【連載全13話】第4話 フェラーリ365GT4/BB・・・12気筒エンジン搭載の名車特集

電動化の波が押し寄せるなか、その存在が危ぶまれる大排気量の多気筒モデル。今月は、その象徴ともいえる世界の12気筒エンジン搭載車をピックアップ。週替わりで紹介します。

フェラーリ365GT4/BB

通称デイトナこと365GTB/4に代わるフラッグシップとして1971年のトリノショーで初披露。1973年から市販化された、フェラーリとしては初めてV12エンジンをミドシップしたスーパースポーツが365GT4/BBである。レーシングカーでは1961年から、ロードカーでもV6エンジン搭載車では1967年に市販化されたディーノ206GTからミドシップを採用していたフェラーリ。だが、V12エンジン搭載のロードカーのミドシップ化には慎重で、この連載でも紹介したランボルギーニ・ミウラに7年近く遅れてのデビューとなったのだった。

伝統にしたがい、スタイリングはピニンファリーナが担当。チーフデザイナーだったレオナルド・フィオラヴァンティによるシャープかつ端正なボディーにミドマウントされるパワーユニットは、F1マシン用として成功をおさめていたレイアウトである180度V型12気筒DOHC。車名のBBとはベルリネッタ・ボクサーの頭文字で、たしかにシリンダーは6気筒ずつ向かい合って水平に並んではいるものの、ピストンがボクサーのように打ち合う水平対向ではなく、バンク角が180度のV12エンジンとなる。総排気量は365cc×12で4.4リッターとなり、最高出力380PS、最大トルク44.0kgf・mを発生。5段MTを介しての公称最高速度は302km/hだった。

当初は25台の限定生産の予定だったが、すぐに50台への増産が決定。しかし量産開始までに200台以上のオーダーがあったため、なし崩し的に増産され、結局1976年までに387台がつくられたとされる。同年にエンジンを4.9リッターに拡大した改良版の512BBにバトンタッチするが、これからは車名の数字が1気筒あたりの排気量ではなく、弟分の308GT(3リッターの8気筒)などと同じく、総排気量と気筒数を表すようになった。すなわち5リッターの12気筒という意味である。

[GAZOO編集部]

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