提案するデモカー
    myXが提案するデモカー

(テキスト:寺田昌弘 / 写真:レッツゴー4WD、トヨタ自動車)

ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。


あわせて読みたい「ハイラックス」の記事

  • ダカールラリーでハイラックスがトヨタ初の総合優勝!!
    ダカールラリーでハイラックスがトヨタ初の総合優勝!!
  • ダカールラリーの“はたらくクルマ” ハイラックスは競技車だけでなくオフィシャルカーでも大活躍!
    ダカールラリーの“はたらくクルマ” ハイラックスは競技車だけでなくオフィシャルカーでも大活躍!
  • ヘイキ・コバライネンVS新井敏弘の対決も!? ハイラックスで戦われた「ジャパンラリークロス・JRXエキシビジョンマッチ」
    ヘイキ・コバライネンVS新井敏弘の対決も!? ハイラックスで戦われた「ジャパンラリークロス・JRXエキシビジョンマッチ」
  • (ハイラックスでラリーに挑戦)地平線の彼方に夢を描く、ある夫婦の話(前編)
    (ハイラックスでラリーに挑戦)地平線の彼方に夢を描く、ある夫婦の話(前編)
  • 「アジアクロスカントリーラリー2018」参戦に向けテスト走行を重ねる「TEAM JAOS」のトヨタ ハイラックス
    「アジアクロスカントリーラリー2018」参戦に向けテスト走行を重ねる「TEAM JAOS」のトヨタ ハイラックス
  • 今年で50周年。同じ年生まれのハイラックス、その生い立ちを振り返る
    今年で50周年。同じ年生まれのハイラックス、その生い立ちを振り返る

コラムトップ

MORIZO on the Road