新型クラウンを世界展開する理由を考えてみた

  • 16代目新型クラウンのワールドプレミア
戦争が終わって10年後の1955年、純国産車としてトヨペットクラウンが誕生した。日本の自動車産業が発展していく礎を作った車といわれている。その後、クラウンはフルモデルチェンジを繰り返し、67年以上もトヨタの高級ブランド車として君臨してきた。

そして、今回発表されるクラウンは16代目となる。発表前、“セダンでなくなる” “SUV、4WDだ”、とか“従来とは全く異なるデザインになる”など、さまざまなうわさ記事が乱れとんだ。久しぶりにクラウンネタで賑わっていると感じたものだった。
2022年7月16日、「何かが大きく変わる」16代目クラウンがワールドプレミアした。

クラウンの歴史に新型クラウンのヒントがあった

ワールドプレミアは、安倍晋三元首相へ黙とうをささげることから始まった。豊田社長のプレゼンは、15代もの間に渡ってお客さまに愛されてきたクラウンの歴史について丁寧にふりかえった。
ここでは、販売台数だけの話を紹介する。1990年頃までクラウンはお客様ニーズに合致し、1990年には年間約20万台もの販売台数を達成した。その後レクサスの立ち上げ、バブル崩壊、欧州車との競争激化により苦難の時代にはいった。時代の変化と戦いながら車を進化させてきたものの、2021年の販売台数は年間2万台にまで減少している。
 
  • 16代目新型クラウンのワールドプレミア

    初代トヨペットクラウン、そしてクラウンの歴史についてプレゼンする豊田社長

4つのクラウンを紹介しよう

クロスオーバー(今秋発売)
セダンとSUVを融合させ、乗り降りしやすく視点も高く運転しやすいパッケージ。新たなハイブリッドシステム、セダンを超えるセダンとして進化させた車

  • 16代目新型クラウンのワールドプレミア

    今秋発売のクラウン クロスオーバー

スポーツ(発売予定日不明)
エモーショナルで想像的な雰囲気をもち乗りやすく運転しやすいパッケージとともに俊敏でスポーティな走りを楽しめるスポーツSUV

 
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    クラウン スポーツ(発売予定日不明)

クラウン セダン(次に発売される候補)
正統派セダンとして、あらたなフォーマル表現とともに、上質さと快適さを追求。ショウ ファーニーズにこたえられる車

  • 16代目新型クラウンのワールドプレミア

    クラウン セダン

エステート(発売予定日不明)
機動的なSUVとして大人の雰囲気で余裕のある走り、アクティブライフを楽しんでもらえる。後席はフラットシートデッキになり、ワゴンとSUVのクロスオーバーともいえる車

豊田社長は、従来のクラウンは、おやじの車なので、奥様、若い人が乗っているとお父さんの車を借りていると思ってしまう車であった。今度のクラウンは、奥様も若い人も欲しいと思える車になっていると思うと説明した。確かに、スポーツ、エステートは、どことなく欧州車風であるし、おしゃれな人も乗ってもいいな!と思えるデザインになっている。

世界市場への再チャレンジ

このように多様性を手に入れた16代目クラウンについて、豊田社長はプレゼンで「日本のクラウン、ここにあり」と言われた。クラウンでグローバルにチャレンジするのだ。
実は、クラウンは以前アメリカ進出して上手くいかなった苦い思いがある車である。しかしその後の、カローラ、ランクル、カムリなどグローバルで多くのお客様にファンになっていただけた。幼少期からすべてのクラウンを乗ってきた豊田社長にとって、クラウンは大事な車であり、いつかはクラウンをグローバルで認めてもらいたいという想いがあったのかもしれない。だからこそ、クラウンの威信をかけて、グローバルで認められるように開発してきたのだろう。

新型クラウンのグローバル販売台数目標は年間20万台。日本での販売目標は現状の約2倍の3.8万台。この数字は、クロスオーバーだけの数字だと思うので、4シリーズとなったらSUVも追加され目標販売台数は大幅に増えることになるだろう。
  • 16代目新型クラウンのワールドプレミア

    新型クラウンのプレゼンをするトヨタ自動車 代表取締役社長 豊田章男氏

日本ではクラウンブランドの認知、ブランド力は強力であるものの、マーケットが大きい海外ではクラウンは新参ものである。しかも昨今のグローバルの新型車を見るとBEVの車種が目立ってきている。トヨタ自動車は、フルラインナップと全てのパワートレーンを提供しお客様に車を選択して頂いている。世界のドライバーにクラウンの走り、デザイン、パッケージを共感いただき、日本のクラウンここにありとのごとく、目標販売台数を大きく上回ることを切に願っている。
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    16代目新型クラウン 4シリーズ

(GAZOO編集部 岡本)