【連載全13話】第6話 トヨタ2000GT・・・日本生まれの直6エンジン搭載車


昔に比べて少なくなった6気筒エンジン搭載車。そのなかから“ストレートシックス”と呼ばれる直列6気筒エンジンを積んだモデルを週替わりで紹介します。

トヨタ2000GT

1960年代当時、トヨタがその持てる力を結集し、ヤマハ発動機の協力も得てつくり上げた日本初の本格的なグランツーリスモ。1965年秋の東京モーターショーでプロトタイプがデビュー、翌1966年からレースでの実戦テストを含め熟成され、1967年5月に市販された。

X型バックボーンフレームに4輪ダブルウイッシュボーンのサスペンションを持つシャシー、4輪ディスクブレーキ、マグネシウムホイールにラジアルタイヤ、リトラクタブルライトなどなど、多くの日本初採用となる高度なメカニズムや高級な装備を備えた2000GT。全高わずか1160mmというテールゲート付き2座クーペボディーの長いノーズにおさまるパワーユニットは、この連載の第4話で紹介したクラウン用の2リッター直6 SOHCのM型をベースにした、これまた日本初となる直6 DOHCの3M型だった。

その後のトヨタ製DOHCエンジンにも使われることになる“黒い結晶塗装が施されたカムカバー”を持つ、3M型。鋳鉄製ブロックやクランクシャフトなどはM型と共通だが、チェーン駆動される2本のカムシャフトと計12個の吸排気バルブをおさめたアルミ製のシリンダーヘッドまわりはもちろん専用設計。φ40のミクニ製ソレックス・ツインチョークキャブレターを3基備えて最高出力150PS/6600rpm、最大トルク18.0kgf・m/5000rpm(グロス値)を発生。5段MTを介しての最高速度220km/h、0-400m加速15.9秒、0-100km/h加速8.6秒という公称パフォーマンスは、2リッター級市販スポーツカーの最高峰だったポルシェ911Sにほぼ匹敵した。

238万円という価格はクラウンの高級グレードの2倍以上だったが、開発および製造コストを考えれば、それでもバーゲンプライスだったといえる。1969年8月にはドライビングライトを小径化してマスクを改めるなどマイナーチェンジを実施。同時に3段AT仕様が追加された。翌1970年8月までの生産台数は左ハンドルの輸出仕様を含め337台にとどまる。

[GAZOO編集部]

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