【国道の云われ(国道 134 号/神奈川)】お尻を擦るほどの坂?「尻こすり坂通り」

わたしたちは道を通らずして歩くことは不可能だ。そんな変哲もない道が、わたしたちの想像や常識では考えられない側面があるとしたらどうだろうか。それが国の道=国道で起きていることだとしたら、それはとても興味深い話に発展しえないだろうか。

今回は、身近にある国道の云われ にこだわり、全15回にわたりご紹介する。
本特集に触れることで、国道を通じて新しい日本を再発見できるかもしれない。

第一回目は、神奈川県横須賀市と大磯町をつなぐ国道134号。総延長は60.6km。主に相模湾のビーチ沿いを走るこの路線。夏はもちろん、最近では沿線の鎌倉高校駅前交差点などが漫画『スラムダンク』の中にたびたび登場することから、常に多くの観光客で賑わう路線である。

国道134号線

お尻を擦るほど急な坂?! 久里浜~野比間の「尻こすり坂通り」

1853年、開国を求めにアメリカからやってきたペリーが初めて日本の地を踏んだのが、現在の横須賀市久里浜。ペリー上陸の地から車で5分ほど、国道134号線沿いに「尻こすり坂通り」という標識が掲げられている。急坂のため荷車を押して坂を通ると、荷車の後部が擦れてしまうことから名付けられたという。
「尻こすり坂通り」の全長は約3.3km。
横須賀市立神明中学校の横あたりから野比方面に向かう上り坂は、現在はそこまで急な坂ではないようだが、なぜこの名が付いたのか。

坂の途中に石碑が立っているが、そこに答えはあった。この碑は道を切り開いたことを記念に建てられた「尻こすり坂開鑿(かいさく)記念碑」。この道は古来から浦賀と三崎を結ぶ街道の要所で、急な坂道で通行が困難であったことから、明治17年(1884)に山道を切り崩し、通行しやすい道に整備したという。工費は当時の5000円、3万人もの労働者が関わったそうなので、一大公共事業だったといえる。

案内板に、「裏手の山を上ると(中略)当時の山道らしいふみ固められた跡がある。ここから下を見るといかに急坂であったかが想像できる。」と書いてある。

碑の左側に裏山に入れる道があったので、おそるおそる入ってみると、確かに急な斜面が残っていた。

この急坂が続いていたとなると、往来が大変だったであろうと偲ばれる。

現在の尻こすり坂の最高点の標高は約50m、勾配は約5.8%と、先人のおかげでお尻が擦れることのない、徒歩でもドライブでも通行しやすい道となった。

余談ではあるが、坂の頂上付近に「ハイランド五丁目」と書かれた街区表示板がある。坂の北側は「神奈川県横須賀市ハイランド」という住所で、「ハイランド」という町名は日本で初めてのカタカナだけの町名だという。この辺一帯は「湘南ハイランド」という名称の大規模な分譲地で、その名称が地名の由来になった。

人気のビーチを繋ぐ「湘南道路」

葉山~大磯間は逗子海岸、由比ケ浜海岸、片瀬海岸、サザンビーチなど、人気の海水浴場を繋ぐビーチライン「湘南道路」として知られ、様々な作品の舞台となっている。

そもそも「湘南道路」とは、昭和初期に現在の国道134号線の大磯町から藤沢市片瀬までの区間にあった「湘南遊歩道路」という観光用遊歩道の愛称であった。

茅ヶ崎市の柳島海岸交差点近くの釣具店の横に、防砂林の中に通じる入口がある。草が生い茂る小径を進むと赤い鳥居の傍らに「湘南道路之碑」と書かれた大きな石碑が立っている。

これは湘南遊歩道路の完成を記念して昭和11年に建てられた碑。
案内板によると当時日本は不況の時代であり、湘南遊歩道路が作られたのは失業者対策としての意味もあったという。

前述の「尻こすり坂」開削工事と「湘南遊歩道路」開通工事、ともに国の一大事業として134号線が作られていったという共通点があるのは興味深い。

また、昭和31年に藤沢市片瀬東浜から鎌倉市由比ケ浜までの鎌倉区間が、昭和39年に由比ケ浜から逗子市新宿までの逗子区間が「湘南道路」という名の有料道路が開通する(それぞれ昭和50年、昭和61年に無料開放)。
昭和初期の大磯~片瀬間は遊歩道として、戦後の片瀬~逗子間は有料道路として、時代と区間は違えど、同じ「湘南道路」の名で親しまれていたのが、今に続いている。

国道マップ

A)大磯町 ~ B)藤沢市片瀬  湘南遊歩道路
C)藤沢市片瀬東浜 ~ D) 鎌倉市由比ケ浜 湘南道路 鎌倉区間
D) 鎌倉市由比ケ浜 ~ F) 逗子市新宿 湘南道路 逗子区間

国道134号線にまつわるスポット

富士山が見えるおすすめビュースポット!

国道134号線は富士山がよく見える路線としても有名。相模湾越しの富士山、道の先の富士山、夕日に照らされた富士山など、場所や時間帯によって様々な富士山を楽しむことができる。
そんな国道134号沿線でおすすめのビュースポットの1つが横須賀の立石公園だ。立石とは、波打ち際に突き出した高さ12mの巨石。奇岩、岩礁に生えた松の木、そして富士山が織りなす景観は、歌川広重をはじめ、多くの画家や写真家を魅了してきた。「かながわの景勝50選」にも選出されている。

立石公園(たていしこうえん)
住所:神奈川県横須賀市秋谷3-5
TEL:046-822-8333(横須賀市環境政策部公園管理課)
料金:無料
営業時間:24時間
アクセス:逗葉新道料金所から車で約15分
駐車場:あり
URL:https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/4130/sisetu/fc00000486.html

新鮮で豊富な野菜がそろう大型農産物直売所「すかなごっそ」

400軒以上の地元農家が生産した農作物を販売しているほか、長井町漁業協同組合直営の「すかなごっそ・さかな館」も併設。おすすめは横須賀で人気の関口牧場の牛乳を使ったソフトクリーム(300円)。

大型農産物直売所「すかなごっそ」
住所:神奈川県横須賀市長井1-15-15
TEL:046-856-8314
営業時間:9時30分~18時
定休日:水曜日(祝日の場合営業)
アクセス:三浦縦貫道路「林」出口より車で約3分。
駐車場:あり
URL:https://ja-yokosukahayama.or.jp/sucanagosso/

※記事内のデータは2019年1月現在のものです。掲載後に料金、営業時間、定休日、メニュー等の内容が変更になることや、臨時休業等で利用できない場合があります。また、各種データを含めた掲載内容の正確性には万全を期しておりますが、おでかけの際には電話等で事前に確認・予約されることをお勧めいたします。

[ガズー編集部]

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