【連載全16話】第5話 デ・トマソ・ドーヴィル…地名が車名になっているクルマ
いったいどんな理由で付けられたのか? 今回は、国内外の地名がそのままモデル名やグレード名になっているクルマ、16車種をピックアップ。週替わりで紹介します。
デ・トマソ・ドーヴィル
イタリアでレーシングドライバーとして活動した後、レーシングカーコンストラクターに転身したアルゼンチン出身のアレッサンドロ・デ・トマソ率いるデ・トマソ。1964年に発表したミドシップスポーツのヴァレルンガによってロードカーの世界に進出し、1966年にリリースしたマングスタからは、大排気量のフォードV8を積んだエキゾチックカーをつくり始めた。
そのデ・トマソが初めて手がけた4ドアサルーンが、1970年にデビューしたドーヴィルである。ドーヴィルはフランス北西部、ノルマンディー地方の海辺の高級リゾート地。映画『男と女』の舞台として世界的に知られるようになったが、そのしゃれたイメージにあやかって命名されたのだろう。
全長4.8m超、全幅1.9m近い大柄な4ドアサルーンのスタイリングを手がけたのは、当時デ・トマソ傘下だったカロッツェリア・ギアのチーフデザイナーだったトム・チャーダ。シャシー設計はデ・トマソに在籍していたジャンパオロ・ダラーラという、いずれも著名なスタッフの手になるが、そのスタイリングやサスペンションレイアウトはジャガーXJ6との近似性が指摘された。パワーユニットはフォード製5.8リッターV8で、3段ATを介しての公称最高速度は230km/h。1989年まで20年近くにわたってほそぼそとつくり続けられ、総生産台数はおよそ350台だった。
[ガズー編集部]
【連載全16話】地名が車名になっているクルマ特集
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