スーパー耐久シリーズにホンダサウンドを奏でるTeamNoah

今年になってサーキットに行く機会が何度かあり、なかでも一番驚いたのがスーパー耐久シリーズ。
3月20日・21日にツインリンクもてぎで開催されたもてぎスーパー耐久 5Hours Raceを初めて観たのですが、ポルシェやアストンマーチン、マクラーレンのGT3やメルセデスAMG、BMW、GRスープラのGT4が走っているかと思えば、一緒にホンダ・FIT、マツダ・デミオまで走っています。GTマシンからコンパクトカーまで、カテゴリーの異なるマシンが同じコースを走る、まさしくサーキットのバトルロイヤル!

現行モデルでも購入できるメルセデスAMG GT3やGRスープラGT4といった競技車両やリアルスポーツのGRヤリスなど台数が多く参戦していますが、個人的に意外なのはホンダが少ないこと。今期もF1ではパワーユニットサプライヤーであり、国内ではスーパーフォーミュラでホンダエンジンは2連勝。スーパーGTではGRスープラとNSX-GTのトップ争いが今シーズンも大いに盛り上がりそうです。しかしスーパー耐久シリーズでは、2台のシビックと3台のFITしかなく、ホンダファンにとっては少し寂しいところです。

そのなか九州からモータースポーツを盛り上げようとシビックTCRでST-TCRに参戦するTeam Noahに話を聞いてみました。

  • メルセデスAMGと比較しても迫力負けしていないスタイリングと走り

海外で人気のあるTCRとは

TCRはツーリングカーレース車両の規定で、世界ツーリングカーカップ(WTCR)やヨーロッパを中心に国内選手権が開催され、日本でもTCRジャパンシリーズが開催されています。またニュルブルクリンク24時間レースにもTCRクラスがあります。車両は4または5ドアの市販車がベースで、排気量2,000cc以下のターボエンジン、駆動方式はFFとなります。アルファロメオ、フォルクスワーゲン、アウディ、プジョー、ルノー、ヒュンダイなど様々なメーカーがTCR車両をラインナップし、なかでもホンダ・シビックTCRは2年連続で「TCRモデル・オブ・ザ・イヤー」を獲得するほど、成績とともにカスタマーサポートの充実が世界のモータースポーツで認められています。

モータースポーツの力で九州を盛り上げる

  • チームオーナーでドライバーの清瀧雄二さん(右)と監督の川野隆晴さん

Team Noahは、福岡をベースとするチーム。チームオーナーの清瀧 雄二さんは、大分のオートポリスを中心にドライバーとしてもレースで活躍し、「九州に元気を!九州のモータースポーツにもっとワクワクを!」を合言葉に九州のレーシングチームとして 2018 年より スーパー耐久シリーズにフル参戦。
昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で参戦を見合わせましたが今シーズン、再び「おとぎの国 CIVIC TCR」としてシリーズフル参戦します。今シーズンはすでに4月17・18日に開催された第2戦 SUGOスーパー耐久3時間レースまで終わりましたが、あいにくST-TCRクラスにライバルがいないため、上位クラスのST-Zのマシンにどれだけ食い込めるかが見ものです。

清瀧さんは「九州だけでなくエントラントもファンも多いスーパー耐久シリーズに参戦することで、九州のモータースポーツを盛り上げたい。そしてホンダでの参戦チームが少ないのですが、やはりモータースポーツの現場でホンダが走っていることはとても大切なことだと思い、CIVIC TCRで参戦しています。ST-TCRにライバルが現れることを期待しながら挑んでいきます」とホンダファンにはとてもうれしい心意気を感じました。

第2戦SUGでのドライバーのベストラップを比較すると、GT4マシンひしめくST-Zの上位陣と互角のタイムが出ています。ドライバーはもちろん、CIVIC TCRの性能の高さが証明されています。

CIVIC TCRは童夢がサポート

  • フォーミュラに乗っていた霜野誠友選手(左)と蘇武喜和選手(右)

ドライバーのひとり、蘇武喜和選手にマシンについて聞いてみると「一般的にTCR車両はセッティングを変えられる箇所が限られるのですが、このマシンはサスペンションのジオメトリーが調整できるようになっていたり、細かいところまでセッティングを出していけます。今までテストやレースをしながら、ドライバー全員が納得できるセッティングをメカニックと煮詰めていくのがとても楽しいし、確実に乗りやすく、決勝だけが注目されがちですが、そこまでにマシンを作り上げるチームプレーがおもしろい。特にスーパー耐久シリーズには、その要素が多くあります。

  • ひたむきにマシンを支えるメカニックたち

  • レースクイーンの詩月かりんさん(左)と羽鳥英莉さん(右)

そして日本国内でCIVIC TCRの正規販売代理店は童夢で、スペアパーツなどパーツサービストレーラーをスーパー耐久シリーズやTCRジャパンシリーズに派遣し、カスタマーサポートが充実しています。そのサポートはマシンだけに限らず、ケータリングなどエントラントの食事までしてくれ、このヨーロッパ的なホスピタリティーがすばらしい。

もちろん勝負にこだわりますが、もっと広い思いでモータースポーツ振興を考えている清瀧さん率いるTeam Noah。次戦は5月21~23日に富士スピードウェイで開催される第3戦 NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース。ここで勢いをつけ、7月31日8月1日のホームリージョンというべき九州、オートポリスで九州のモータースポーツファンにその雄姿をみせていただきたい。
「The power of dream」Team Noahのメンバーがさらに発揮する夢の力をサーキットで観るのが楽しみです。

  • CIVIC TCRのカスタマーをサポートする童夢

  • ケータリングではこのような食事を用意してくれる

写真/山口慎司・寺田昌弘・DOME 文/寺田昌弘

ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。


TeamNoah情報 

(GAZOO編集部 岡本 追記)敬称略

発足    : 2018年に『九州に元気を!モータースポーツにもっとワクワクを!』を合言葉に発足
ドライバー   :塚田 利郎、蘇武 喜和、霜野 誠友、清瀧 雄二
            芳賀 邦行、谷岡 力、久保 正孝、和田 慎吾
チームオーナー    :清瀧 雄二
エントラント代表 / 監督:川野 隆晴
データエンジニア   :山浦 卓也
チーフメカニック     :毎熊 守
メカニック    :梁井 謙太郎、吉川 智博、高羽 紗帆、木内 真吾、松本 和之
レースクイーン   :羽鳥 英莉、詩月 かりん、葉月 ゆうか


2021スーパー耐久参戦結果
ST-TCR 
2021.03.20-21  SUGO     1位
2021.04.17-18  MOTEGI  1位


2019年スーパー耐久参戦結果
ST-TCR 
2019.03.23-24      SUZUKA      6位
2019.04.27-28      SUGO          3位
2019.05.31-06.02 FUJI              8位
2019.07.20-21      AUTOPOLIS 5位
2019.09.14-15      MOTEGI        7位
2019.11.09-10      OKAYAMA      4位


2021年4月29日時点

 

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