【連載全9話】第5話 日産マーチ スーパーターボ・・・スーパーチャージャー付きの日本車特集


“過給エンジン”といえば、今の主流はターボエンジン。そして、クルマの内燃機関からさらなるパワーを引き出すアイテムとしてもうひとつ挙げられるのが、スーパーチャージャーです。今回は、その搭載車として知られる日本車を紹介します。

日産マーチ スーパーターボ

日産としては初代チェリー以来約10年ぶりのリッターカーとして1982年にデビューした初代マーチ。ジウジアーロが原案を手がけた3ドアハッチバックボディー(後に5ドアも追加)に新開発された1リッター直4 SOHCエンジンを積む、ベーシックなコンパクトカーだった。

1988年、そのマーチをベースした競技専用車のマーチRが登場した。低中回転域で作動するスーパーチャージャーと高回転域で力を発揮するターボチャージャーというツインチャージャー、すなわち2段式過給を備えたラリー向けの特殊なモデルである。市販されたツインチャージャー搭載車の前例は、グループBで競われていたラリー用ホモロゲーションモデルであるミドシップ4WDのランチア・デルタS4のみで、もちろん日本車ではマーチRが初だった。

直4 SOHCエンジンは、国際競技規定の過給係数1.7を掛けて1.6リッター以下のクラスにおさまるよう排気量を987ccから930ccに縮小。それにツインチャージャーを備えて最高出力110PS/6400rpm、最大トルク13.3kgf・m/4800rpmを発生。標準モデルの最高出力は52PSだったから、2倍以上にまでスープアップされていた。

このマーチRはあくまで競技用のベースカーだったのだが、翌1986年に同じパワーユニットを持つホットモデルがマーチ スーパーターボの名で通常のカタログ仕様として追加された。車重は770kgしかなかったため、その走りはまさにジャジャ馬。ハイパフォーマンスと引き換えに、ドライバーはLSDを備えていても抑え切れないホイールスピンや、強烈なトルクステアやタックインといったクセの強いハンドリングと戦わねばならなかった。だが、こうした危険ともいわれかねない辛口モデルが市販化されたことは、「なんでもあり」だった1980年代という時代背景を含めて記憶されるべきであろう。

[GAZOO編集部]

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