かっこいいぞ 86やクラウンのリフトアップ車 オートサロン2023・・・寺田昌弘連載コラム
来場者の上限規制も解除され、3日間の合計入場者数が約18万人と盛り上がった今年の東京オートサロン(以下:TAS)。1983年から続くエキサイティングなカスタムカーの展示はそのままに、自動車メーカーの出展によってモータースポーツ車両や新型車が数多く観られるようになりました。
さらに昨今のアウトドア人気からSUV、4WD、ミニバン、ワンボックスなどの展示も多く、モビリティの多様性が一同に集結した今年の東京オートサロンで、私が気に入ったクルマをご紹介します。
ハイライダースタイルがカッコいい!
パリ・ダカールラリーが好きな私にとって、最も印象的なマシンは「ポルシェ911」。959へ向けたプロトタイプ(953)のマシンは初参戦でルネ・メッジ/ドミニク・ルモイヌ組が総合優勝、ジャッキー・イクス/クロード・ブラッスール組が6位、クイックアシスタンスで走っていたマシンを含め3台全車完走と鮮烈なパリダカデビューを飾りました。
911のボディがサスペンションとタイヤでリフトアップしているのがかっこよく、そのスタイルをオマージュしたポルシェ911ダカールが現在、限定発売されています。ビシッと決まったスーツを着ているのに、大自然のなか埃まみれになっても気にしない紳士のようで憧れます。
今回のオートサロンでもGR86をオフロードのスポーツカーに仕立てていたのがCUSCO。「GR86 CROSSOVER CONCEPT」として展示されていました。サスペンションで車高が約25mmアップし、標準で40~55偏平のタイヤは、225/70R16と大径のブリヂストンDUELER A/Tを履き、オーバーフェンダーでボディ内にタイヤをきっちり収めています。
そしてラリージャパンやフォーミュラドリフトジャパン、全日本ダートトライアルにジムカーナなど、モータースポーツの第一線で活躍するCUSCOだけに、足回りからボディ補強、駆動系、エンジンなどしっかりパーツを組み込み、コンセプトカーながら走りも期待できます。
また「トヨタ・クラウンCROSSOVER」は、早くもカスタマイズされて何台も展示されていましたが、併催されたTOKYO OUTDOOR SHOW(TOS)に展示されていたアウトドアコンセプトは、オフロードやキャンプなどアウトドアでの活用がコンセプトでタイヤが大径化(265/60R18)され、スキッドプレートや牽引フックがあったりして目を惹きました。
群馬トヨタグループ(GTG)や宮城トヨタグループ(MTG)でも展示していましたが、MTGでは、「シエンタ」をさらにアウトドア仕様にカスタマイズしていました。ホイールをインチアップし、タイヤを純正185/65R15(外径621mm)から185/60R16(628mm)にして、さらにTEINと組んで1インチアップ(約25mm)のコイルスプリングを製作。
合わせて約30mmアップのハイライダースタイルがさりげないカッコよさ。シエンタクロスとして販売していてもおかしくない仕上がりです。特にアウトドア好きには使い勝手もよく、流行りそうです。
メーカーの出展はモーターショーを超える!?
一昔前はコンセプトカーや発売前の新型車を観るために、東京モーターショーに行っていましたが、今回のオートサロンでは自動車メーカー各社が出展していてTASも幅広くなってきました。
東京モーターショーは今秋より、「JAPAN MOBILITY SHOW」として、自動車関連だけでなくスタートアップや他産業も出展し、未来の日本を体感できるイベントに大きく様変わりするそうです。これは北米で、もともと電子機器の博覧会であったCES(当初はConsumer Electronics Showでしたが、現在はCES)に、モビリティ業界はじめ、様々な分野が出展していき成功しているので、日本ではモビリティ産業が率先して他産業を引っ張っていくイメージだと思います。
TASは一般向け(BtoC)で、北米で言えばBtoBのSEMAショーに展示内容が似ています。アフターパーツなどカスタマイズを直接消費者に見せるTAS、パーツメーカーと販売店など法人取引のみのSEMA。どちらも盛り上がっていますが、TASは東京モーターショーをクルマ好きのためにもっと深堀りして発展していると実感しました。
発売前の新型車でまず目立っていたのが、三菱自動車。以前、パジェロが大人気だったときにパジェロミニが誕生しましたが、今回は唯一無二の4WDオフロードミニバンスタイルで長年ファンが多いデリカから「デリカミニ」が誕生。2023年5月に発売されるということですが、さらにカスタマイズして展示されていたことに驚きました。特にスノーサバイバーと名付けられたモデルは、エクステリアにフロントガードバーやルーフキャリア、リヤラダーを装着。サスペンションは50mmリフトアップで165/65R15の純正よりワンサイズ大きいタイヤを履いています。
デリカを知り尽くしているなと思ったら、元P&D(パジェロ&デリカ)マガジン編集長の山本和彦さんが監修しているということで納得です。
そしてスバルの「クロストレック」も昨年12月に発表したばかりですが、さらにアウトドアで楽しめそうなコンセプトカーまで展示しています。
またTOSではLEXUS OVERTRAIL PROJECTとして3台のモビリティが展示され、なかでも日本で販売されていないGX460をベースとしたコンセプトカーもあり人気を集めていました。
モータースポーツもカスタムも“ダイハツ”が熱い!
モータースポーツの展示はTOYOTA GAZOO Racingが多く、ハイエースやRAV4、ランドクルーザーなどトヨタ車をベースとしたカスタマイズカーが多いですが、TAS、TOSを観て回り、熱いと感じたのは“ダイハツ”です。
発売から20周年を記念して、ロールバーまで組んだCOPEN CLUBSPORTSと荷室が約1.1mも伸びるHIJET TRUCK JUMBO EXTENDはTASに合わせワンオフパーツで作り上げられています。
そしてTOSでは、カスタマイズメーカーやタイヤメーカー7社が、HIJET TRUCKを思い思いにカスタマイズしていたのが圧巻でした。特にオフロードをしっかり走れるようにカスタマイズされたHIJET TRUCKは、サスペンション形式まで変えるほど本気です。さすが「夢ふくらむ はじけるダイハツ」をコンセプトにしているだけあって、「山椒は小粒でもぴりりと辛い」を展示車で表現していました。
コンセプトカーだけでなく、昨年のWRC第13戦ラリージャパンでJRCar3クラス優勝した「コペンGR SPORT」も展示されていました。ダイハツといえばシャレードでサファリラリーでの大活躍が知られていますが、現在は小さなコペンで大きなマシンに挑んでいて、これからもぴりりと辛い走りと魅力をどんどん見せていただけたらと応援しています。
今年のTASは展示も多様性が高まり、クルマは本当にワクワクするものだと伝えてくれるすばらしいイベントでした。
写真/山本和彦、CRAWL Red 、寺田昌弘 文/寺田昌弘、編集/GAZOO編集部
ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。
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