【連載全16話】第4話 スバル1000・・・日本生まれのFF車特集


現在、エンジンを搭載するクルマではFF(フロントエンジン・フロントドライブ)という駆動方式が主流です。では、これまでどんなモデルがあったでしょうか? 自動車史に名を残すFFの日本車を週替わりで紹介します。

スバル1000

1966年5月に発売された富士重工業(当時)初の小型車がスバル1000である。スバルの伝統として今日まで受け継がれている、前車軸にオーバーハングした水平対向エンジンによるFFというレイアウトを基本に、トーションバーによる4輪独立懸架、フロントのインボードブレーキなど先進的なメカニズムを導入。いかにもスバルらしいエンジニアリング優先の、世界レベルでみても高水準で合理的な設計の小型車だった。

スペース効率とトラクション性能の向上を狙って、スペアタイヤとジャッキをエンジンルームにおさめるなどパッケージングに知恵を絞った結果、1.5リッター級に匹敵する居住性を実現した4ドアセダンボディー。前述した水平対向の4気筒OHVエンジンは、977ccという排気量から55PS、7.8kgf・m(いずれもグロス値)のパワーとトルクを発生、4段MTを介して前輪を駆動し、徹底した軽量化により車重700kg未満というボディーを最高速度130km/hまで引っ張った。

翌1967年には2ドアセダン、そのボディーを使ったスポーツセダンを追加。1969年にはエンジンを1.1リッターに増強したff-1(FFの先駆であり、実力ナンバーワンという意味)に発展、さらに1970年には1.3リッターエンジン搭載のff-1 1300Gを加えた。またシリーズには商用登録のバン(5ドア/3ドア)も存在したが、「巡回用に軽量で燃費の優れた乗用タイプの四輪駆動車が欲しい」という東北電力の要望に応えて、ディーラーの宮城スバルが1000バンをベースに製作した四輪駆動車から、やがてスバルのコア技術となる“シンメトリカルAWD”が生まれたのだった。

[GAZOO編集部]

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