【連載全11話】第11話 サーブ9000CD/ランチア・テーマ/フィアット・クロマ/ヒョンデ・プレスト/いすゞ・ジェミニ・・・やっぱり似てる? デザイナーが同じクルマ特集

「よく似たヒトは世界に3人いる」などといいますが、クルマにも驚きの“そっくりさん”が存在します。デザイナーが同じと聞けば、それも納得。そんな名車を週替わりで紹介します。

サーブ9000CD/ランチア・テーマ/フィアット・クロマ/ヒョンデ・プレスト/いすゞ・ジェミニ

前回登場したアルファ・ロメオ164の項でも言及した“ティーポ4プロジェクト”。フィアットランチア、アルファ・ロメオ、サーブの4社によるアッパーミドル級FFプラットフォームの共同開発である。そこから生まれた、いわばメーカー/ブランドの枠を超えた兄弟車がフィアット・クロマ、ランチア・テーマ、アルファ・ロメオ164、そしてサーブ9000。いずれも各ブランドのフラッグシップで、このうち164はピニンファリーナが、ほかの3台はジウジアーロ率いるイタルデザインがスタイリングを手がけており、テイストが似通っていた。

登場順で紹介すると、第1号は1984年春にデビューしたサーブ9000。当初は全長4.6m超ながらテールゲートを備えた5ドアハッチバックのみだったが、4枚のドアは後述するランチア・テーマと共通。1988年にはテールゲートを廃して独立したトランクルームを設け、全長を4.8m弱まで延ばした4ドアサルーンの9000CD(写真)を追加設定。パワーユニットは2リッター直4 DOHCターボやその自然吸気版、それらの排気量を拡大した2.3リッターユニットなどを搭載し、1998年までつくられた。

同じく1984年の秋に登場したランチア・テーマ。デビュー時は全長4.6m弱の端正な4ドアサルーンのみだったが、1986年にワゴンを追加設定。パワーユニットは2リッター直4 DOHC、同ターボ、2.9リッターV6 SOHCなどだったが、1986年にフェラーリ308用をベースにデチューンした3リッターV8 DOHC 32バルブを積み、最高速度240km/hを主張するスーパーサルーンの8.32を追加。イタリアならではのセンスと上質な雰囲気を備えた高級サルーンとして人気を得た。

しんがりが1985年に登場したフィアット・クロマ。ボディーは前出のテーマとほぼ同じサイズで、一見したところ3ボックスの4ドアサルーンだが、実はテールゲートを備えた5ドアハッチバック。フィアットらしく実用性を重視しており、プレミアムブランドのランチアとの差別化を図っていた。パワーユニットは1.6リッター直4 SOHC、2リッター直4 DOHCと同ターボなど。小型車中心のフィアットブランドとあって、同門の兄弟車であるテーマや164に比べ存在感が薄く、パッとしないまま1996年に生産終了となった。

これらの兄弟車とは遠く離れたアジアにも、同じくイタルデザインによる、サイズこそ小さいが似たような姿のモデルが同時代に存在していた。1985年に韓国のヒョンデから登場した4ドアサルーンのプレストである。3ドア/5ドアハッチバック版であるエクセルともども、中身は初代三菱ミラージュがベースで、1.3リッター/1.5リッター直4 SOHCエンジンを搭載していた。

同じく1985年に登場した2代目いすゞ・ジェミニは、初代よりひとクラス下にダウンサイズし、FRからFFに転換。ボディーは3ドアハッチバックおよび4ドアサルーン(写真)で、ちょうど前出のヒョンデ・プレスト/エクセルとほぼ同じサイズ。パワーユニットは1.5リッター直4 SOHC、1.5リッター直4ディーゼルおよび同ターボで、後れて1.5リッターSOHCターボや1.6リッター直4 SOHCが加えられた。

[GAZOO編集部]

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