【連載全16話】第8話 日産チェリー・・・日本生まれのFF車特集


現在、エンジンを搭載するクルマではFF(フロントエンジン・フロントドライブ)という駆動方式が主流です。では、これまでどんなモデルがあったでしょうか? 自動車史に名を残すFFの日本車を週替わりで紹介します。

日産チェリー

1970年10月、3カ月におよぶ大がかりなティーザーキャンペーン(情報を小出しにして消費者の関心をあおること)の後に“超えてるクルマ”というキャッチフレーズを掲げて登場した、日産のラインナップの底辺を支える小型車。日産初のFF車であると同時に、1959年に誕生した初代ミニ(コードナンバーADO15)によって世に示され、その後の小型実用車の設計に大きな影響を与えた“水冷エンジン横置き方式のFF”を初めて採用した日本車でもあった(横置きに関しては、特殊な空冷エンジンを用いたホンダ1300という前例はあったが)。

パッケージングを追求した、欧州調の2ボックスに近いセミファストバックの2ドア/4ドアセダンボディーに積まれるパワーユニットは、兄貴分である新旧サニーから流用した1リッター/1.2リッター直4 OHV。その下に4段MTなどドライブトレインを配置した、初代ミニに始まるいわゆるイシゴニス式のFFを採用。ツインキャブ仕様の1.2リッターエンジンを積んだ高性能グレードのX-1は、軽量コンパクトな車体とFFの特性を生かした走りで“和製ミニクーパー”の異名をとった。

1971年にはテールゲートを備えたスポーツワゴン風のクーペを追加。日産ワークスによってレースにも積極的に参戦し、後に“日本一速い男”と呼ばれることになる若き日の星野一義らが駆り、特に雨天のレースでは無類の強さを発揮した。1974年にフルモデルチェンジを実施してチェリーF-IIと称する2代目が登場。基本レイアウトは初代から受け継いだものの、ひとまわり大きくなったボディーに初代のような個性は感じられなかった。

[GAZOO編集部]

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