【連載全16話】第8話 キャデラック・セビル…地名が車名になっているクルマ
いったいどんな理由で付けられたのか? 今回は、国内外の地名がそのままモデル名やグレード名になっているクルマ、16車種をピックアップ。週替わりで紹介します。
キャデラック・セビル
1975年から2004年まで5世代にわたって存在したキャデラックの最高級セダン。セビル(seville)とは、スペイン南部アンダルシア州のセビリアのことである。戯曲/オペラ『セビリアの理髪師』の舞台として知られる歴史ある観光都市だが、命名の理由はアメリカ車に多く見られる、欧州の伝統文化への憧れであろう。キャデラックには長らくカレー(calais)というモデルもあったが、これはドーバー海峡のフランス側の地名にちなんでいた。
初代の誕生の背景は、オイルショックに端を発するアメリカ車のダウンサイジングと、メルセデス・ベンツをはじめとする欧州製高級車の台頭。そのためボディーは小型化され、車体寸法は全長5180mm×全幅1820mm×全高1390mmと、当時のフルサイズのキャデラックに比べ500mm以上短く、200mm以上狭く、メルセデス・ベンツSELとほぼ同じだった。フルサイズより2.5リッターも縮小された5.7リッターのV8エンジンには、アメリカ車として初めて電子制御インジェクションが採用された。
そうした大幅なダウンサイジングにもかかわらず、乗り心地や静粛性といった高級車に求められる要素は高いレベルにあり、価格もキャデラックのラインナップでは全長6.4m以上に達するフリートウッド75リムジンに次ぐものだった。高級車=大型車というアメリカ車の概念を打ち破った初代セビルは、高価格ではあったもののセールスは好調だった。しかし若年層や輸入車購買層へのアピールは期待したほどではなく、パラダイムシフトを起こすまでには至らなかった。
[ガズー編集部]
【連載全16話】地名が車名になっているクルマ特集
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