大人7人、ランクルとヨットで楽しむニューカレドニア…寺田昌弘連載コラム
コロナ禍になる前は、毎年仲間と海外でヨットをチャーターして旅をしていました。毎回、現地集合、現地解散の気ままな旅で、タイのプーケットに始まり、イタリアはナポリからカプリ、アマルフィ、スペインはイビザ島、マヨルカ島、そしてタヒチ、セーシェル。
そして今回、5年ぶりに旅をしよう!と仲間と盛り上がり、集合場所はニューカレドニア。私たち世代には原田知世さん主演の映画「天国にいちばん近い島」の舞台として知られる南の楽園です。
ニューカレドニアは、全長約350km、幅は80kmに満たない縦長のグランテール島を中心に、数十の島から成るフランス領の島で、青い空と白い砂浜、ターコイズブルーの海が有名です。
南半球なので、この季節は日本で言えば夏から秋になる時期で過ごしやすそうな予感。久しぶりの海外に心躍らせながら、飛行機に乗りました。
グランテールをランドクルーザー300で巡る
ヌメア=ラ・トントゥータ国際空港に到着し、ランドクルーザー300のラゲージルームに荷物を載せます。4人のうち2人が1週間分、もう2人は10日分の荷物でしたが、やはり楽に載せられます。
グレードはVXですが、エンジンは日本ではZXとGR-SPORTにしか設定のない3.3リットルV6ツインターボディーゼル(F33A-FTV)。
ZXは、モデリスタでカスタマイズしたかのようなフロントマスクの重厚感があり、日本でとても人気がありますが、VXはランドクルーザー100からのスタイリングを踏襲していて、とても気に入っています。
中心部のヌメアまで40分程かかりますが、現地の方々の運転がとても紳士的で、走りやすかったのが印象的でした。ただ街中に入るとフランスの街づくりなので、道幅が狭く、運転に気を遣う場面も。スーパーマーケットの駐車場の枠も狭く、ランクル300だとなるべく端に停め、ドアが開くようにスペースを確保する必要がありました。
3日間ランクル300で島内を走って観光しましたが、この島は細長いだけでなく、丘陵地で上ったり下りたりを繰り返すことが多かったです。しかし、ランクルのおかげで上りは低回転から太いトルクでぐいぐい進み、下りは10速ATが走りに合わせてシフトダウンしてくれるので、とても走りやすいです。
フランス領のため、プジョーやシトロエンの小型車が多いかな?と予想していたのですが、一番多く見かけたのはルノー傘下のルーマニアのメーカー、ダチアのダスターでした。
日本ではあまり見かけませんが、ダスターはファミリーカーとしても使いやすい5ドアSUVで、パッケージの割に価格が安く、現地ではトヨタ・ライズよりも安いのです。
ダスターは初代モデルからロシアやインドでも大人気で、ダチアはルノーのディフュージョンブランド的存在です。ただここまでグローバルで人気があるので、次回のダカールラリーのトップカテゴリーには、ナサール・アルアティア選手やセバスチャン・ローブ選手といったトップドライバーとともに参戦することが発表されています。
それ以外にはスズキ・ジムニーも多く見かけました。トヨタではハイラックスが人気で、街中ではヤリスハイブリッドも走っていました。
ヨットに乗り換え、島々を巡る
ランドクルージングを楽しみ、後から到着した仲間と合流し、今度はヨットに乗り換え、太平洋をクルージングしながらイル・デ・パン島を目指します。
イル・デ・パン島の名前の由来は、その昔キャプテン・クックが、松の木が生えている島として見つけ、松の島(イル=島 デ=の パン=松)のフランス語からきています。実はその木は松ではなく杉だったのですが、今もそのまま島の名前になっています。
国内線で飛べば約20分で着きますが、ヨットだと8時間程かかります。ニューカレドニアはきれいな珊瑚礁でも有名ですが、浅瀬になっているのでチャート(海図)を見て、浅瀬に入らないよう注意しながらイル・デ・パンを目指します。
私はヨットに乗るようになって25年近くになりますが、サハラ砂漠を走っていた時代のパリダカールラリーのようでとてもおもしろいです。島の方角へ向けてセイリングするのですが、風向きによっては直線的ではなく、ジグザグに行くのが、越えられない砂丘を迂回したり、柔らかい砂を避けたりするダカールラリーに似ています。
イル・デ・パン島はのどかでとてもきれいな場所です。海底は真っ白い砂で覆われ、天然のプールと呼ばれるほど透明度が高い幻想的なビーチが広がっています。
日中はのんびり過ごし、泳いだあとは夕食を楽しみました。ニューカレドニアは海老が有名で、日本で“天使の海老”と呼ばれている高級食材はニューカレドニアから輸出されています。これはもちろんおいしいのですが、この島でしか食べられない固有のエスカルゴが絶品でした。
島内での移動はタクシーを使いましたが、30万kmを走っているカローラでした。ドライバーにカローラについて聞くと、「故障しないから気に入っているし、気づいたらこんな距離まで走っている。まだまだしばらく現役で乗り続ける」と言っていました。
どの国を訪れてもそうですが、海外で日本製品を愛してくれている方に出会うと、日本人としてとてもうれしいものです。
今回、最初の3日間は天気もよくニューカレドニアの美しい風景を堪能できたのですが、海に出てからは風が強く、快晴の日がなく、青い空と白い砂浜、ターコイズブルーの海が楽しめなかったのが少し心残りでした。それでも久しぶりに異国情緒に触れ、クルマやヨットで旅ができて幸せでした。
アジアでは日本とシンガポールのみ直行便が出ています。そのためアジアからの旅行客で出会ったのは日本人だけでした(私たち以外はおそらくハネムーンのカップルのみ)。また、治安はものすごく良く、心が解放されてとても心地よかったので、次回は晴れの日が多そうな季節にまた行こうと思います。かけがえのない、兄弟のような仲間もできたので。
写真/Nana、Dice、寺田昌弘 文/寺田昌弘
ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。
[GAZOO編集部]
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