老舗キャンプ用品店に聞く、快適車中泊のファーストステップ。高機能ギアは車内でも有効!

  • 小川テント

    車中泊でもキャンプギアを活用すると、さらに楽しめます

クルマのカーゴスペースなどを利用して寝泊まりする車中泊は、テントで寝る一般的なキャンプとも、専用の車両を使うキャンピングカーとも異なります。アウトドア人気の高まりでキャンプには興味があるけど、テント一式を買い揃えるのに抵抗がある、完全な屋外で寝泊まりするのは不安があるという人にとって、少し大きめのクルマがあれば挑戦できる車中泊は、ちょっとハードルが低いはず。

もちろん、単にシートで仮眠するだけなら、何の用意も必要ありません。しかし、横になって快適に眠りたいとか、暑さ寒さ・明るさ暗さに対応したいとか、休憩時間を充実させたいとか、プライバシーを守りたいといった居住空間の質を考えると、いろいろと準備が要ります。こういった用途には、キャンプ用品がもっとも近く流用されることが多いんです。そもそもオートキャンプという遊び方もありますし、キャンプギアはコンパクトで運びやすいので、クルマとの相性はいいですよね。

今回は、小川テントの名で知られる1914年創業の老舗アウトドアブランド「ogawa」を展開する「キャンパルジャパン」の店舗で、車中泊でも便利なキャンプギアを紹介してもらいます。

訪れたのは「ogawa GRAND lodge 新木場」です。同社が展開する「GRAND lodge」は、スタッフがアウトドアライフを提案しつつ最適なギアをお勧めしてくれたり、場合によっては使い方をレクチャーしたり、実際にその場で試したりできる実践的かつ提案型のお店です。新木場駅から少し離れているので、クルマで向かうことをお勧めします。店頭には駐車場もあります。新木場以外にも全国に展開しているので、アクセスしやすいお店を選んでください。

  • ogawa GRAND lodge新木場

    訪れたのは「ogawa GRAND lodge 新木場」

店内にはさまざまな種類のテントが実際に張られている

  • 小川テント
  • 小川テント

レクチャーしていただいたのは、新木場店のストアマネージャーの永盛研威さん。普通のキャンプギアではなく、車中泊に便利なものという条件なのですが、問題ないでしょうか。

「最近では、オートキャンプや車中泊など、キャンプでクルマを含めて使いたいというニーズが実は増えています。テントやタープも、クルマと合わせて活用できるものを増やしているので、どんどん聞いてください」と、完全に車中泊ウェルカムな感じで安心しました。

車中泊大好きライターで、愛車のホンダ「N-VAN」で車中泊を実践中の深田昌之さんと一緒にレクチャーを受けていきます。何か自身でも活用できるいいギアがないかと、深田さんもワクワクしながらの参加です。

最初の車中泊までに知っておきたいこと

  • 用品の最低予算:シュラフ(3~8万円)、マット(2~8万円)、ライトなど。
  • 最低限必要な用品:クルマさえ用意できれば可能。どこまで快適度を追求するかによる。
  • 時期:通年いつでも。ただし冬は寒いので防寒対策が必要。
  • 地域: 全国のRVパークやオートキャンプ場
  • 場所の選び方:高速道路のSA/PA、道の駅などの駐車場では休憩や仮眠まで。宿泊するは許可されていません。車中泊が許可されたRVパークやオートキャンプ場を利用しましょう。くるま旅(https://www.kurumatabi.com/)やCarstay(https://carstay.jp/ja/)などの専門サイトが参考になるはず。

シュラフは封筒型、マットと枕は圧縮できるもの。車中泊に使えるキャンプギア

ではまず、何があると便利でしょうか。寝るとなるとマットかシュラフあたり?

「そうですね。シュラフは横幅が狭いタイプが車内向きです」と永盛さんが紹介してくれたのは「ダウンシュラフ800」(3万5200円)という封筒型シュラフ。快適温度は2℃、下限温度は-4℃。もう少し暖かい季節に使うなら、「ダウンシュラフ500」(2万7500円)にすると快適温度は4℃、下限温度は-1℃です。

「本当に寒い冬には、ポータブル電源と電気毛布を組み合わせる使い方も考慮に入れるといいですよ。どんなシュラフでも、やっぱり寒いですから」と深田さん。確かにシュラフはほどほどにして、暖房機器で対応すると幅広い季節に対応できそうです。

「山岳キャンプならマミー型が保温に優れてますが、車中泊なら足に動く余裕のある封筒型が使いやすいと思います。L字にファスナーが開くので、ブランケット代わりにも使えます」とのこと。合わせるのは「インフレータブルマット」(9350円)です。こちらは、ネジのフタを緩めると勝手に空気が入っていく仕組みになっています。

「ぜひ同じシリーズで枕も揃えてください。空気の入れ具合で頭の高さ調整をできますし、なんといってもたたむと超コンパクトになるんです」と永盛さん。確かに普通の枕はかさばるので、クルマとはいえジャマですよね。このたためる枕は「インフレータブルピロー」(2420円)です。

