表彰台を目指す! ANEST IWATA Racing with Arnageの発表会をレポート・・・寺田昌弘連載コラム
今シーズンは4月13-14日に岡山国際サーキットで開幕する「2024 AUTOBACS SUPER GT」。
GT500クラスでは、ホンダ勢のマシンがNSX-GTからCIVIC TYPE R-GTに変わり、若手ドライバーのTOYOTA GAZOO Racing(TGR)への移籍、またTGR勢、日産勢はドライバーのシャッフルがあり、どのようなレースが展開されるかとても楽しみです。
また予選方式が変わり、全車Q1、Q2を走り、その合算タイムで決勝グリッド順が決まる、というのもおもしろくなりそうです。ワークス勢がしのぎを削るGT500も好きなのですが、フェラーリやランボルギーニ、アストンマーティン、BMW、AMG、LEXUS、SUBARUなどバラエティーに富んだマシンが競いあうGT300も大好きです。
そのなかで、昨シーズンからLEXUS RC F GT3で挑む「ANEST IWATA Racing with Arnage」が、今シーズンの参戦発表をメインスポンサーのアネスト岩田横浜本社で行うということで、行ってきました。
本社敷地を遊び場にするアネスト岩田にびっくり!
昨年より『ANEST IWATA BLUE LINK FES.』と題し、本社敷地を公園や空き地のように、新しい遊び場として地域にお住まいの方々に開放し、子どもから大人まで楽しめるイベントを開催。
今年も参戦発表だけでなく、グランツーリスモタイムアタックやキッズカート体験、エアトランポリン、はたらくクルマやLEXUS車展示にキッチンカーまであり、まさしくご近所にお住まいの方々の遊び場になっていて、その心意気にびっくりしました。
アネスト岩田は、塗装機器や塗布技術の提供やコンプレッサー、真空ポンプなど空気の総合マネージメントサービスを提供している会社です。
プロユースの製品が多く、日常生活で目にすることが少ないので、こうして会社を地域住民や製品ユーザー、モータースポーツファンに解放してもらえると、どんな会社かわかりやすく、とてもいい取り組みだと思います。
今シーズンは表彰台を目指す20代のドライバーたち
昨シーズンに続き、ドライバーはイゴール・オオムラ・フラガ選手と古谷悠河選手。
イゴール・オオムラ・フラガ選手は、グランツーリスモ ワールドシリーズ初代王者(2018年)で国際フォーミュラシリーズを中心に実績を重ねてきた選手。古谷悠河選手は、フォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ チャンピオンシップで王者(2021年)となり、スーパー フォーミュラ ライツに参戦しています。
昨年のSUPER GTは、チームも新体制、かつ初参戦で手探り状態のなか全戦完走し、27台中シーズン17位でした。
フラガ選手は「ルーキーだったので最初はてこずりましたが、中盤からどうすればいいか方向性が見つけられて徐々に順位も上げていけました」とコメント。確かに第6戦のSUGOで7位とシングルにつけました。
古谷選手は「SUPER GTならではの特殊なタイヤの経験値がなかったので、驚きながらも一戦ずつ経験を積んできた一年になりました」とコメントされていました。
SUPER GTのタイヤは、レンジの狭いところで最大限の性能を発揮するようになっていて、路面がドライでも、路面温度が少し変わっただけでグリップ力が変化するとても繊細なもの。また、摩耗により性能が一気に落ちることもあるので、タイヤの温度や摩耗などマネージメントがかなり難しいのが特徴です。
2023年シーズン、全サーキットで完走し、その経験、データを元に今シーズンはどこまで行けるのか、2人のドライバーに注目です。
企業が社員の夢を応援。目指すはD1グランプリ
会場内の展示車両を見ていたら、GT300マシン同様に、大きくアネスト岩田のロゴが入ったマシンがありました。
D1グランプリやフォーミュラドリフトジャパンにも参戦するのかと思いきや、アネスト岩田の社員がD1グランプリ出場を目指し、今シーズンから「D1ディビジョナルシリーズ」に参戦するのを会社が支援するとのこと。従業員とともに、この0からの挑戦をしていく企業姿勢がすばらしいです。
ドライバーはコーティング開発部の熊谷圭一郎さん。「GTマシンと同様にアネスト岩田のロゴが入ったマシンはとても目立ちますが、会社に支援していただき、社名が入ったマシンでとても感謝しています。D1グランプリ参戦まで、結果にこだわりながら恩返しをしていきたいです」と話されていました。
またインフルエンサーとしてドリフトのおもしろさを知ってもらえるよう、D1グランプリシリーズへの挑戦を「KUMADRI(クマドリ)」と称して、YouTubeやXなどSNSで発信していくそうなので、ぜひ応援していただきたいです。
久しぶりに片山右京さんと会えた
ジャパンサイクルリーグ(JCL)も出展されていて、自転車の正しいペダリングなどを教えたり、大人から子供までバーチャルレースを楽しんだりしていました。
ふと見ると、JCLチェアマンの片山右京さんがいてびっくり。右京さんとは2008年、2009年とダカールラリーでコンビを組ませていただき、その後も子供たち向けのイベントも手伝わせていただいていました。
ダカールラリーの関係で、フランスで一緒に暮らしていたときにF1やル・マン24h、ダカールラリーと並んでヨーロッパで人気があるのが自転車ロードレースの「ツール・ド・フランス」であることを教えていただきました。
右京さんはF1、ル・マン24h、ダカールラリーに参戦していたので、あとはツール・ド・フランスですね!なんて言っていたら日本でプロ選手になり、2012年にはプロサイクルチームを立ち上げていました。
現在はJCL TEAM UKYOのチェアマンとして日本国籍チーム初となるツール・ド・フランスを目指しています。
この右京さんの夢に、アネスト岩田のイタリア・ミラノにある欧州本社が賛同し、今シーズンよりスポンサーとなったので、右京さんもイベントで登壇し、ツール・ド・フランスへの熱い思いを語っていました。GT300マシンを観に来ていたモータースポーツファンも右京さんがいたのでとてもびっくりしながらも、拍手と声援を送っていました。
「No Theory. 夢ある無謀を。」を掲げるANEST IWATA Racingの熱い思いが、社員ドライバーのD1への挑戦、片山右京さんによる日本国籍チーム初のグランツールへの挑戦へ広がり、セオリーにとらわれず、新たな轍をつける彼らの今シーズンの活躍が楽しみです。
写真・文:寺田昌弘
ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。
[GAZOO編集部]
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