[S耐のスーパーな人]Vol.3 影山正美選手 まだまだ現役!その熱き思いとスキルをプロから初心者まで伝授

さて、Vol.2の尾崎さんからご紹介をいただいたのは、皆さんご存知の名ドライバー、影山正美選手です。
若かりし尾崎兄弟は、310サニーでレースを戦う影山正彦、正美兄弟にあこがれ、ともにレースで戦い、プライベートでも親交を深めるなど、30年来の仲だそうです。

今回は、そんなレース業界でも一目を置かれる影山正美選手に迫っていきましょう! いっぱいお話いただいたので、他の方よりも長めでお届けしちゃいます。

「めちゃめちゃ楽しかった」人生で一番速いクルマに挑戦!

GAZOO編集部
「早速ですが、最近スペシャルなチャレンジをしたと伺ったのですが」

影山選手
「あれは本当にスペシャルなチャレンジでした!」
「僕がフォーミュラのドライビングのレッスンをしている方と、僕が追い込んで真剣に走っているところを見てみたいという話になり、その方とレッスンで協力いただいているB-Max Racing Teamの組田会長のおかげで、スーパーフォーミュラ・ライツに参戦することができました。今年で53歳ですが、人生で一番コーナリングが速いクルマに乗ったんですよ。めちゃくちゃ楽しかったですね」

GAZOO編集部
「実際に走ってみてどんなところが楽しかったですか?」

影山選手
「2002年までスーパーフォーミュラの前身のF3000に乗っていましたが、そのあとは主にGT300やS耐などが主戦場でした。レッスンのため少しはF3マシンに乗ってはいたのですが、急に出場することになったので、テストをする暇もなくガレージでシート作ってそのまま岡山に入り、木曜から練習を始めた感じです」
「レース自体もすごく楽しかったし、かなりギリギリだったけど多重クラッシュも避けることができたことも自信になって、最終的にポイントを獲得できたのですが、胸を張っていい結果かなと思ってます」
「正直、『どんな恥をかくのか』と思っていたところもあったんですけど、ドライバーや馴染みの関係者やメカニックの方々など会う人会う人皆さんから、『今週のレースの1番の楽しみはお前のレースだ』と言っていただいたことはすごくうれしかったですし、同年代の方にも挑戦する勇気を与えられたんじゃないかなと思います」

急遽の参戦ながら予選のタイムはトップから2秒以内という十分な結果にも関わらず、まだまだタイムを縮められるところがあったとのことで、いまだ衰えぬドライビングスキルに加え、ドライバーとしての貪欲さも感じられますよね。
次に影山選手にドライビングやS耐についても伺ってみましょう。

今でもドライビングの引き出しは増えてます!

GAZOO編集部
「スーパー耐久では一番速いクラス、SUPER GTのGT300と同じFIA GT3車両での参戦ですが、若いころと走りに違いはありますか?」

影山選手
「若いころとの違いというよりも、コンディションとかその時の状況に走りを合わせ込むためのスキルといった『ドライビングの引き出し』はいまだに増えています。マシンやタイヤもどんどん進化しているので、それを吸収して覚えていかなければならないですし、実際にチーム内でもそん色ないタイムで走ることができていますよ」
「ニスモの大森ファクトリーで、市販車のチューニングパーツの開発ドライバーもやらせてもらっているので、練習できないと言われるモータースポーツですが、いろいろとクルマに乗るチャンスをいただいていてスキルもアップしながら、年齢とともに落ちていく部分を延命できるようになっているかな」
「さらに自分のドライビングレッスンやポルシェ カレラカップ ジャパンのオフィシャルアドバイザー、さらにニスモの若手ドライバー育成の講師などもやらせていただいているので、人に教えながら自分もいろいろ勉強することができるいい環境にいると思います」

GAZOO編集部
「S耐には1990年のN1耐久の時代から参戦されていていますが、どのようなレースだと思いますか?」

影山選手
「SUPER GTのGT300へのステップアップに向けたスキルを磨けるレースであったり、たくさんのクラスがあることで地方戦などに参加していたドライバーが挑戦するのにいいレースだと思います。またそう簡単でもないですけど、自分のスキルや資金の範囲内で参戦交渉できるチームも見つけられるんじゃないかな」
「あとは、ST-ZとかST-TCRとかは、パドルシフトでABSも付いているし、シフトミスなどでエンジンを壊すこともないので、ジェントルマンドライバーにとっても参加しやすい環境があると思います。本当に各クラスにそれぞれの良さがあるレースですよね」

レースでも街中でも310サニーが僕の原点

ここで少し話を変えて、影山選手がクルマに興味を持ったきっかけや、印象に残るクルマについても伺ってみましょう。

GAZOO編集部
「やっぱりクルマ好きな子供だったんですか?」

影山選手
「はい、クルマは好きでしたよ。幼稚園の頃に、年上のいとこにこれがスーパーカーだと教えてもらったのが、ケンメリのGT-Rでした。まだミニカーで遊んでいるだけの頃でしたけど、すごい印象に残ってますね。小学生の頃にはスーパーカーブームで、いろいろな展示会に行っては写真を撮ってましたし、バイクも好きでいつもバイク雑誌見ながらレーサーになりたいと思ってました」

