クルマ文化の魅力を拡げる映画祭。各受賞作品が発表されました・・・寺田昌弘連載コラム

日本発の自動車映画祭「International Auto Film Festa」(以降IAFF)は、今年で4回目を迎え、73カ国から、519作品が集まりました。年々、国際色豊かになり、初回は日本人クリエイターの作品でしたがここ2年はポルトガル、イギリスの作品がグランプリを受賞しました。

今年は愛車へのオーナーの気持ちが映し出され、国内自動車関係者のなかで注目されていた『【MAZDAドキュメンタリー】RX-7と過ごした25年間、最後の3日間 ~クルマが残してくれたもの~』小川凜一さん(LUCK株式会社)がグランプリとなりました。

DUNLOPがIAFFのタイトルパートナーに

5年前に発起人でビデオグラファーの清水喜之さんとモータージャーナリストの生方聡さん、デザイナーの内田雅人さん、そして私の4人で始まったIAFFは、感性をよりグローバルにするためピーター・ライオンさん(オーストラリア)をはじめ、アメリカ、フィリピン、イギリスなど審査員が加わり、欧州で発行部数No.1の自動車専門誌「Auto Bild」の日本版代表の江原慎一郎さん、さらに最新の映像技術や制作トレンドを発信するプロフェッショナル向けデジタル映像制作専門Webマガジン「PRONEWS」編集長の猪川トムさん、さらに片山右京さんとメディアや映像制作、撮影機材、ドライバーとしてプロフェッショナルな審査員で構成されています。

さらに今回、クルマ文化の魅力やその可能性を、映像作品を通じて発信するIAFFの活動趣旨に賛同し、DUNLOPがタイトルパートナーとなりました。映像を介したクルマ文化の発信を支援していただくとともに、モビリティがもたらす価値や感動を、今後も国内外へ届けていただける力強いパートナーです。

今年もバラエティに富んだ作品が集まる

73カ国、519作品から各審査員からの投票により、今年は19作品をファイナリスト作品として選出しました。クルマのある風景、描写をドキュメンタリー、アニメ、CG、ドラマなどさまざまなカテゴリー、技法、ストーリーで観せてくれます。

ショートムービーとはいえ、これだけあると観るだけでかなりの時間を要します。私の場合、ひととおり観ていくなかで、心動いた作品にチェックしていき、そのチェックした作品を再度観ながらさらに絞り込んで、また観ます。準々決勝、準決勝、決勝といったトーナメント的に審査しています。私の総評は後ほどにして、あらためて各アワードを紹介します。

■ IAFF2026 Grand Prix
■ TEAM UKYO Award
『【MAZDAドキュメンタリー】RX-7と過ごした25年間、最後の3日間 ~クルマが残してくれたもの~』
小川凜一(LUCK株式会社)/ 日本

80歳の誕生日に免許返納することを決めていた女性が、今までのクルマとの関わりかたや楽しさなど思い出話とともに語ってくれます。海外審査員の得票もあり、クルマと人との心温まる実話は、グローバルに心に沁みる作品です。Team UKYO Awardと合わせ二冠。

■ Auto Bild Japan Award
『A Drive through time』
Lukas Grevis / ルクセンブルク

いくつかの時代をひとつのドライブがつなぐ家族の物語。ショートムービーの王道を行く作品で、14分27秒にストーリーをゆったり入れながら、映像の美しい雰囲気が、ふとしたときにまた観たくなる作品です。

■ PRONEWS Award
『DAMI』
George ve Ganaeaard, Horia Cucuta / ルーマニア

(※IAFFメンバー限定コンテンツ)

独特な世界観を表現したアニメーション。マネキンが感情を持った人に見えてきて、気づいたらすっかり没入していました。

■ Best Cars Of The Year Award
『DRIVEN | Maserati 300S: Masterpiece In Motion』
Sam Hancock / 英国

審査員のマイク・ラザーフォードさん、ジャクリン・トロップさん、ピーター・ライオンさん、片山右京さんはじめエンジニア、デザイナーなどが委員を務める「Best Cars Of The Year」(Best COTY)から贈られる賞。紳士が青年のころのように無邪気にMaserati 300Sを走らせ、語るクルマと人の関係性がかっこいい。

■ DUNLOP TYRE Award
『模型の町に命を吹き込む。A Day in Rothenburg, Germany in 1:87 Scale』
Kenji Yokokawa / 日本

ドイツの古都、ローテンブルク風な街並みを1/87で再現。自然光で撮影した静止画像をベースに、AI生成技術によってごくわずかな動きを加えているのがすばらしい。

私が今回最もすばらしいと感じた作品は

今年も仕事を終えてから、夜中に作品を毎晩観続けながら、何度も見入ったのは、DUNLOP TYRE Awardを受賞した『模型の町に命を吹き込む。A Day in Rothenburg, Germany in 1:87 Scale』です。

時間の止まった1/87スケールの模型の世界に、命を吹き込んで動き出したときは、一コマずつ動かして撮影したのかと思いました。しかし人形の動きがとても柔らかく、どうやっているのだろうと思っていたら、ディレクターの横川さんが「自然光で撮影した静止写真をベースに、AI生成技術によってごくわずかな動きを加え、時間の止まった模型世界に、一瞬だけ生命を与える映像表現を試みました。単なる合成ではなく、街の光が車体に反射し、生成された人物が建物の窓に映り込むなど、現実の物理現象を伴った映像表現を成立させています」と教えてくれました。

テーマも技法もとてもユニークで、ほかの街の情景でほかのクルマでの作品も観てみたいとワクワクする作品です。ぜひご覧いただきたいですし、今回ファイナリストになった作品は独創的でクルマ愛溢れるものです。

こうしてショートムービーを通じてクルマ文化の魅力が拡がっていったらいいなと思います。

文:寺田昌弘

ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。