初代クラウンハイブリッドで楽しむマニアックなカスタマイズ道

  • GAZOO愛車取材会の会場であるジーライオンミュージアムで取材したトヨタ・クラウンハイブリッド(GWS204型)

    トヨタ・クラウンハイブリッド(GWS204型)



九州から大阪へ単身赴任中という『クマクラ』さんの愛車は、2010年式のトヨタクラウンハイブリッド(GWS204型)である。今新車には「クラウンハイブリッド」という車名は無いが、この“200系”の愛称で知られる13代目クラウンの時に『クラウンハイブリッド』という車名が登場した。

200系クラウンの中でも、その型式名からマニアの間では“204系”とも呼ばれるクラウンハイブリッド。3.5リットルのV6エンジンとハイブリッドシステムが搭載され、システム最高出力345psとJC08モードでリッター14.0kmという省燃費性能を両立。グレードの立ち位置的には、ガソリン車の『ロイヤルサルーン』や『アスリート』より上級となる、フラッグシップモデルとして位置付けられていた。

クマクラさんが乗るクラウンハイブリッドは、2010年のマイナーチェンジの際に追加されたGパッケージというグレード。レーダークルーズコントロールや本革シートが装備された、当時の最上級グレードである。購入した理由もそこにあるそうで「200系は歴代のクラウンの中で一番好きな型で、その最上級グレードに一度乗りたかったんです」と語る。

実はこのクラウンの前にも15系、17系、18系、200系ロイヤルサルーンと言った具合に、他の歴代クラウンを数多く乗り継いできたクマクラさん。数々のクルマが存在する中で、どうしてそこまでクラウンにこだわり、ハマってしまうことになったのか、その経緯を聞いてみた。

「小さい頃から刑事ドラマが大好きで、クルマが好きになったきっかけも、テレビドラマの“西部警察”に登場していた日産・セドリックだったんです。子供心ながら、黒塗りのセダンに言いようのないカッコ良さを感じていました(笑)。“あぶない刑事”も好きなので、実はこのクルマとは別にF31型のレパードも所有しています。そちらは九州の自宅に置いたままなので、月イチで帰った時に乗るという感じですね」

この愛車広場の取材では、まさに西部警察や、あぶない刑事をキッカケにクルマ好きとなり、その少年期の想いを実車で再現されるカーオーナーさんと出会う機会が多い。そして、その方々は総じて『愛車を劇中車と同じ仕様に近づけたい!』という、意気込みまで共通しているケースも多々ある。

そういった目標地点がしっかりと決まっている、カスタマイズと言うかレプリカ車製作は、ゴールに向かって一直線で進めるというシンプルなもの。しかし、“本物のパーツ”が手に入ることは稀で、それに寄せていくアイディアも必要となり、非常に奥が深くなっている。

クマクラさんも御多分に洩れず、という感じなのだが、愛車の200系クラウンは現実に警察車両としてよく使われている車種。そこで本物を参考にしながら、ハイブリッド車をいかに覆面パトカーっぽく見えるように仕上げるかを研究しているというマニアック路線。半ばライフワークとしているそうで、そのこだわりを夢中で語っているときは、少年の時の瞳そのものであった。

「例えば、このフロントのエンブレムなんかは、ハイブリッドだと本来は青いアクセントカラーが入っているんですね。それをグリルごとロイヤルサルーンのものに交換することで、パッと見はハイブリッドと判りにくくしているんです(笑)」

同じくホイールも、ロイヤルサルーン用の純正アルミホイールへとコンバート。本来のハイブリッド用ホイールは、太いスポークと細いスポークを組み合わされた特徴的なデザインとなっているため、知っている人にとってはすぐに見分けがついてしまうポイントになっているそうだ。

極め付けはフロントのフォグランプ。灯体の内部が黒くなっているのだが、これは実際に警察車両に装着されるものだそうで、オークションサイトで見つけて購入したという。ヘッドライトにはハイブリッドであることを示すブルーのアクセントが入っているが、割と控えめな色味なので、近づいて見ないことには判別しづらいのだとか。

また、リヤセクションも本来は右側のテールランプの上下に『HYBRID』と『HYBRID SYNERGY DRIVE』のエンブレムが装着されるのだが、どちらも取り外してある。真ん中のトヨタマークは、まだハイブリット仕様車のままで、内側にうっすらとブルーが入っているところがその証となる。

「40代の前半くらいまでは、ホイールもアフターメーカーの商品を選んだりしていたんですが、年齢を重ねるとともに意識が変わってきました。やっぱりセダンはキレイに乗りたいし、最後の最後は純正が一番カッコ良いというところに戻るんだな、という気がしています。その中で、ちょっとした違いを出すイジり方が今は一番楽しいですね(笑)」

そのこだわりは内装にも活かされ、ハイブリッドの黒内装をベースに、木目調の加飾のみ前期型のロイヤルサルーンに採用されていた茶木目のパネルに交換している。交換作業はDIYで行なったそうで「覆面パトカーも内装は黒ですから、それをベースに自分だけの個性も表現できて満足しています」とのことだ。

TFT液晶を採用したファイングラフィックメーターもクマクラさんのお気に入り。走行モードを切り替えるとメーター内のカラーリングが変わるなど、先進的な演出がクラウンらしさを実感させてくれるという。

「大阪に赴任してまだ1年なので、あまりやることがなくて週末はもっぱら洗車をしています。通勤でも使っていないので、おかげでピカピカになりました。とは言え、同年代のセダン乗りの方とも繋がりができたので、時々はミーティングやツーリングにも参加しています。そんな流れで友達は増えたんですけど、さすがにクラウンハイブリッドを自分のようにイジっている方には、まだ出会ったことがないですね(笑)」

そう語るクマクラさんには3人のお子さんがいらっしゃるそうで、長男はすでに免許を取り、50系のプリウスに乗っているのだそう。

「最近、モデリスタのエアロを着けてみたいと言うようになって、ようやく親子でクルマの話ができるようになりましね」と顔を綻ばせる。

何かと苦労も多いであろう単身赴任の生活だが、大好きなクルマを通じたコミュニケーションも楽しんでいる様子のクマクラさん。

「このクラウンに死ぬまで乗りたいです」との宣言通り、ぜひ末長く幸せで“マニアック”なクラウンライフを送って頂きたい。

(文: 小林秀雄 / 撮影: 清水良太郎)

※許可を得て取材を行っています
取材場所:ジーライオンミュージアム&赤レンガ倉庫横広場 (大阪府大阪市港区海岸通2-6)

[GAZOO編集部]

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