ロングドライブのススメ…安東弘樹連載コラム
最近、自分のクルマの走行距離が、とてつもなく伸びています。
普段の都内での仕事の際は勿論、出張も殆ど自分のクルマを運転して現場に入っている事を以前もお伝えしましたが、その後も地方での仕事が結構ありまして、気付くと5,000キロ走った月もありました。
仕事で主に使っているクルマの方は2年を待たず、総走行距離は6万キロを超え、計算してみると、自分が免許を取ってから運転した距離は合計で120万キロ以上、地球を30周した事になります。我ながら、良く走ってきました。
そして自分の家が、東関東自動車道の郊外のインターチェンジ近くに有る為、何処に行くのも、そこからそれぞれの目的地に向かいます。
会社員時代は節約の為に高速道路を、出来るだけ使わず目的地に着く方法を考えていましたが、今は、仕事で使う場合、「経費」に計上出来る筈ですので、高速道路を使う事が飛躍的に増えました(笑)。
ここ2か月だけでも、山梨、京都、滋賀、静岡、栃木、名古屋、岐阜、大阪、軽井沢、金沢、福井等、カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としての試乗会等も含めて全て自分のクルマを一人で運転しての移動です。
京都へは、キャスター役のドラマの仕事で太秦撮影所に行ったのですが、撮影所に着いた時、受付で自分が運転席から、「今日の○○というドラマでお世話になる安東と申します」と言ったら、守衛さんは、後ろの席を覗き込んで「ご本人は乗ってらっしゃいますか?」と訊いて来ました。私の顔を、御存知ないと思い「スミマセン、私が安東です」と申し上げたら、「あー!安東さん!特にクルマのナンバーが関西以外の場合、出演者は、後席に乗ってらっしゃるので、まさかご本人が運転されているとは思いませんでした!失礼しました!」との事。やはり、関東から運転してくる出演者は珍しい様です(笑)。
ちなみに同じく自動車が基幹産業であるドイツのドライバーの平均年間走行距離は1万5,000キロ程ですが、日本のドライバーの場合、十数年前のデータでさえ1万キロ程で、現在は、もっと減っているとの事です。
理由として日本の方が公共の交通機関が発達している、との分析もありますが、そうでもないかもしれません。
実は最近、某鉄道マニアユーチューバーの投稿動画にハマっていて、彼がヨーロッパの鉄道に乗った時の感想として「日本の鉄道が様々な意味で世界一であると思っていたが、実際に利用してみて、路線の充実、時間の正確性等、総合的に見て、その様に断じる事は出来ない事を実感した」と仰っていました。
つまり公共の交通機関の充実ぶりだけが走行距離の長短の理由ではないのではないでしょうか。むしろ、基本的に無料で速度無制限区間が半分を占めるアウトバーンの存在、そして、その様な環境下で、運転するのが好きなドライバーが純粋に多いのだと私は思います。
逆に私の周りを見ても長距離、長時間運転が嫌いな人が日本には本当に多いのに驚かされます。その理由を分析するのが私の永遠のテーマですが一つには長距離運転を想定して作られている日本のクルマが少ない、というのを感じます。
特に、各々のドライバーにとって最初の所有車になる可能性が高い日本の軽自動車やコンパクトカーのボディやシートが長距離運転には辛いと感じる物が多いのは、沖縄等、自分のクルマで行くのが実質的に不可能な場所でレンタカーを借りて運転すると実感します。
唯、鶏が先か卵が先か、ではありませんが、日本のドライバーが長距離運転をしないから、短距離を走っては乗り降りが多いドライバーが快適に使える様に、しっかりホールドする、というより平坦なシートのクルマをメーカーが作るのか、ドアも重厚感よりも軽く開け閉め出来る様なクルマをメーカーが増やすのか、私には、分かりません。両方とも正解かもしれません。
個人的には全体的に重厚感が有って、長距離のドライブが快適なクルマが好みではあります。私は、クルマをこよなく愛していますので、日本の自動車産業が、益々発展して欲しいと思っています。その為には日本のドライバーに、もっとクルマに乗って欲しいのです。
走行しているクルマが増えれば渋滞も増えそうですが、最近、痛感している事が有ります。
都市部に近い高速道路や都市高速の事故渋滞が増えている、という気がしてならないのです。統計的には日本全体の交通事故件数は近年、減っているというデータになっていますが、都市部の有料道路に関して言えば、私、個人的な感覚では明らかに増えているように思えます。特に交通量が多い週末の東名高速道路の上り線は、私が利用した際には、100パーセント事故渋滞が発生しています。
普段、あまり運転しない不慣れなドライバーと、ほぼ毎日運転しているドライバーが混走していて走行速度差や運転意識の違いが大きかったり、以前も申し上げましたが方向指示器を点滅させないクルマが増えたり、要は、あまり運転する距離や時間が短くなればなるほど、ルールやマナーを意識せずに遵守していないドライバーが増え、結果、事故が発生し渋滞も増え、交通のスムーズな流れを阻害する事になってしまう、というのが私の持論です。
ですから、あくまで個人的な考えですが、日本のドライバーには可能な限り普段からクルマを運転して頂いて、極論を言えば、全てのドライバーに高速道路走行を含めて運転に慣れて欲しいのです。その為には運転マニアではない方にはロングドライブをする、目的、モチベーションが必要ですね。
そこでお勧めするのが、クルマでしか行けない所、そう高速道路のサービスエリア、パーキングエリアを楽しむ事です。目的地だけしか決まっていない場合は、電車やバスで行けば良いですが、サービスエリアに寄るにはクルマで行くしかありません!ここ10年位、特に両者の発達、充実ぶりには目を見張るものがあります。
「最近、行ってないな~」という方がいらっしゃったら、その進化に驚かれると思います。場所によっては世界観が統一されていてアミューズメントパークの様になっています。関東だけでも、「星の王子様」や「鬼平犯科帳」がテーマのサービスエリア・パーキングエリア等が存在し、食を中心に、かなりの時間を費やして楽しめる事を保証します。
また期間限定ではありますが最近流行りのグランピングを楽しめるサービスエリアもありました。この場合、もはや完全に目的地にすらなっていましたね。
クルマというのは時間を気にせず、好きな所に連れて行ってくれる魔法の絨毯であると、常々申し上げていますが、渋滞が無くスムーズに移動できれば、益々“魔法ぶり”が発揮されます。今後、環状線などの整備が益々進んで更に便利になっていく予定ですので、事故起因の渋滞が減れば減るほど、疲労も減り快適な移動手段になっていきます。
皆さん、運転すればするほど、クルマに愛着が湧いてきますし、運転にも慣れて、これまで運転が苦痛と感じていた方も間違いなく楽しくなってくるでしょう。楽しくなったら、こんなに便利で快適な道具はないですよ!
近所の奥様達は「高速道路は運転するのが怖い」と仰って高速道路を使わず、言葉は悪いですが時間を無駄にされている方が多いのですが…、断言します。一般道よりも高速道路の方が安全であると!道は広いし、交差点は無いし(事故の多くが交差点で発生している)、歩行者は飛び出して来ません。スピードにすら慣れれば、こんなに快適な環境はありません。
これまで長距離運転を躊躇していた皆さん、高速道路を使って、家を出てから目的地に着く瞬間まで重い荷物を持たなくて良いし、乗り換えも無いクルマでロングドライブしてみませんか!?
安東 弘樹
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