【連載全16話】第4話 フォード・トリノ…地名が車名になっているクルマ
いったいどんな理由で付けられたのか? 今回は、国内外の地名がそのままモデル名やグレード名になっているクルマ、16車種をピックアップ。週替わりで紹介します。
フォード・トリノ
かつて存在した、フォードのインターミディエート(コンパクトとフルサイズの中間サイズ)のモデル。トリノの名はフィアットの本拠地であるイタリアのモータウンに由来するが、だからといってイタリアンデザインが導入されているわけではない。その名が最初に冠されたのは1968年で、シボレー・シェヴェルなどと市場を争っていた、フォード・フェアレーンの上級車種として登場した。
1970年にフルモデルチェンジされた2代目トリノは、フェアレーンに代わってインターミディエートの主力車種となる。中間サイズといっても全長5.2m超、全幅1.9m超のボディーは4ドアセダン、2ドア/4ドアハードトップ、2ドアファストバッククーペ、2ドアコンバーチブル、5ドアワゴンがそろい、エンジンは4.1リッター直6、4.9リッターV8、5.8リッターV8などのエンジンをラインナップ。トリノGT(写真)や最高出力360PS(SAEグロス)を発生する7リッターV8を積んだトリノ コブラといったハイパフォーマンス仕様も用意された。
1972年には早くも世代交代を迎えるが、この3代目では、ボディー形式がモノコックからペリメーター式のセパレートフレーム付きになるという大手術が施された。2008年に公開されたクリント・イーストウッド監督・主演の映画『グラン・トリノ』で、その名が米国外にも知られるようになったグラン・トリノが、新たに上級グレードとして加わった。だが排ガス対策によるパワーダウンや石油危機以降に登場したダウンサイズされたニューモデルの台頭などによりセールスは徐々に下降し、1976年を最後にその名は消えた。
[ガズー編集部]