【連載全11話】第9話 日産マーチ/フィアット・ウーノ・・・やっぱり似てる? デザイナーが同じクルマ特集

「よく似たヒトは世界に3人いる」などといいますが、クルマにも驚きの“そっくりさん”が存在します。デザイナーが同じと聞けば、それも納得。そんな名車を週替わりで紹介します。

日産マーチ/フィアット・ウーノ

日産初のFF車だった初代チェリー以来、およそ10年ぶりとなるリッターカーとして1982年に発売されたのが初代マーチである。1978年にジウジアーロ率いるイタルデザインから持ち込まれた提案を、当初は市販化前提ではなく欧州のコンパクトカーの基準を学ぶために検討していたところ、上層部からGOサインが出て計画が具体化。イタルデザイン案を日産側が手直しし、約4年の開発期間を経て市販化されたのだった。

当初のボディーは3ドアハッチバックのみ。日産で初めてアルミブロックを使った軽量な1リッター直4 SOHCエンジンをはじめ欧州調の合理的な設計の小型車として人気を博した。1983年に5ドアハッチバックを加え、1985年のマイナーチェンジの際にターボ仕様を追加。1989年には日本車史上唯一となるスーパーチャージャーとターボの2段過給システムを備えたスーパーターボを加えるなどして、1992年までの10年間におよそ208万台がつくられた後に世代交代。またBe-1、パオ、フィガロというパイクカー三部作のベースにもなった。

1983年に127の後継として登場した、フィアットの最量販車種となるコンパクトな3ドア/5ドアハッチバックがウーノ。実質的なデビュー時期が3カ月しか違わない前出の初代マーチと同じくイタルデザインの作品で、サイズ、スタイリングともに近い。だが両車を比較するとウーノのほうがやや背が高く、テールゲートも起きており、よりボクシーでスペース効率を追求した印象だ。実際にキャビンおよび荷室の容量はクラス随一をうたっていた。また5ドアのサイドウィンドウは、一般的な4ライトのマーチに対してウーノは6ライトとなっている。

ウーノのパワーユニットは0.9リッター直4 OHV、1.1リッター/1.3リッター直4 SOHCの3種類で、後に1.3リッターのディーゼルユニットも追加。1985年にはエアロパーツで武装したボディーに最高出力105PSにまでスープアップされた1.3リッターターボユニットを積んだホットハッチのターボi.e.を追加設定。標準ボディーでCd(空気抵抗係数)=0.34という、姿に似合わぬ空力のよさも相まって最高速度200km/hを豪語した。1989年のマイナーチェンジでCd=0.30とさらに空力性能が向上、1995年までに約630万台がつくられる成功作となった。

[GAZOO編集部]

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