【連載全10話】第4話 フィアット・アバルトOT2000クーペ アメリカ・・・小さなボディーに大きなエンジンを積んだクルマ
エネルギー効率を追求しダウンサイジングが進む自動車業界ですが、過去を振り返れば、小さな車体に不釣り合いなほどの大排気量・高出力エンジンを搭載したクルマもありました。注目すべき名車をピックアップし、週替わりで紹介します。
フィアット・アバルトOT2000クーペ アメリカ
1949年にカルロ・アバルトによって設立されたアバルト。1971年にフィアットの子会社となり、現在はステランティス傘下のブランドとなっているが、独立したメイクとしての最盛期は1960年代で、レースの小排気量クラスで大成功をおさめ、フィアットやシムカをベースとする数多くのモデルをリリースした。
フィアットベースのモデルは、大別してアバルト独自のボディーを持つものと、現在のアバルト500eのようにフィアットのボディーを流用、アレンジしたものが存在した。1960年代における後者の最強モデルが、1966年に登場したOT2000クーペ アメリカである。フィアット850クーペから流用したボディーは、マグネシウムホイールに装着した前後で異なるサイズの太いタイヤを収めるべくフェンダーを張り出し、ラジエーターをフロントに移設して、ボンネットには熱気抜きのスリットを開けていた。
迫力を格段に増したボディーの後端に積まれるパワーユニットは、オリジナルの843cc直4 OHVに対して、1気筒あたりツインプラグのダブルイグニッションを備えた2リッター直4 DOHC。排気量は約2.4倍、最高出力は850クーペの47PSに対して185PSだから実に4倍近い。車重は850クーペの730kgに対して710kgと逆に軽量化されており、馬力あたり重量はわずか約3.8kg。これは当時としては驚異的な値で、5段MTを介しての最高速度は850クーペの135km/hより110km/h以上も速い248km/hを豪語したのだった。
[GAZOO編集部]
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