WRC招致応援団員 拝命 …安東弘樹連載コラム
去る8月22日、WRC日本ラウンド招致準備委員会によって、活動経過報告会が行われました。WRCの日本ラウンドを開催すべく、今年1月に委員会は発足していたのですが、初めての報告会となりました。そこで、その活動を後押しすべく招致応援団が結成され、4人のメンバーが当日、発表となったのです。
フィギュアスケーターでオリンピアン、7月からレーシングドライバーとしての活動も始められた小塚崇彦さん、元SKE48のメンバーで現在はコ・ドライバーとしてラリーに参戦している梅本まどかさん、J SPORTSのWRC番組キャスター栗田佳織さん、そして「私」の4人です。
報告会には沢山のメディアの方にお越し頂き、改めてWRC日本ラウンド(ラリージャパン)に対する期待の高さを感じる事が出来ました。私自身が本格的にモータースポーツに興味を持つようになるきっかけとなったWRCを日本に招致する役目を担える事に感謝しています。
私がクルママニアになったのは物心がついた3、4歳からなのですが、実はモータースポーツに興味を持ち始めたのは、かなり遅かったのです。勿論、世界選手権クラスのレース、ラリーは知っていましたし、有名なレーシングドライバーの名前くらいは認識していました。
唯、モータースポーツの地上波でのテレビ放送は、長らくF1位でしたし(現在に至っては生放送は地上波では皆無と言って良いでしょう)、そのF1ですら、深夜にテレビを観ながらザッピングしていて、たまたまヒットした時だけ観るという程度でした。自分が乗っているクルマとは形が全く違うフォーミュラカーに、トキメキを感じなかったのです。
ところが2004年のある日、深夜の帰宅途中にコンビニエンスストアに寄り、会計途中にふと顔を上げると、そこに青いクルマが疾走している表紙のDVDが置いてあり、視力が良い私の目にWRCという文字が飛び込んできました。
へー、WRCのDVDなんかあるんだー。買う人なんて今の日本に居るのかな…?しかもコンビニは売り上げが悪い商品は、どんどん淘汰されていくから、そのうち陳列されなくなるんだろうな、と思ったら逆に欲しくなってしまい、思わず「あれ、下さい」とレジ奥の上の方の棚に陳列してあったDVDを指差しました。
すると店員さんは隣のアイドルのDVDを取ろうとしたので、「あ、違います。その隣のやつです」と言ったら不思議そうな表情をして、「え?これですか?!」と訊き返してこられたので「はい」と答えたら、更に不思議そうな顔で、「これで良いんですね?」と確認してきました。「こんなの買う人、居るんだと…」顔に書いてあるようです(笑)。つくづく、「モータースポーツって、一般の人にとってはマイナーなんだな~」と実感しました。
これは15年程前の話ですから、更に現在はその傾向は強くなっているかもしれません。話を戻しますと、そのDVDはSUBARUインプレッサを駆る、ノルウェー人ドライバー、ペター・ソルベルグが世界王者になった2003年シーズンのWRC総集編でした。
帰宅して見てみたら、その瞬間からすっかりハマってしまいました。ラリーは基本的に、市販車と同じ形をしています。カテゴリーによって、中身も殆ど市販車と変わらないクルマで競う場合もありますし、中身は全く違うマシンでも少なくとも、外観は市販車に酷似しているのが特徴です。
しかも衝撃的だったのは所謂「オンボードカメラ」で、ドライバーの運転をつぶさに観る事が出来るので、より身近というかドライバー目線で楽しむ事が出来ました。記憶が正しければ、特典映像に足元に設置してあるカメラでペダル操作を撮影した映像まであった様な気がします。
その様な映像を観て、改めてプロドライバーのスキルの高さやスピード感に痺れ、モータースポーツの楽しさに気付かされてしまったのです。そこから、毎戦後発売されるDVDを買いにコンビニに行くのが楽しみになっていきました。
当時はアマゾンも楽天市場も無く、そもそもまだPCも持っていなかったので、毎回近所のコンビニ店舗に行って買っていたものです。今はCS放送や様々なツールで全てのラウンドを観られますしDVDという古典的なソフトですら通販し放題ですから、本当に有り難い世の中になった、と実感しています。
すっかりモータースポーツ(映像)観戦に目覚めた私は、その後、F1も録画をしてでも真剣に観るようになり、近年になるとWEC、インディーカーシリーズやDTM等も毎戦、録画するようになり、現在はハードディスクの容量がいくらあっても足りない位に、観戦範囲が広がっていきました。
そんな“私”になった、きっかけとなったWRCを日本に招致するオフィシャルの応援団の一員になれた事が、今でも信じられない程光栄であり、また責任も感じています。現在は、日本の主催機関がWRCプロモーターGmbHと契約をした状況で、この後FIAで協議され、12月に正式に発表されて確定となります。まだ、油断は出来ませんが、我々応援団としては、その瞬間まで様々な形で多方面に向けてPRしていこうと思っています。
WRCではここ2戦連続で(フィンランド、ドイツ)TOYOTA GAZOO Racingのヤリス(日本名、ヴィッツ)が制しており勢いに乗っているだけに、ラリージャパンもきっちり決めたいところです。
来年秋、WRCラリージャパンを日本の真ん中、愛知県、岐阜県で観られる様に私も頑張ります!!
安東 弘樹
[ガズー編集部]
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