GAZOO編集部
「モータースポーツを始めるきっかけは何だったのですか?」

影山選手
「モータースポーツを始めたのは兄(影山正彦選手)の影響です。兄が出入りしていた近所のタイヤショップがレースにスポンサーしていて、その紹介で兄と一緒に初めてレースを観に行きました。そこで応援しに行ったクルマがぶっちぎりで勝ったんですよ。その帰りに、早速兄がレースをやりたいと言い出して、誘ってもらったことがきっかけですね」

GAZOO編集部
「これまでで一番印象に残っているクルマを教えてください」

影山選手
「自分が乗ったクルマで思い入れが強いのは、僕もレースで乗っていた310サニーです。最初に兄と観に行ったレースで勝ったサニー(当時は110)にあこがれて、レースでサニーに乗りたいとずっと思っていました。実際にレースでも街中でも310サニーに乗っていましたし、自分の原点ですね。今でもサニーでクラシックカーレースに参戦しています」

誰でも運転は上手くなるし安全にもなる!ドライビングレッスン受講のススメ

最後に影山選手がドライバーとして、そしてこれまで経験したことを踏まえて目指すことについても伺いましょう。

影山選手
「レースは楽しくてしょうがないからまだまだやめたくないんですよ! 若いころよりも危険なことはよく分かっているから、行く行かないっていう判断ができるようになっているし、決勝のコンスタントラップも高いところをキープできていてチームにも必要とされている。誰にでも年齢に関係なくレーサーとしての老いというものはくるのですが、自分として遅くなったと感じたり、判断が遅くなってぶつかったりしないうちは続けていきたいと思います」

「あとは、ドライバーのすごさ、モータースポーツの魅力を少しでも伝えていきたいですよね。トップカテゴリーに参戦しているドライバーって、本当にとんでもないことをやっているんです。こんな狭い国でも、トヨタ、日産、ホンダなど優秀な自動車メーカーがたくさんあるわけですから、もっとドライバーがリスペクトされて欲しいと思っています」
「そのためにも、ぜひ皆さんにクルマを操る楽しさを体感するためにサーキット走行やドライビングレッスンを受けてみて欲しいですね。ペーパードライバーの人も運転上級者の方も必ず運転はうまくなりますし、一般道での安全運転にもつながります」

予定を大幅に上回るお時間をいただきまして、終止熱く丁寧にお話いただいた影山選手。ご自身のレーサーとしての衰えぬ情熱をビシバシ感じました。
そして安田裕信選手、千代勝正選手、佐々木大樹選手、高星明誠選手ら、国内のトップドライバーから、ペーパードライバーの方まで、本当に幅広くその思いとスキルを伝授されている姿勢には、まさに感服です!
もし影山選手のドライビングレッスンに興味を持った方は、オフィシャルブログ
http://www.diamondblog.jp/official/mk-wave_com/)をご覧になってみてくださいね。

さて、そんな影山選手からご紹介いただいたのは、No.3 ENDLESS SPORTSでマシンメンテナンスを担当するRS中春の2代目代表荻野悟さんです。
影山選手が「先代の社長がものすごくスペシャルだったんですけど、その超コワい先代に鍛えられた、ものすごくクルマのこともドライバーのこともよく分かっていて、ドライビングに集中できる環境を作ってくれるメカニックです」と評価する、そのお人柄と情熱をお届けしたいと思います! お楽しみに~。

影山正美 プロフィール

生年月日:1967年5月2日(掲載時53歳)
出身:神奈川県
1987年 富士フレッシュマンシリーズでレースデビュー

■富士フレッシュマンシリーズ
1987年~1988年参戦
シリーズ最高位:7位(1988年)

■ザウルスカップ
1989年~1990年参戦
シリーズ最高位:4位(1990年)
勝利数:2勝

■全日本ツーリングカー選手権
1989年~1997年参戦
シリーズ最高位:1位(1997年/プライベーターシリーズ)

■フォーミュラ・トヨタシリーズ
1990年参戦
シリーズ最高位:1位(初代チャンピオン)
勝利数:3勝

■全日本F3選手権
1990年~1994年参戦
シリーズ最高位:2位(1994年)
勝利数:2勝

■N1耐久、スーパー耐久
1990年~1994年、2003年~2008年、2010年参戦
シリーズ最高位:1位(1992年/Class2、2007年/Class1)
勝利数:14勝

■マカオグランプリ
1991年参戦

■全日本GT選手権、SUPER GT
1994年~2012年参戦(~2004年までGT500、以降GT3000)
シリーズ最高位:1位(1998年)
勝利数:11勝

■全日本F3000、フォーミュラ・ニッポン
1994年~1999年、2001年~2002年、2004年参戦
シリーズ最高位:2位(1998年)
勝利数:3勝

■ル・マン24時間レース
1996年、1998年~2000年、2008年参戦
最高位:6位(2000年/LMP900)

■ル・マン富士1000km
1999年参戦 優勝

■アジアン ル・マン シリーズ
2009年参戦
シリーズ最高位:6位

※影山正美選手のオフィシャルブログ参照
http://www.diamondblog.jp/official/mk-wave_com/race-career/

(GAZOO編集部 文:山崎真 編集:岡本淳 写真:山崎真/岡本淳)

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