3シーズン目で体制一新「ANEST IWATA Racing」がSUPER GT GT300を盛り上げる・・・寺田昌弘連載コラム


メーカーがしのぎを削るSUPER GT GT500やSUPER FORMULAは国内最高峰のGTでありフォーミュラのレースで、ハイスピードでのバトルは息を呑むすごさで好きですが、さまざまな要素を突き詰め、チームワークで上位を目指すGT300も奥が深くて観ているファンを唸らせるおもしろいレースです。

今シーズン、GT500は15台に対しGT300は28台と多く、いくつかのチーム体制が変わり、益々おもしろくなること必至のGT300。

BMWが参加しないかわりにポルシェが参戦し、AMG、ランボルギーニ、フェラーリ、アストンマーティンといった海外ブランドに対し、GR、NISMO、スバルが対抗。さらにLEXUSは4台が参戦し、なかでもチーム体制を一新する「ANEST IWATA Racing」が3シーズン目にして参戦権を得て、自社チームとして始動するとのこと。

今年もアネスト岩田本社で開催される「BLUE LINK FES.」にて体制発表会をするということで行ってきました。

伸び盛りとベテランのコンビで上位を目指す

ドライバーは過去2シーズンAドライバーとして挑んできたイゴール・オオムラ・フラガ選手。今シーズンはスーパーフォーミュラでPONOS NAKAJIMA RACINGのドライバーとしても活躍する伸び盛りのドライバーです。

コンビを組むのは過去GT300のシリーズチャンピオンでGT500でも優勝実績のある安田裕信選手。自身が速いのはもちろんですが、現在GT500で活躍する大草りき選手、牧野任祐選手などをカート時代からサポートし、若手育成にも定評のあるドライバーです。

マシンは今まで同様にLEXUS RC F GT3。メンテナンスはGAINERとなり、チーフエンジニアはスーパーフォーミュラの昨シーズンのチャンピオンチームを担当していた吉田則光さん、データエンジニアはスーパーフォーミュラでイゴール選手の乗るマシンを担当する岡田淳さんなど一流エンジニアが彼らの走りをサポートします。

イゴール選手は「経験豊富な安田選手とコンビを組めるのは、自分の成長に大きく役立つのでとても楽しみです」といい、安田選手は「イゴールとはカート時代から速い選手だと思っていたので、これからが楽しみです。ただ、イゴールも以前コンビを組んでいたヤン・マーデンボローもグランツーリスモの世界チャンピオンで、私はゲームが彼らほど上手くないので、そのぶんリアルの世界でいい結果に結びつくよう頑張ります」と。

カーナンバーは昨年までの50から26に変更。アネスト岩田が来年の2026年に創立100周年を迎えるので26にしたそうです。監督の松浦佑亮さんは「チーム発足から予定通りですが3シーズン目で戦える体制を作ってきました。2026年のアネスト岩田の創立100周年に向けて、今シーズンはとても重要です。一つでも上を目指し挑んでいきます」とのこと。
今シーズンのANEST IWATA Racingの活躍に期待しています。

  • ポリフォニー・デジタルによる新たなデザインが施されたRC F GT3が登場

技術を活かしたコンテンツで来場者が楽しむ

地域の方々に感謝を込めて本社を遊び場のように解放して楽しんでいただくイベント「BLUE LINK FES.」はレース活動と同様に今年で3回目を迎えました。GT300の体制発表会を目当てに来るファンも多いですが、近隣にお住まいのご家族が多く来場し、主に社員が運営する各コンテンツを楽しんでいます。

アネスト岩田は、コンプレッサーや真空機器、塗装機器の製造、販売を手がけるメーカー。
横浜に本社があることから、特に神奈川県を盛り上げていきたいと、「横浜F・マリノス」のオフィシャルパートナーや「アネスト岩田ターンパイク箱根」のネーミングライツ取得など、スポーツからモビリティに関わる分野までサポートしています。

またヨーロッパ、アフリカ、北米、中南米、アジア、オセアニアとグローバルに展開する企業で、日本から世界に挑んでいるプロサイクルチーム「JCL TEAM UKYO」にもスポンサードしている。チーム代表はご存知、片山右京さん。

私は2008年、2009年とダカールラリーで右京さんとコンビを組んでからの縁ですが、そのときから日本チームでツール・ド・フランスへ挑むと言っていて、現在は相模原からイタリア・ミラノへチームのベースを移し、着実にそのステップを上がっています。

右京さんもイベントを盛り上げるべく、来場者の方々と交流を深めていました。コンテンツの多くはアネスト岩田ならではの、コンプレッサーや真空技術を子供たちでも体感しながら学べるものが多く、社員が製品技術を活かしながらゲームに使えるようにカスタマイズしているのがおもしろいです。

コンプレッサーとスプレーガンを組み合わせたエアー射的や真空機器の引く力を利用したスーパーボールすくい、LEXUS RC Fが描かれた大きなボードにスプレーガンで色付けできるコーナーなど子供たちが楽しみ、お父さん、お母さんがスマホで撮影しているシーンがあちらこちらで笑顔とともにありました。

D1グランプリを目指す社員ドライバー

昨年より、D1グランプリ出場を目指し、D1ディビジョナルシリーズに参戦する従業員を会社が支援していましたが、シーズンを通して好成績を収め、今シーズンはD1ライツへの参戦資格を獲りました。

ドライバーはANEST IWATA A.I.Rの熊谷圭一郎さん。GT300マシンと同じカラーリングで5サーキット、全9戦に挑みます。ドリフトの頂点、D1グランプリへ向け、今シーズンもかっこいい走りを期待します。

  • 今シーズンはD1ライツに昇格した社員ドライバーの熊谷選手が乗るマシン

モータースポーツもそろそろシーズンが始まります。SUPER GTは、コラム仲間のおねえさんが現場からレポートしてくれるのでぜひご覧ください。私も観戦に行ってみようと思います。みなさんもぜひサーキットでモータースポーツの興奮を味わってみてはいかがでしょう。

写真:文/寺田昌弘

ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。


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