近づくクルマが止まって見える?危ないコリジョンコース現象

日本には何種類の道路標識があるのかご存知だろうか。大きく分けると地名や道路名などを示す案内標識、注意を促す警戒標識、一方通行や一時停止、制限速度などを示す規制標識、道路の状態などを示す指示標識、そしてこれらの標識の起点や終点などを示す補助標識の5種類に分類され、細かく分けると100種以上の標識が存在している。なかには普段あまり見かけることがないレアな標識もあり、そのひとつがこの「優先道路」だ。

茨城県稲敷市に、このレアな標識があると聞き早速出かけてみた。標識は確かにそこにあったが周囲は何やらものものしい雰囲気。どうやらこの交差点は、何かありそうだ。

なかなか珍しい優先道路標識

あまりお目にかかれないレアな標識。じっくりとご覧あれ!
あまりお目にかかれないレアな標識。じっくりとご覧あれ!

優先道路標識は茨城県稲敷市の、利根川の北側に広がるのどかな田園風景の中にある。道幅は広すぎず狭すぎず、普通車が余裕をもってすれ違える程度。見通しがよく信号もないので、ついスピードを出しすぎそうになる、そんな道路だ。この優先道路と直交する道路には当然「止まれ」の標識があるわけだが・・・。

優先道路と直交する道路。交差点の100mも手前に「止まれ」の標識が。
優先道路と直交する道路。交差点の100mも手前に「止まれ」の標識が。
こちらが問題の交差点。なんとしても止まらせようとする強い意志が感じられる。
こちらが問題の交差点。なんとしても止まらせようとする強い意志が感じられる。

まず、交差点の100m手前に「止まれ 優先道路この先100m」の標識が立っている。スピードを落としつつ交差点に近づくと、少し手前の路面に大きく「交差点注意」の文字が。その先の路面には赤く塗られた減速帯があり、さらにその先に「止まれ」と書かれている。文字の両脇にはゼブラ模様がペイントされ、黄色く反射する道路鋲が無数に埋め込まれている。しかも、道路の左右には2本のポールが道幅を狭めるように立つという念の入れよう。何が何でもスピードを落とさせようとしているようだ。

見通しがいい交差点は、死亡事故多発地帯だった!

ひときわ目立つ黄色い看板が、危険を知らせてくれている。
ひときわ目立つ黄色い看板が、危険を知らせてくれている。

そして極めつけがこちら。道路の左側に「危険 死亡事故多発交差点 一時停止厳守」と書かれた看板が立ち、ドライバーはここで初めてこの場所が「死亡事故多発地帯」であることを知ることになる。
この一時停止の道はもちろんのこと、優先道路側も交通量は少なく、ときどき車が走り去る程度。こんなに見通しのいい道路でなぜ死亡事故が多発するのだろうか。

原因はコリジョンコース現象だった

実は全国的にも、見通しのいい交差点では死亡事故が多発しており、その原因はコリジョンコース現象にある。コリジョンコースとは直訳すると「衝突進路」、つまりそのまま進めば衝突するよ、という意味だ。見通しのいい田園地帯で多発することから「田園型事故」、また、だだっ広い北海道の十勝地方でよく見られるため「十勝型事故」とも呼ばれている。

直交する交差点に同じ速度、同じタイミングで車が侵入すると、ドライバーの視界の中では相手の車は常に同じ位置にあり、錯覚で止まっているように見えてしまう。お互い相手に気づかないままスピードを落とさないため重大事故になりやすいというわけだ。そう思うと、わざわざ交差点があることを示す優先道路の標識にも、仰々しい一時停止のサインにも納得がいく。

今回、ドライバーの目でどのように見えるのかを実験してみたので、まずはこれを見ていただこう。

前方で直交するのが優先道路で、こちらは一時停止があるほうの道路。
画面の右端、白い矢印の下に米粒のような車が見えるだろうか。
我々の車と同じタイミング、同じ速度で交差点に向かっており、この2台はいわゆるコリジョンコースにある。

数秒後の写真。先ほどから車の位置はほぼ変わらず、少し大きく見えるようになった程度。

さらに数秒後。さっきの車はより大きく見えているが、視界の中での位置はほとんど同じ、つまり写真の右端からの距離が変わらないのだ。交差点まであとわずかなので、我々はここで減速。

一時停止した我々の目の前を車が通りすぎていった。
減速、一時停止しなければ確実に衝突していたタイミングだ。

では、実験の様子を動画で見てみよう。

コリジョンコース実験

近づくクルマが止まって見える?危ないコリジョンコース現象

いかがだっただろうか。
見通しがよく対象物が少ない道路では、コリジョンコースにある車は止まって見えることがよくわかっていただけたかと思う。

これを回避する対策としては、頭を動かして意識的に目線を左右に向けてみるといい。視界が変わることで、動いていることを正しく認識できるようになる。また、車がフロントピラーに隠れてしまうこともあるので、交差点手前では頭を動かして視界を変え、ピラーの死角を確認することが効果的だ。

ちなみに、似たような交差点は周辺にいくつもあるが、優先道路の標識があるのはこの交差点に限られている。不思議に思い改めて地図を眺めてみると、この優先道路と直交する道路の端は高速道路の出口のすぐ近くにあり、抜け道として利用されているようだ。

一時停止を遵守するのは当然だが、見通しのいい道路を走る時はたとえ自分が優先道路を走っているとしても、コリジョンコース現象には十分に注意したい。

※記事内のデータは2019年3月現在のものです。交通ルールを守り楽しいドライブを!

[ガズー編集部]

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