南伊豆のループ橋とは？ぐるぐる回る珍しい道 ～河津七滝ループ橋～

そもそも橋（または橋梁）というものは、海や川、谷などをまたいで架けられるもので、2つの地点を通行しやすいように効率よく繋いだものだ。橋の上は眺望がよかったり開放感が得られたりと、ドライブでは人気のスポットであるといえる。では、この2つの地点の高低差が大きい場合はどうするか。まっすぐ繋ぐと急勾配になってしまう場合はあえて距離を伸ばして、走りやすい勾配にする必要がある。そうして誕生したのがループ橋だ。

こうしたループ橋は高速道路のジャンクションやインターチェンジなどでもよく見られるので、けして珍しいものではない。ところが同じ場所を2周もするとなると話が違う。南伊豆の河津町にある「河津七滝（かわづななだる）ループ橋」は美しい2層ループを持つ全国でも有数の珍しいループ橋だ。

正式名称は七滝高架橋といい1981（昭和56）年に完成した。以前は山の斜面を走る道路があったがマグニチュード7.0という地震で崩落。その教訓を生かして採用されたのが2層ループだ。高低差は45mもありループの半径は40m。取付道路も含めた橋全体の長さは1064mほどもある。完成当時は多くの人が橋を見るために訪れたといい、今でも河津の名所のひとつにも数えられている。

上の動画を見ていただくとわかるとおり、ループ部分の制限速度は40km/hになっている。駐停車禁止で歩道もないので、橋を歩いて渡ることはできない。速度を守ってぐるぐる回る体験を楽しんでみよう。ゆっくりと眺めるならループの中心部にある駐車場へ。少し歩くと橋の構造がきれいに見える場所があるので記念写真撮影などを楽しめる。
駐車場は、国道414号線ループ橋の南側から「河津七滝」の案内に従って進んだところにある。

見れば見るほどどうやって造ったのか知りたくなる人もいることだろう。現在駐車場になっているループの中央に巨大なクレーンを立てて、分割した橋梁を吊り上げながら下から順に造っていったという。3年がかりの大工事で、完成後には優れた橋梁などに贈られる「土木学会田中賞」を受賞している。

走っても眺めても楽しい河津七滝ループ橋は、観光名所であると同時に生活道路でもある。速度超過はもちろん、極端にゆっくり走るようなことも慎みたい。交通ルールを守って珍しい2層ループ橋を楽しもう。

※記事内のデータは2019年5月現在のものです。

[ガズー編集部]