トヨタ販売店が主催する1万人を集客するパーツショウの魅力・・・寺田昌弘連載コラム
23年目を迎える群馬トヨタグループのパーツショー
群馬トヨタグループ(以降GTG)の販売店の敷地内で、2000年から開催されているRVパーツショー。現在ではGR Garageのように、ディーラーでカスタマイズも一般的になりましたが、GTGは早くから「ディーラーでカスタム」をテーマに高崎倉賀野店の敷地内に「RV Park」を併設。ランドクルーザーやハイラックス、FJクルーザーなどトヨタの4WD車のオーナーが求める自分だけの1台を作り上げるためにディーラー品質で対応し、多くのファンがいます。
私は1996年から毎年1ヶ月間、3年に渡り、サハラ砂漠でNPO医療支援活動をしていました。その際、現地のランドクルーザーの修理や整備指導のために、GTGに部品などご協力いただいたことがあります。きっと今でも現地の人々の生活を支えるランドクルーザーに、そのときの部品が活躍していると思います。
GTGは、旧浅間高原自動車テストコースでの雪上試乗会や水上宝台樹キャンプ場でのキャンプイベント、またラダーフレーム車のみが集まる梯子車体FESなど、お客様にクルマで楽しめるイベントを多く主催しています。
なかでも今回お伝えする、RVパーツショーからバージョンアップした「GUNMA PART’S SHOW(以降GPS)」は、全国でも類を見ないイベントで、スープアップやアウトドアなどパーツメーカーのデモカーや用品が集結します。
今年は3日間の開催で、約1万人が来場し大賑わいでした。そのなかで私が観たものをご紹介します。
ハイラックスのカスタマイズが熱い
GTGではハイラックスの販売が好調で、昨年、ハイラックスのワンメイクミーティングを渋川スカイランドパークで開催するほどです。都心部では全長5mを超えるクルマは、駐車スペースの都合から購入を見送る方もいますが、群馬県では、広々とした自宅敷地内に気軽に停められる方も多く、人気があります。それだけにハイラックスに関する出展が多かった。
思わず見返すほどインパクトがあったのは、2台のフェイスチェンジしたハイラックス。
まずはランドクルーザー60の後期モデルのような角目4灯に水平基調のグリル、そしてTOYOTAロゴが違和感なくデザインされたアクセルオートコーポレーションのコンセプトカー。これは展示して来場者のコメントを聞きながら、ブラッシュアップをしているそうで、来年のオートサロンで正式発表されるそうです。
もう1台は、北米で販売されているフルサイズピックアップのトヨタ・タンドラをオマージュしたようなGMGのDOUBLE EIGHTボディキットを装着したデモカー。フロントバンパーキット(グリルセット)にオレンジマーカー、オーバーフェンダー、ボンネットフードカバーを装着するだけでまるでタンドラの兄弟車のようです。
ポップアップのハードトノカバーなら米国WARN社の国内正規代理店、TRAIL
米国WARN社の国内正規代理店として、特にリアルオフローダー向け用品を取り扱うTRAILは、45度、180度そして写真のようにポップアップするハードトノカバー180°が人気。
ペイント可能なモデルがあるので、愛車のボディカラーと同色に塗装して、ハイラックスをよりスタイリッシュにできます。開閉もダンパーが装備され、ランプもついているので夜でも荷物が容易に確認できます。もちろん鍵付きでセキュリティも考えられています。
ハイラックスでモータースポーツを考えるならCANUSがおすすめ
CANAUSは、クロスカントリー車両やSUV車両を対象にした、新たなラリーシリーズ「XCRスプリントカップ北海道」のシリーズ規定に合致するTRDパーツの正規取扱販売店です。
オーナーの三角さんは、国際ラリー参戦やサハラ砂漠、ゴビ砂漠など走破した経験を持つオフロードのスペシャリスト。その経験からブレーキパッドやリヤブレーキシューをオーダーメイドで作成可能、絶版となっている昔のハイラックスサーフやランドクルーザーなどのコイルスプリングもCANUSオリジナルで作ってもらえます。
山岳救助コンセプトのRAV4とメタルボディのクラウン
ハイラックスやランドクルーザー以外で特に目立っていたのがRAV4とクラウン。
トヨタグループの一員としてRAV4を生産している豊田自動織機は、2020年にアウトドアでの遊びを最大限に引き出せる“モノとコトの提案”としてRAV4のコンセプトカーを生み出し、2021年には山岳救助車に特化して進化。そして更に2022年に救助活動のための機能を強化。「RAV4 5D ADVENTURE 2022」としてオートサロンに出展し大いに注目を集めました。
GPSでも展示され、開発者のトークショーでは、救急隊員のインタビューから得た要望を具現化していくうちに、このコンセプトモデルはいつ発売されるのかと、逆にプロの現場から求められるまでになったことを伺いました。これでこのプロジェクトは完了したそうですが、トークショーでは、出展していたほかのサードパーティーの方々が多く聴講していたので、この思いをオマージュしたパーツが出てきそうな気がします。
クラウンは鏡のようにピカピカに輝く1台。これはGTG(群馬トヨタグループ)のRIKISOが手掛けた逸品。
RIKISOはトヨタから納入されたクルマの品質チェックやディーラーオプションの装着、納車後の板金・塗装などGTGのお客様のクルマ品質を最高の状態にするプロフェッショナル集団です。その技術を活かしてゼロクラウンの塗装を落とし、鉄板を磨いてメタルボディに仕上げています。
スタッフに伺ったら「すぐ大気に反応し、赤く錆びてきてしまう儚さもありますが、これほど来場者のみなさんが驚いてくれて大満足です」とその腕を皆さんに認めてもらえて喜んでいました。
1粒で3度おいしいGPS
今回のGPSを観ていて、イベントとしてすごい!と思ったのは、パーツメーカーの展示エリア以外にも、屋外で4WD専門誌によるイベントが行われ、20台のキッチンカーが並んで、フードフェスとしても成り立っていることです。
専門誌「LET’S GO 4WD」は250台の予約制でファンミーティングを開催。RVブーム時に創刊され、約30年続く4WD専門誌です。私は創刊時からライターとして参画していましたが、今やイベントでもたくさんの読者が集まる4WD乗りのバイブル的存在になっています。愛車の撮影会や、読者同士の交流の場として盛り上がっていました。
キッチンカーはいろんな料理やスイーツがあり、私が行った日曜午後にはすでに完売のお店が数軒あるほど大人気でした。東京であれば代々木公園などで開催されるフードフェスがここ群馬で楽しめるとあって、食事をしているのは家族連れの来場者の方が多かったです。
こうしてパーツショー、4WDファンミーティング、フードフェスと3つのイベントがGPSに来るだけで楽しめる、まさに1粒で3度おいしいイベントです。頭文字Dの聖地でもある群馬ですから、もちろん86のパーツやデモカーもたくさんあります。
クルマをキーに人が集まり、笑顔が生まれる素晴らしいイベント。それがGPSでした。
写真・文:寺田昌弘
ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。
[GAZOO編集部]
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