CUSCOが早くもGRヤリスをラリー、ドリフトマシンに。個性際立つ2台でモータースポーツに挑み、パーツを作る
2シーズンに渡り、LEXUS RC Fで全日本ラリーにコドライバーとして参戦していましたが、いつも現場でサポートしていただいていたのがCUSCO。ラリーの世界ではもちろん、ジムカーナ、ダートトライアル、スーパー耐久シリーズなど自らのチームで参戦したり、参戦チームを支援したりとモータースポーツを盛り上げる、日本を代表するパーツメーカーです。そして今年はドリフトにもGRスープラで参戦。さらにGRヤリスでFRドリフト仕様のマシンも製作したというのでみに行ってきました。
個性際立つ、2台のGRヤリス
CUSCOは1977年に群馬県のラリーショップ「キャロッセ」として創業し、社員自らラリーに参戦し、おもに競技パーツ開発をし、販売し始めました。現在でも社員ドライバー、社員メカニックを中心にCUSCO Racingとして全日本ラリーに参戦しています。
私もこのチームのサポートを受けながら一緒に挑んでいましたが、新しいパーツを実戦で試したり、細かなセッティングを納得いくまでとことん突き詰めたりと、自社製品の性能を高めるために選手、メカニック、エンジニアがそれぞれの立場でこだわりを持ちながら協力してもっといいマシンづくり、パーツづくりに挑み続けている姿を目の当たりにしてきました。
全日本ラリーのトップカテゴリーであるJN1は、スバル・WRX STI、三菱・ランサーエボリューションなど高い戦闘能力を持ちながら、すでに販売終了しているマシンが走っています。
CUSCO Racingもスバル・WRX STIで挑んできましたが、GRヤリスが販売されるといち早くマシンを製作し、11月27日〜28日に開催された全日本ラリー最終戦「Sammyツール・ド・九州2020 in 唐津」に投入。「モータースポーツの極限状態で磨かれた、ホンモノの製品だけを供給する」をスローガンにしているCUSCOは、GRヤリスの素性のよさを活かしながら、サスペンションや剛性アップパーツなど実戦で鍛え、もっといいラリーマシン作り、パーツづくりに挑み始めました。
ドリフトマシンのGRヤリスは圧巻
今シーズンからGRスープラでFORMULA DRIFT JAPANに参戦しているCUSCO Racingは、過去D1グランプリに参戦した経験があり、久しぶりにドリフト競技に帰ってきました。参戦発表がリリースされた6月に、すでにもう1台のマシン製作をしていると発表されていましたが、ついにGRヤリスのドリフトマシンが完成し、11月29日に日光サーキットで開催されたMSC Challengeにてその走りが披露されました。
このマシンは、排気量アップされた3.4Lの2JZエンジンを搭載し、シーケンシャルミッションを組み合わせたFR車になっています。最高出力は900ps。PANDEMのワイドボディキットでスタイリングをさらにワイド&ローに。ドリフトならではの広いフロント舵角は、車高調を軸に、アップライトはアルミビレット削り出しで各部調整式のアームを製作しています。ウエイトバランスを考慮し、ラジエターがリヤに移設され、リヤブレーキはサイドブレーキ専用のキャリパーがプラスされ、ツインキャリパーになっているのがドリフトマシンならではの装備です。このマシンで来シーズンは、ドリフトシーンを盛り上げてくれます。
モータースポーツで鍛えたパーツをストリートへ
今年のオートサロンから予約が始まり、9月4日から国内販売開始したGRヤリスですが国内、欧州だけでなく、オーストラリアでは年間販売予定台数だった1,000台が6日間で完売したりと盛り上がってきています。ピレリスーパー耐久シリーズでは最終戦を待たずにST-2クラスでデビューイヤーにチャンピオンを獲得し、早くもそのポテンシャルの高さを見せ始めています。
CUSCOはすでにコーナリング時のロールを抑えるスタビライザーやボディ剛性を高めるストラットバー、パワーブレースをラインナップし、モータースポーツ向けの単筒式ショックアブソーバーの車高調整式サスペンションキットをリリースしています。
そして2021年2月から4月にかけ、ストリートセッティングの複筒式ショックアブソーバーの車高調整式サスペンションキットが発売予定です。操安性と乗り心地のよさを両立させるCUSCOのストリートセッティングの車高調整式サスペンションキットは、86やスイフト・スポーツ、フィット、シビックTYPE-R、ロードスターなど様々なモータースポーツでの実戦で鍛えられ、ストリートでも走るのが大好きなオーナーの絶大なる信頼を得ています。今回のGRヤリスもかなり期待できるので、できたらまた乗らせてもらおうと思っています。
写真:CUSCO・Moty’s・寺田昌弘/文:寺田昌弘
ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。
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