【連載全11話】第1話 プリンス・スカイラインスポーツ/トライアンフ・ヴィテス・・・やっぱり似てる? デザイナーが同じクルマ特集

  • プリンス・スカイラインスポーツ

「よく似たヒトは世界に3人いる」などといいますが、クルマにも驚きの“そっくりさん”が存在します。デザイナーが同じと聞けば、それも納得。そんな名車を週替わりで紹介します。

プリンス・スカイラインスポーツ/トライアンフ・ヴィテス

1960年のトリノショーでベールを脱いだプリンス・スカイラインスポーツ。1.9リッター直4エンジンを積んだ初代スカイライン/グロリアのシャシーに、当時勢いのあったカロッツェリアであるミケロッティが手がけた4座クーペまたはコンバーチブルボディーを架装。イタリアンデザインを導入した日本車の第1号にして、初めて海外でデビューした日本車でもあった。

スタイリングの大きな特徴は、斜めに配置されたデュアルヘッドライト。1950年代にアメリカのリンカーンやクライスラーなどが採用し、1960年代にかけてロールス・ロイス/ベントレーやフェラーリまでもが倣っていた、当時“チャイニーズ・アイ”などと呼ばれた意匠をミケロッティも採用したのだ。

スカイラインスポーツは、イタリアから招聘(しょうへい)した板金職人の指導の下にハンドメイドされたボディーに本革張りのシートを備えた日本初の高級パーソナルカーとして1962年に市販開始された。だが、もとより大量生産は考えられておらず、ベースとなったスカイライン1900スタンダードの2倍以上となるクーペが185万円、コンバーチブルは195万円という価格もあって、生産台数は60台にとどまった。

  • トライアンフ・ヴィテス

同じく1962年に登場したのがトライアンフ・ヴィテス。ラダーフレームにミケロッティデザインのボディーを載せた大衆車だったヘラルドのマスクをスカイラインスポーツ風に整形。パワーユニットを1.2リッター直4から1.6リッターという小排気量の直列6気筒に換装したスポーツサルーンで、ボディーは2ドアサルーンとコンバーチブルが用意されていた。こちらは1966年にエンジンを2リッターに増強するなどして1971年までに5万台以上が生産されている。

クルマに詳しくない人には見分けがつきにくいであろう、よく似た姿のスカイラインスポーツとトライアンフ・ヴィテス。だが、成り立ちとしてはかように異なる2台なのである。

[GAZOO編集部]

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