「車内の明かり取りには小さめのLEDライトがお勧めです。大きなモノはジャマになるので、このくらいがベスト」と紹介してくれたのは、「MINIMALIGHT」(2860円)。アウトドアブランド「5050WORKSHOP」とのコラボ商品で、ogawaロゴが入っています。底部にも光源があり、懐中電灯としても使えます。暖色系に切り替えられるので、落ち着いた光を楽しめますね。充電はUSB Type-Cで、モバイルバッテリーにもなる優れモノ。店舗限定販売なので、訪れたらチェックしてみてください。

「そうなんですよ。大きなランタン1個より、小さいのを車内四隅とか2方向とかに分散して吊した方が、全体が明るくなって夜の作業がしやすくなるんで、こういったミニLEDランタンは車中泊向きです」(深田さん)と、自身も実践しているもよう。夜のトイレなどで懐中電灯として使えるのも便利。

  • ogawa GRAND lodge LEDランタン「MINIMALIGHT」

    小さめLEDランタン「MINIMALIGHT」は暖色系にも切り替え可能。カラーはBLACKとOLIVE

タープやシェルターをクルマとつなげて居住空間を拡張

クルマの駐車スペース周辺に余裕のある場所なら、椅子とテーブルを出してくつろげるといいですよね。これで俄然アウトドア感が高まります。

「車内にこもっているより開放的で断然いいです。足を伸ばせるのがポイントなんだと思いますが、PC作業もはかどりますよ」(深田さん)というので、椅子とテーブルも見てみることにしましょう。

「椅子は作業したい内容や休憩スタイル、収納サイズに合わせて、さまざまなものがあるので、実際に座って試しながら好みで選んでもらうことをお勧めします。例えば、ハイバックチェアには同じ価格でコーデュラとコットンの異なる生地を用意しているのですが、座り心地が違うんですよ」(永盛さん)

この「ハイバックチェア」(1万9800円)は取材陣でも座り比べてみましたが、意見は真っ二つに分かれました。私は圧倒的にコットンのふわふわで包まれるような座り心地が好み。しかし、ハリのある素材のコーデュラが好きという意見も多数あり、こればかりは好みですので、実際に触れてみないと分からないでしょう。

ogawaの「ローチェアII」を使っているという深田さんは、高さの合うテーブルが見つからないのが悩みだったそうですが、店内を物色しているうちに「タフメッシュテーブル」(8250円)を発見。

「天板はメッシュだけど、中心に金具の補強が入っていますね。これは強度が期待できそう。作りもしっかりしてて精度が高いし、天板がメッシュだと熱い鍋も直置きできていいかも」と、細かい部分をチェックしています。テーブルの高さは、ローチェアIIに座った状態で膝が入るハイポジションと、チェアの脇でサイドテーブル的に使えるローポジションの2段階で調節できます。

しかも、同一メーカーなので当たり前かもしれませんが「ローチェアII(価格8580円)」と「タフメッシュテーブル」はピッタリ合います。足を入れられる作りなのも作業には便利そうです。試しているうちに、深田さんはかなりお気に召したようで、そのままお買い上げとなりました。

ほかにもクルマとタープを組み合わせると、リビングみたいに使えるようになり、快適度はさらにアップします。スペースの余裕があるオートキャンプ場では、特にお勧めの手法。ogawaでは「カーサイドシェルターII」(3万7400円)という、クルマの横に取り付けて使うタイプの用品を用意しています。

深田さんは、カーサイドシェルターを実際にN-VANと組み合わせて、すでに車中泊で活用しています。「カーサイドシェルターを展開すると、キャンプのテントでいう前室になるんですね。ここで食事や自転車の収納など、さまざまな使い方ができます。しかも、作りがシッカリしていて、ちょっとやそっとの雨風でもビクともしない安心感があるんです。雨の夜に倒壊したらシャレにならないですよね。ogawaのクオリティだと、そういった心配をしたことがないんですよ」と、かなり気に入って使ってるようです。

また、永盛さんは「もう少しサイズの大きな『カーサイドリビングDX-II』というタイプもありますし、『カーサイドロッジ』というタイプもあります。こちらだとシェルターよりさらに空間に余裕ができて、クルマにテントがつながっている感覚で使えます。クルマに設置するための吸盤はかなり強力なので、めったなことで外れません」とのこと。店舗では持ち込んだクルマに取り付けられるかを試すこともできるので、自分にベストなものを選んでみてください。

車中泊は、肩肘はらずにできるオートキャンプのお手軽バージョンととらえることもできます。まずは最低限の用品を揃えて、気楽に始めてみるとよいでしょう。本格的にはまったと感じたらキャンプギアをうまく取り入れることで、快適度が増したり、より楽しめたりします。ぜひいろいろ試してみてください。

「ogawa GRAND lodge 新木場」 ストアマネージャー 永盛研威さん

「ogawa」製品は、クオリティに自信を持っています。使い続けていくうえでの修理メンテナンスも対応しますので、いつでもogawa GRAND lodgeに相談してください!

キャンパルジャパン株式会社