【PHEVオーナーに聞いた】その4「不満点、改善点は?」

プラグインハイブリッド車(PHEV)オーナーに、PHEVがある生活のメリットや満足度など、その実態を聞いていくレポートの第4回目(全4回)。充電事情やEVモードの使い方から、様々なメリット・デメリットが挙げられたが、今回はそこから見えて来た「PHEVの不満点、改善点」に焦点を当てる。

調査は、国内でトヨタ『プリウスPHV』(現行型)と三菱『アウトランダーPHEV』を所有するオーナー209名(プリウスPHV:94サンプル、アウトランダーPHEV:115サンプル)で、インターネットによるアンケートを実施した。

満足度が高い要素としては「ガソリン代の安さ」や「燃費の良さ」、「静かでスムーズな走り」などが評価されたが、その逆の不満点はどうか。

総合満足度

やはりEV航続距離に不満

プリウスPHV、アウトランダーPHEVの両車ともオーナーの総合満足度は85%以上であったが、要望や改善してほしいことを聞いたところ、その多くは航続距離に関するものであることがわかった。EV走行をより積極的に利用したいという声が多く、それに対する期待値も高いことがわかる。

特にプリウスPHVはその傾向が強く、要望としてEV走行の航続距離増が最も望まれていた。それ以外では、「急速充電対応」、「充電時間」、「電池の寿命を長く値段も安くして欲しい」といった要望のほか、「トランクに大型スーツケースが2個しか乗せられないのが非常に不便」、「乗り心地をよくしてほしい」、「ラグジュアリーな印象を持てるデザインにして欲しい」といった、クルマのハード面へのコメントも見られた。

デザインも重要なポイント

アウトランダーPHEVも、もともとEV航続距離60kmを実現しているにも関わらず、さらなる延長を望む声が多いのは同様だが、それ以外では、「デザインが今イチ」、「折角最先端の技術を搭載しているのだからそれに応じたカッコイイ外観にして欲しい」といったエクステリアデザインへの要望が最も多く見られた。

「車格相応の内装にしてほしい」、「内装に古臭さを感じるので、もう少し近未来的なデザインを採用してほしい」といったインテリアデザイン面や、「ナビゲーションの操作性」、「カーナビをもっと最新式で使いやすい物に」、「ナビの性能アップ」などナビに関しては複数の要望が上がっていた。

それ以外では、「室内をもっと静かにして欲しい」「荷物をもっと積めるようにして欲しい」、「7人乗りが希望」、「後部座席が狭い」といった、静粛性や収納性、居住性など、クルマのハード面そのものへの希望、要望が散見されたのが特徴的だった。

EV航続距離の希望は「50km」

全体を通して、EV航続距離に関して、50kmは走ってほしいというのが希望として見えてくる。これは、最も多い使用用途での走行距離が5km~30kmほどなので、余裕を見て50kmという数字が挙げられたと想像される。が、自由回答の中には「EV航続距離で100kmは走ってほしい」というコメントに代表されるように、出来る限り長い距離をEVモードで走りたいというのがオーナーの本音のようだ。

その点でプリウスPHVの航続距離はあまりにも短く(おおよそ10~20km未満)、厳しい意見が出たのもうなずけるところ。一方で、アウトランダーPHEVの航続距離は40~50km未満が現状なので、ユーザーからすれば満足まではいかないが、大きな不満にまでは至らず、それにより、クルマそのものへの要望や不満が多く出たものと思われる。

プリウスPHVは新型が年内にも発売予定だが、EV航続距離は従来の26.4kmから60km以上(現時点での発表値)へと大幅に延長されることが明らかになっている。また急速充電にも対応したことで、充電時間の短縮につながった。デザイン面ではハイブリッド車のプリウスとの差別化も図られているなど、新型の改良点はオーナーが望んだものを反映した結果であることが今回の調査からも見て取ることができる。

ドイツメーカーを中心にラインアップが一気に拡大しつつあるPHEVだが、市場としてはまだまだ黎明期。現オーナーやオーナー予備軍の要望を満たすPHEVは登場するのか。あるいはそれよりも早く市場が形成されるのか。まずは日本にとって“本命”とも言える新型プリウスPHVの動向に注目したい。

《まとめ:内田俊一、レスポンス編集部》

[ガズ―編集部]

MORIZO on the Road