【懐かし自動車ダイアリー】1978年(昭和53年)~クルマで振り返るちょっと懐かしい日本

CVCCエンジンを搭載したホンダ・シビック
CVCCエンジンを搭載したホンダ・シビック

1978年(昭和53年)| 自動車 ~ 厳しい排ガス規制に対応して技術が進化

「日本版マスキー法」と呼ばれた「昭和53年排出ガス規制」がスタート。CO(一酸化炭素)が2.1g/km、HC(炭化水素)が0.25g/km、NOx(窒素酸化物)が0.25g/km以下というのは世界で最も厳しい数値だった。各メーカーは基準をクリアするために苦心してさまざまな方法を編み出す。精密なコントロールが可能な電子制御式燃料噴射装置を採用し、燃焼室の形状や点火装置の改良で燃え残りを減らそうとした。

ホンダとスバルはそれぞれCVCCとSEEC-Tという独自の低公害システムで対処したが、後処理によって排ガスの浄化を試みる手法も多くのメーカーで採用された。中心となったのは、三元触媒である。CO、HC、NOxの3種を同時に還元処理できる機構で、燃料噴射の高精度な制御と組み合わせることで威力を発揮した。

クルマの小型化の波は続いており、トヨタ初のFF車としてコンパクトカーのターセル/コルサがデビューする。一方でスペシャルティーカーの人気も拡大し、マツダが2ローターの強力なエンジンを搭載するスポーティーなクーペ、サバンナRX-7を発売。排ガスを再燃焼させるサーマルリアクターを採用し、燃費を約40%向上させていた。ホンダ初のスペシャルティーカーであるプレリュードも登場している。

日本の自動車産業育成のために設けられていた自動車輸入関税は、この年から0%に。1972年に返還された沖縄はアメリカ施政下での自動車右側通行を続けていたが、本土と同様の左側通行に切り替えられた。

  • トヨタ・ターセル
    トヨタ・ターセル
  • マツダ・サバンナRX-7
    マツダ・サバンナRX-7
  • ホンダ・プレリュード
    ホンダ・プレリュード

1978年(昭和53年)| 世相と文化 ~ 円高還元でガソリンも食品も値下げ

5月20日に成田空港が開港。1960年代初めに構想されながら一方的な建設地決定が農民からの猛反発を招き、新左翼が加わった三里塚闘争が展開されていた。ようやく開港にこぎ着けたものの反対活動は終わっておらず、厳重な警備が続けられることになる。

円高はさらに進行し、10月には1ドル175円50銭の最高値を記録。円高還元が合言葉になり、輸入品値下げの動きが広がる。ガソリンや灯油の価格も下がり、電気代やガス代も値下げされた。食品も安くなったことから外食産業が売り上げを伸ばす。ファミリーレストランに家族で食事に行く習慣が定着していった。

4月4日に後楽園球場でキャンディーズが解散コンサート。「普通の女の子に戻りたい!」という言葉が話題となったが、メンバーのうち2人はしばらくして芸能界に復帰した。11月にはプロ野球ドラフト会議で江川 卓の「空白の一日」をめぐって騒動に。変則トレードで解決が図られたが、野球協約の死角を突いた強引な手法は批判を呼んだ。

原宿の竹下通りにブティック竹の子がオープン。この店で買った派手な衣装を身にまとった若者がチームを組んで代々木公園前の歩行者天国で踊るようになると、大勢の観客も訪れる。1980年代前半にかけて、竹の子族が一大勢力となった。

プレイバック1978年(昭和53年)

★アカデミー賞
『ディア・ハンター』
★日本アカデミー賞
『事件』
★NHK朝ドラ/大河ドラマ
『おていちゃん』『わたしは海』/『黄金の日日』
★日本レコード大賞
『UFO』ピンク・レディー
★日本ダービー馬
サクラショウリ

[ガズー編集部]

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